病院内はお静かに!


 突然だが骨を折ってしまった。と言うのも先輩の妹で前エクストリーム世界チャンプの綾香と現世界チャンプの葵ちゃんと一緒にスパーをやっていたときにこう何と言うかポキッとやってしまった。まあやったところが利き腕と利き足のちょうど動かす重要なところなのでむやみやたらと動かすことが出来ない。もうそろそろ先輩と俺の彼女・レミィの誕生日も近いって言うのに…。我ながら情けねぇ〜っつうか何なんだが。あそこでよければよかったのに何で避けなかったんだろう。などと後悔しっ放しなわけだ。まあ大学のほうだが単位はもう取得しているのでその辺は安心なんだけどよ。でもまあ病院っつうところも何つうか暇だよな? そう思いつつ手元にあった雑誌を手に取る。え〜っとなになに…。病院内で出来るパーティー? そんなもんがあるのか? と言うか、こんなもんを持ってくるヤツってあいつぐらいしかいねーわな。オレの不倶戴天の敵で中学からの腐れ縁な女・長岡志保…。オレがこんなになったことをいいことにあれやこれやレミィや先輩をけしかけてくるとんでもねーやつだ。
 ついこの前もレミィと先輩が見舞いに来たと思ったら、いきなり服を脱ぎだして往生した。ブラジャーから零れ落ちそうなくらいのプルンとした形のいいものが4つ並べられて、危うくオオカミになっちまうところだったが、すんでのところで残った理性をフル回転させて行動までには至らずに済んだわけだが…。訳を聞くと、“シホがね? ‘病人には人肌で温めたほうが良くなるわよ〜’って言うからセリカと相談してヒロユキに早くよくなってもらおうって思って…” と彼女がしょぼくれながらこう言う。横では先輩がやや上目遣いの涙目になりながらオレの顔を見遣っていた。ったく、どっちも妙にボケたところがあるっつうか、人を疑わないところがあるっつう感じだから、今回も志保の野郎に一杯喰わされたんだろーな? まあ男としてはこれ以上の喜びに越したことはねーんだが、如何せんここは公共の施設。そんなことをすると最悪こっちがお縄になっちまうわけで。正直やってほしいのは山々だったんだが、世間体のことを考えてやめてくれるように懇願する。まあ素直な2人だからかすぐにやめてくれてオレの犯罪者への転落は免れたわけだが…。とりあえず志保、フルパワー・グリグリの刑決定!! などと考えてると“退院はいつごろになりそうですか?” と先輩が聞いてくる。医者が言うには、“手のほうの骨がくっつき次第退院ですかね? あっ、手のほうですけどもう少しでギブスが取れると思うので、あとはリハビリをちょっとやればOKですよ? 足はまだまだ時間がかかるのでしばらく通院って言う感じになるかと思いますけど…” っつうことだったんで1週間程度って言うところかな? にしても男の骨を折る女格闘家っつうやつは全く恐ろしいもんだぜ…。まあもちろんこれはここにいるお嬢様と顔の似たもう1人のお嬢様のことを指しているのは言うまでもない。よく今まで生きてこられたもんだ。なんてしみじみそう思いつつ、掛けられたカレンダーをふと見てみる。と退院予定日がクリスマスだってことに気付く。今年は誕生日パーティーは無理っぽいな? なんて独り言のほうにぽつりと呟くオレ。そんなオレに、“エーッ!!” と不満の声が上がる。当然不満の声を上げたのはオレの彼女だ。
「何で何で〜? ここ借り切ってスレバいいんじゃないの〜? ヒロユキ1人だけだし、大丈夫ネッ!」
 言うことがあいつに似てきたぞ? って言うか共同生活してるんだから当たり前と言っちゃあ当たり前なのかもしれんが…。一方のお嬢様は聞き分けは…、良くなかった。強く否定するようにふるふると高速に首を横に振っている。こんな先輩は見るのは初めてだったもんだから一瞬見惚れてしまう。と、腹の上にぽにゅっと柔らかい感触が当たる。何だ〜っと思って見てみると彼女の豊満な胸とちょっとぷぅ〜っと拗ねたような怒ったような顔がオレの顔を見貫いていた。“セリカばっかり見てないでアタシのほうも見てヨ〜。それにアタシ、今怒ってるんだからネッ!!” とさらに頬を膨らませて、おまけに女の子の最終兵器と言われる上目遣いの涙目まで持ってこられる。ヤバい、ヤバいぞ〜。いろんな意味でヤバいぞ〜。と言うかお嬢様? 何でこっちを羨ましげに見つめていらっしゃるのでせうか? と思ったら“ぽにゅ!” とまたまた形の良いモノがオレの胸に押し付けられる。腹と胸に米国産と日本国産のモノを当てられて思わず鼻血を噴出しそうになるがすんでのところで耐えるオレ。“ワガママ言わねーでくれ〜” と言うとますます押し付けられそうになる可能性もあるしな? かと言ってこのまま怒らせたままっていうのも後味が悪いし…。と言うか歩いているところを突然弓矢で狙われたり、はたまた黒魔術の呪いにかけられたりなんかしたらそれこそ命の危機だしよ…。と言うかレミィも先輩も離れてくれない? と言っても両方ともふるふると同じように首を横に振って…と言うかますます胸を押し付けてくる有様なわけだ。かれこれ1時間くらいそうしていたんだろうか。鼻にティッシュを詰め込み詰め込みしていたオレではあったのだがとうとう根負けしてしまいしぶしぶながら了承してしまったわけだ。普段表情のない先輩のにこっと微笑む顔に一瞬どきっとなってしまい、それを傍目で見ていてムッとなった彼女からさっき先輩がしていたように今度は胸に乗られて米国産のモノを2度も味合わされて盛大に詰め込み詰め込みしていたティッシュもろとも鼻血をまき散らしながら意識の闇へと落ちていくオレがいた。その刹那思ったことは、“やっぱり米国産はボリュームが違いすぎるぜ” だった…。


 で、現在12月21日午後7時半。わいのわいのがやがやと賑やかしい音が病室内に木霊しているわけだ。まあ言わずもがなここの病院も今はしゃいでいるお嬢様とそれを微笑ましく見つめていらっしゃるお嬢様姉妹の系列の病院だったことは言うまでもなく…。と言うか先輩と綾香の顔の広さに愕然とするわけで…。って言うか委員長まで酔っちまったら雅史やあかりだけじゃあ抑えきれねーぞ? と言うくらい委員長は飲んでいらっしゃるわけで。呑んだ委員長の一人ボケツッコミは、オレの想像をはるかに超えていた。まるで、この間見たテレビ映画の女主人公だ。歩く三流記事こと長岡志保はオレが動けんのをいいことにちょっかいばっかりかけてくるしよ。その悪ノリに綾香お嬢様までノッかってきてさながら地獄絵図の様相を呈してきた。レミィはレミィでこの間のことを面白おかしく葵ちゃんや琴音ちゃんや理緒ちゃんや幼馴染みNo.1、No.2などに誇張しながら言ってるし。幼馴染み2人組のオレを見る目が非常に痛い。マルチはいつものようにドジばかりだしそれをセリオが慰めている光景と言ういつもの来栖川邸の光景が広がっている。頼みの綱の先輩はと言うと何やら怪しげな呪文を唱えてるし…。“せんぱ〜い、戻ってきてくれ〜っ! と言うか誰でもいいからこの状況を何とかしてくれ〜っ!!” と心の底から願う今日12月21日はオレの彼女・宮内レミィの21歳の、そして昨日20日はオレたち全員のお姉さん的存在な来栖川芹香先輩の22歳のそれぞれの誕生日だ…。

おわり

おまけ

 って先輩、何をそんな微笑みながら近づいてくるの? 手に持ってるのってまさかとは思うんだけど、惚れ薬じゃないよね? ってうわぁぁぁぁぁ〜、やめてくれ〜っ!! と言うが早いかんぐんぐんぐ…とあーもうーもなくいつかの惚れ薬? を飲まされるオレ。その後の記憶はぷっつり途絶えて、気づくとベットの両端に彼女と先輩が寝ていた。もちろん米国産と日本産の形のいいモノを押し付けられてるわけで…。思わずあの世行きになりそうだったわけだが、何とか耐えた。しっかし、昨日はどれだけ騒いだんだと思うくらいそこら辺に残骸(友達やら幼馴染み2人組&物)などが転がっている。どっこいしょっと起き上がって寝ている2人を取りあえず寝かしなおして立つ。と、んっ? と違和感。昨日まで痛かったはずの手足がもう痛くないし! って言うか普通に立ってるし!! あとで医者に診てもらったところきれいに治っていたそうだ。昨日の薬ってこう言うことだったの? と先輩の顔を見つめるとこくんと首を縦に振ってポッと顔を赤らめている。これを先輩の魔法のおかげと言うとそうなるのかもな? でも…、ポッと赤らめている顔の後ろでオレを狙う弓矢が非常に怖いと思うのはオレの間違いではないはずだ。とにもかくにもさっさとこんなところからはおさらばしたい。医者や看護師たちやみんなの顔のオレを見る目が非常に痛く感じられる今日12月23日、世間ではクリスマスイブイブな今日、街のあちこちにカップルのいちゃつく姿を見るのではあるのだがオレにとっては最悪の日であった。ぐふっ…。

ほんとにおわり