焼き芋誕生パーティー


「おい! てめぇ! この寒い中こんな屋外でパーティー開こうってんじゃねーだろーな?」
「あら? そのつもりだけど? それがどうかした?」
 今日11月7日はオレの天敵でもあり、まあ遊び仲間でもある長岡志保の誕生日なわけで…。普段ならカラオケでも行ってどんちゃんやらかしているんだが今年はどういう風の吹き回しか、屋外で開くことになった。あかりのやつはにこにこしながらオレと志保の不毛な言い争いを見てやがるし、雅史も雅史であかりと同じように見てやがる。
 にしてもさみぃよなぁ〜。さすがに明日は立冬か? そう思って焚き火の材料の牧を集めるオレたち。そう、これからオレん家で焼き芋を焼こうって言う寸法なのだ。言いだしっぺはなんと言うかやっぱりと言うか本日の主役。オレの家のちっこい庭に学校の裏山から集めた枯れ葉や落ち葉などを持ってきて焼くんだとさ…。ご近所さんには昨日のうちに話しておいたんで、別段問題もない。あかりのおばさんにも話しておいたしな? あの人は結構顔も広いんで、まあまずもって問題にはならんだろう…。そう思う。で、相変わらず賑やかしいこの女…。その元気パワーを全国の低血圧の人にでも分けてやればいいのによ…。あかりに薄っぺらな鞄を持たせて、オレは両手に枯れ葉や牧をを担いで歩く。こんなものでも両方で20kgはあるんだ。女の子にはとても持てやしねぇ〜。オレの前、雅史に鞄と牧を持たせて悠々歩く女にゃ出来るかもしんねーけどよ? そう思ってると…。
「ちょっとヒロ! それってどういう意味よっ?!」
「どういう意味も何も、そのまんまの意味じゃねーか。おめぇだったら持てるんじゃねーかなって思っただけだ。ちっ、聞こえてやがったか…
 いけねっ! いつものクセで言葉に出しちまったか? ちっ、と舌打ちするオレ。志保はと言うといつのもようにがーがー文句を言ってきやがる。まだまだだな? オレも…。志保の文句を言う顔を見ながら心の中でそう呟く。“なに訳の分かんないこと言ってるのよ? この男は…” オレの心の声が聞こえたのか、こう言うと不機嫌そうにぷいっと横を向く志保。とあかりのほうを見ると、“もう、志保には冷たいんだから…。浩之ちゃんは…” てな目でふぅ〜っとため息なんぞをついてやがるし雅史は雅史で困ったように笑ってる。そこにはいつもの風景があった。


「さすがはあかりね? こう言うところにまで気が利いてるって言うか…。どっかの唐変木とは大違いね?」
「おいっ! そりゃど〜いう意味だっ?!」
 言い合うオレと志保。あかりと雅史は芋を突きながら苦笑い。いつもの風景がそこにあり、いつもの仲間がそこにいる。そんな当たり前な景色をこれからも続けていけるのだろうか…。卒業して離れ離れになってもこの景色を覚えているのだろうか? ふと、そんなことが頭に過ぎる。と、
当たり前でしょ? どこに行ってもあたしたちは友達なんだから…。っと、お芋〜」
 そう言ってほくほくの焼き芋を美味しそうに頬張る腐れ縁の女友達。顔を見ると柄にもなくにっこり笑っていた。“まあそりゃそうだよな?” 出来立ての焼き芋をはふはふ頬張りながらそんなことを思った今日11月7日、長岡志保の誕生日だ。

END