金木犀


♪金木犀が匂うと、思い出すのはいつだって、希望に燃えていた十九の頃……。♪

 CDコンポから歌が流れる……。毎回聞いてるんやけどあきへん私のお気に入り…。どことなしか懐かしい感じのする歌や…。今日9月10日は私の誕生日…。今年で24になる。ちなみに私は去年結婚した。相手は…、って、そんなん言わんでも分かるやろ? 彼とは高校時代に知りおうた。最初はなんや、馴れ馴れしいやっちゃな〜って思うてたんやけど、いつの間にか好きになってしもうた…。神戸の彼が私の友達と付きおうてるって別の友達から聞かされたときでも、そんなにショックやなかったし…。もうそのときには彼のことが好きやったんやね?…。改めてそう思った。

夢追いかけて集った仲間たちがいつしかは、とてもかけがえのない友達……。
  青春と言う言葉が似合っていたあの頃は、だけど今はもうそれぞれに道歩んでいる……。

 歌は1番が終わり2番へ…。2番目の歌詞…。私は1番より2番の歌詞の方が好きや。そう思ってこの曲を聞いてる。知らんうちにコンポのボリュームを上げていた。曲を自分に当てはめながら、ほんまにそうやね? と思いながら聴いた。こっちにきて誰とも友達を作らんかった自分。向こうへ…、神戸へ帰ることだけを考えて必死で頑張っていた自分。今考えるとアホらしゅうてしょうがない。こっちにも、作ればなんぼでも友達は出来たんや。せやのに私は…。作ろうとはせんかった。向こうの友達が一番ええって思ってたんや。今、そう思うと急におかしゅうなってまう。神岸さんや佐藤君…。長岡さんに、その他多勢の友達…。素敵な私の友達。こっちにも友達が作ろうと思えば作れたんや。そう思いまた歌に聞き入った。

♪金木犀が匂うと、忘れかけてた大切な、何かが溢れてた十九の頃……。
  金木犀が匂うと、ふと立ち止まり懐かしむ、時間が緩やかに流れていた十九の頃……。♪

 近くの家の軒先の金木犀…。もう後1ヶ月くらいで咲くんかな? 忘れかけた大切なもの。懐かしいあの頃。十代のあの頃……。この歌を聴くと思い出す。意地を張っていた、誰とも口を聞かんでいたあの頃、何もかもが変わってしもうたあの頃…。でも今は、今はとっても幸せや。そう思いながら軽く化粧をして出かける。近くの家の軒下の金木犀を見上げる。花芽はまだついてへんけど、もっと秋が深まって昼間でも涼しい風が吹くころになったら咲くんやろうな? そんなことを思いながら愛する彼…、あっ、今は愛する旦那様かな? うふふっ。そう笑うて、彼・藤田君との待ち合わせ場所に向かう今日9月10日、私の誕生日や……。

END