口げんか友達の誕生日


 今日11月7日はオレの学校生活を脅かす悪魔、歩くスポーツ3面記事こと長岡志保の誕生日だ。と言ってもオレはあいつの誕生日なんて知らん。じゃあ何で知ってるのかって言うと、全部あかりから聞かされたことんだけどな? 朝、学校に行く途中、あかりが…、
「ねえ、浩之ちゃん。今日は志保の誕生日なんだよ? だからさ、何かお祝いとかしてあげない?」
 とそんなことを言ってくる。まあ、言わんでも分かるがあいつとは口げんか友達…。何かにつけて反論してあいつをからかっている。当然ああいう性格なのか文句を言って突っかかってくる志保。それがオレにとって鬱陶しいことでもあり、またちょっとだけ楽しいことでもある。まああいつの相手をしてると厭きがこないと言うのが本質なんだろうがな…。
「まっ、いいんじゃねーか? 祝ってやらねーと何かとうるせーしよ…」
 そう言うオレにあかりは、うん! と嬉しそうに頷く。朝のいつもの登校時だった。
 夕方、いつものメンバーと、先輩に葵ちゃんに琴音ちゃん、マルチにレミィ、委員長に理緒ちゃん、綾香にセリオというオレの友達の面々がオレの家で志保の誕生パーティーを祝っている。…しかしオレの友達って女の子が多いよな。まあ、雅史は別だが…。
「ヒロ〜、あんた何か余興でもやりなさいよ〜。今日はあたしが主役なんだから〜」
 ちっ、この女。自分の誕生日だからっていい気になってやがる。くそぅ! 何でこんな目にオレが遭わなくっちゃいけねーんだ? とは思ったが、楽しそうに笑ってる志保の顔を見ていると、何だか言う気が失せる。ったく、しょーがねーなー…。そう思い、雅史を呼んだ。


「僕、何が何だか分からない間に浩之と漫才させられていたように思うんだけどさ? 何だったんだろう…。あれは?」
「文句があるならこいつに言え! こいつに! ったく…」
「ちょちょ、ちょっとぉ! それって全部あたしが悪いように聞こえるじゃないのよっ!」
「まあまあ、志保も浩之ちゃんも落ち着いて…」
 夜9時半、パーティーは予想以上に盛り上がりお開きとなった。みんな楽しそうだったしこれはこれでよかったと思う。先輩が“私の誕生日にも来てください…”と、いつものか細い声で帰り際そう言っていた。綾香もウインクして、“もちろん私もね?”と言ってにこにこ微笑んでいた。志保は、“行く行く、絶対行く!!” と言ってはしゃいでいたがありゃ絶対歌を歌えると思っていそうだな? あかりと雅史と3人で苦笑した。“にしても寒いな。今日は…” 一人ゴチるように言うと…。
「今日は立冬よ? ヒロ。あんた季節も分からなくなったの? はぁ〜、これだから…。どうせあたしの誕生日もあかりから聞いたんでしょ? もう、あんたって人は…。いつかあかりに愛想つかされても知らないわよ? 全く…」
「うるせーやい!!」
 そう言い争うオレと志保。でも立冬か。どおりで寒いわけだ…。志保を見るとくるっとこっちに振り返って…、“今日はありがとね?” と志保らしからぬ笑顔でこう言った。志保らしからぬ、…か……。まああれでいて結構女っぽいところもあるんだよな? そう思った今日11月7日、オレの腐れ縁・長岡志保の誕生日だ…。

END