Present for Yours


 今日6月16日は珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんの誕生日だ。それで今、俺は2つのプレゼントを持って2人のマンションへと向かっている。プレゼントは2つ。小さな箱の中に入っている。にこっと微笑むと昨日のことを思い出す。昨日の夕方、プレゼントは何にしようかと町をまわっていると後ろから声をかけられた。振り返ると、
「あっ、イルファさん」
「貴明さん。こんにちは。どうしたんですか? 難しい顔をして…。私でよければ相談に乗りますよ?」
 そう言ってにこっと微笑むイルファさん。いつも思うんだけど、イルファさんって本当に人間っぽいよなぁ〜…。あの耳センサーを外せばどこをどう見ても普通の人間の優しいお姉さんにしか見えない。って言うか本当は人間のお姉さんじゃないんだろうか…。俺は今でもそんなことを考えている。プレゼントのことを話すと…。
「そうだったのですか? 実は私もプレゼントを何するか悩んでいまして…。ですからその…。もしよろしければプレゼント選び、私もお付き合いさせて頂けないでしょうか…。あ、あの、無理でしたらいいですので…」
 そう言うと上目遣いでこっちを見るイルファさん。俺は首を振るとこう言う。
「無理だなんて…。こっちがお願いしたいくらいだったから助かりますよ…。俺、あまり女の子の趣味とかそう言うの分からなくて…。実は困っていたんです。ですからイルファさんが天の助けのように思えてきますよ…」
「まあ、貴明さんったら…。うふふふふ」
 俺がそう言うと手を口元に当ててうふふと笑うイルファさん。そんな彼女を見て改めて“人間っぽいよなぁ〜。イルファさんって…。どおりで雄二が羨ましがるわけだよ…” と羨ましがる雄二の姿を思い出し、ぷっ! とふきだしそうになる俺がいるのだった。
 で、今俺の手にはイルファさんと一緒に選んだプレゼントがある。帰り際イルファさんが“喜んで下さると思いますよ? お二人とも…。あっ、でもこれは貴明さんが選んだものですので…” そう言うとにっこり微笑んでいた。“えっ? でもイルファさんだって…” と俺が言うと…。
「私はもう買っちゃってますから…」
 手提げ袋を上に持ち上げて、うふふっと微笑むイルファさん。その笑顔に釣られるように俺も笑顔になった。微笑み合う二人の心の中には、双子の可愛いお姫様がにこっと微笑んでいる姿が見えているんだろう。一緒に帰る雨の町。俺はそう思った。


「る〜☆ 貴明や〜。さあ、遠慮せんで上がって〜?」
「ぼけーっと突っ立ってへんで、さっさと上がりぃや。アホ貴明!」
 手を繋いでとことこと玄関までやってくる可愛い双子姫。いつものように、にこにこ微笑む珊瑚ちゃんと、ふんっ! とそっぽを向く瑠璃ちゃん。俺に対する思いはそれぞれ違うけど、やっぱり二人はとっても仲良しなんだなぁと改めてそう思う。そんな二人を取り持っているのはやっぱり…。
「まあ、瑠璃様。そんなことを言ってはダメですよ? せっかく大好きな貴明さんが来てくださっているっていうのに…」
 イルファさんなんだ…。と俺は思う。イルファさんに言われてわたわた慌てふためく瑠璃ちゃん。そんな瑠璃ちゃんがとても可愛らしく感じた。わたわた慌てながら、顔を真っ赤にしながら瑠璃ちゃんは…。
「なっ? う、う、うううウチは…。た、た、貴明のことなんか好きなわけあらへんもん!! イルファ、イジワルやぁ〜」
「そんなんゆうて、瑠璃ちゃん今日は外ばっかり眺めてんねんで〜。貴明も隅に置けんなぁ〜。なぁ〜、いっちゃん?」
 いつものようにあははと笑う珊瑚ちゃん。“ええ、そうですね?” とイルファさん。瑠璃ちゃんは“うぅぅ〜。さんちゃんもイルファもイジワルや〜” と言って恨めしそうに珊瑚ちゃんたちのほうを見ている。持ってきていた袋を見る。中には二人へのプレゼントが入っていた。渡してしまおうか? そう思いチラッとイルファさんのほうを見るとにっこり微笑んで、うん、と頷いている。“渡そう” そう思い袋から可愛い箱を二つ取り出すと、俺はこう言った。
「あのさ、これ…。プレゼント…。似合うかどうか分からないけど俺が選んだんだ…」
 小さな箱を二人に手渡す。中を見て笑顔だった顔をもっと笑顔にする珊瑚ちゃんと、恥ずかしそうにはにかみながら俺の顔を上目遣いで見つめる瑠璃ちゃん。イルファさんもにこにこ顔をもっとにこにこ顔にしてこっちを見つめている。そんな今日6月16日、俺の大好きな双子姫の誕生日だった。

END