私、紫和泉子は今、ぷんぷん怒っています。
えっ? なぜって? それは…。それは、全部あの人が……。あの人が、あんなことを言わなければ、私は怒らなくてすんだんですぅ。
う〜っ、今思い出しただけでも腹が立ってきますぅ〜!!
ちびっ子は禁句ですぅ〜
前編
「よう、和泉子」
朝、私がいつものように学校へ登校しようと、桜並木の下を歩いていると誰かが後ろから声を掛けてきました。私は頬を紅色に染めてぷぅ〜っと頬を膨らませます。
「朝倉さん!! お、大きな声で呼ばないでくださいまし! は、恥ずかしいですぅ」
「すまん…。だってお前の姿が見えたから……」
そう言って、私の横に並ぶ子の男性は、朝倉純一さん。私の大好きな人です。唯一私の正体を知っていて…、私のことを好きって言ってくれた人…。
今、私は“地球環境適応能力検査・長期滞在型”というちょっと長い名目で地球に住んでいます。地球での暮らしは最初はつらいものでした。
私たち、キリト星系第4惑星シーム星の人間には地球大気が有害なのです。雨なんか、もってのほか! とても危険です。だから、お外へ出るときは必ず空気を遮断するようにクマのぬいぐるみを着てました。
おうちに帰ってもお風呂に入っているとき意外はぬいぐるみを着たまま過ごさなければなりません。でも、今はもうそんなことはありませんけどね…。
銀河連邦の科学者の人たちが新しく開発してくださった、ぬいぐるみに替わるコートがありますから…。
最新のテクノロジーが結集したこのコートがあれば、私は朝倉さんに…、彼に、本当の私を見てもらえるんですから…。
今日も私は、それを着て朝倉さんと登校です…。緩やかな勾配の坂道を登っていきます。ああ、今日も平和な一日の始まりなんですね。私はそう思っていました。こんな会話がなければ……。
「朝倉さん、私、今日はお弁当作ってきたんですよ? お昼になったら一緒に食べましょうね?」
そう言って、彼のほうを見ると嬉しそうに微笑みました。彼は言います。
「ありがとう…。和泉子。でも朝から準備してくれてたんだろ? 悪いな。いつもいつも…」
彼は私が重たそうに持っている重箱を手にとってくれます。いつもの光景でした。歩いて学校に向かっている途中、彼はふとこんなことを言ってきました。これが、私を怒らせることになったのです…。
「なあ、和泉子。この重箱、高いところにあったんだろ? 背が低いのに大変だったな……。ハハハ…」
ガーン……。
確かに…、確かに私は背が低いですよ? 朝倉さんの肩の下くらいしかないんですから…。クマの着ぐるみのときは大きかったですけど、実際の私はこちらの人間の皆さんが言うところの132センチくらいしかないんです。
まあ、他の皆さんには擬似立体ホログラフィーで今まで通りの私を見せていますけど…。
でも、彼には本当の私を見てもらいたい。そう思って擬似立体ホログラフィー機能は停止してるのに…。
それなのに……。私が、私が一番気にしてることを…、しかも笑いながら言ってくるなんて…。失礼ですぅ!! 私は彼を上目遣いで睨みました。……が、彼は私が睨んでいることに気付かず、さらにこんなことを言ってきたのです。
「なあ、和泉子。そろそろ擬似立体ホログラフィーは外してそのまま登校したらどうだ? お前だったら可愛いから大丈夫だと俺は思うぞ?」
ニヤニヤ笑いながらそんなことを言ってくる朝倉さん。…朝倉さん。その顔じゃ、ぜんぜん説得力がありませんよ? うううっ…。そう言ってる間にも私の頭をぽんぽんとしたり撫でてきたりする朝倉さん…。
「私は……、私は……。私はこれでも朝倉さんと同い年なんですぅ〜!! そんな子供を見つめるような目で見ないで下さいまし!!」
そう言って私はさらに朝倉さんを睨みます。バシッと撫でる手を払い除けました。ぷぅ〜っと頬を膨らまし彼を見上げます。彼はというと…。
「だって本当のことじゃないのか? 小さいのに小さいって言って何が悪いんだ?…。…って、ぷぷっ。そうしてるとますます子供みたいだぞ? 和泉子…」
笑いながらそんなことを言って、朝倉さんは私を見つめてきます。私は悲しくなりました。だって自分の恋人に子供だなんて言われるなんて……。涙が溢れてきました。
「うううっ…。それは本当のことです…。確かに私は小さいですよ? でも、でも…。好きな人に言われるなんて…。恋人に言われるなんて…。あんまりですよ〜っ! もうっ! 知りません!!」
朝倉さんを放ったらかしにして私は走って学校へと向かいます。しばらく私の駆けていった方を見ていた朝倉さんは…、
「ま、ま、待ってくれ〜。和泉子〜! 冗談、冗談だって〜!!」
そう言って追いかけてきました。私は必死になって逃げました。桜並木を走っていきます。けど…、やっぱり女の子の力では男の子には敵いません。私は朝倉さんに捕まってしまいました。後ろから体を持ち上げられ足が宙ぶらりの状態になります。
「放して! 放してくださいましぃ! 朝倉さん!」
必死になって彼の手から逃げようとする私。朝倉さんはそんな私を持ち上げたまま…。
「わっ、に、逃げるなって…。冗談だって言ってるだろ?」
そう言ってきました。私は朝倉さんと同い年なんですよ! それを子ども扱いするなんて…。許せませんよ…。朝倉さん……。私は彼に言いました。
「冗談でも言っていいことと悪いことがあります! 今の朝倉さんの言ったことは言って悪いことなんですよ?! 人を…、いえ、私みたいな宇宙人を外見だけで判断するなんて…。私は……。私は怒ってるんですからねっ!! お弁当も作ってきてあげませんっ! これから一人で作って食べてくださいましっ!! さあ、降ろしてくださいましっ!!」
そう言うと、私は持ち上げられた体を捻って朝倉さんの顔をギロリと睨みました。朝倉さんはお母さんに叱られた子供のように、私を見てきます。
“うふふっ…、一応は反省してるみたいですね…”
私はそう思いました。朝倉さんは、私を下ろすともう一度頭を下げます。
「ごめんな…。和泉子…。子供っぽいとか言って…。……こんなことを言うのはかったるいんだけどな…。でも、お前が可愛いから言ってしまうんだ。ほら、よく言うだろ? 可愛い子にはイジワルしたくなるって…。俺のはそれだ。だから男の性だと思って諦めてくれ……」
そんなことを言って頭を深深と下げる朝倉さん。途端に私の顔は真っ赤になってしまいます。可愛いだなんて…。と、朝倉さんを見ると微笑みながら私を見つめていました。……と、ふと、疑問が浮かびます。
朝倉さんは片膝をついて私と同じ目線になってそんなことを言っています。なぜ? 普段なら、普段の彼なら立っているのに…。…と、私はしばらく考えます…。
しばらく考えて、分かりました。いいえ…、正確には分かってしまったと言うのが正しいです…。途端に私の目から涙が溢れてきて、私は我慢しきれずにその場に座り込んで泣いてしまいました。
ふと肩に触れた手を払い除けます。彼の顔を涙目で睨みつけました。彼は分からないという顔をしてこちらを見つめています。その顔に無性に腹が立って、私は彼に近づいてぽかぽかと胸を叩きながらこう言いました。
「朝倉さんのバカッ! バカッ! バカッ! 私の背が低いからって…、そんな風に目線を下げなくったっていいじゃないですかっ!! 私は子供ですかっ?! 私だって…、私だって朝倉さんと同い年なんですよ!! 反省してたんじゃないんですか? 私だって好きでこんなに小さいんじゃないんですよ…。もともと私の星の人間はこれくらいが普通の体型なんですよ? それなのに…、それなのに朝倉さんは…。うううっ……。もう、絶交ですっ!!」
私は涙で濡れた目をごしごしと擦りながら立ち上がると、彼を置いて学校へと向かいます。彼は私の後をついて来ていました。私は彼のほうに振り向いて……、
「ついてこないで下さいましっ!!」
「和泉子…」
そういう彼を残して私はずんずんと学校へと向かいました。涙に濡れた目を擦りながら……。
「少しからかいすぎたか……。ちゃんと謝らないと…。まあ、謝っても許してもらえそうにないけどなぁ…。はぁ〜…」
俺は和泉子の去っていった方に目を向けてそう呟いた。男の性とは時に残酷なものだな…。そう思いながら学校へと向かう。ガラガラッと教室のドアを開けると、眞子が手に炎のオーラを出しながら、爛々と光る目で俺を睨んでいた。
和泉子はと見ると頬をぷぅ〜っと風船のように膨らませてこっちを睨んでいる。教室中が俺を敵視するような瞳で見つめていた……。と、眞子が言い寄ってくる。
「朝倉! アンタ、また紫さんに何か言ったでしょ!!」
何で知ってるんだと思ったが、向こうの方で俺を睨んで、あかんべーをしてぷいっと横を向く和泉子。何で俺たちのことを知ってるんだ? 和泉子が言ったのか? そう思った俺は眞子に聞いて見ることにする。
「どこ見てるのよ、朝倉! ちょっと!! ちゃんと聞いてる?」
「聞いてる、聞いてるって…。でも眞子…、和泉子のことを何で知ってるんだ?」
「ふっふっふ…。朝倉…。わが非公式新聞部の諜報能力を甘く見るものではないぞ…。今朝のお前の行動、探らせてもらった…。……よりにもよって校内美少女ナンバー10に入る紫嬢を泣かせるとは…。朝倉! お前は男の風上にも置けん奴だ!!」
びしっと俺を指差して、非難の言葉をとうとうと並べている杉並。やっぱりこいつか…。俺は思った。その後を工藤が言ってくる。
「朝倉…。お前が何を言ったのかは知らないけどさ…。ちゃんと誠意を持って謝らないとダメだと思うぞ? お前の彼女なんだしさ…」
ことりがやってくる。学園のアイドルにみんなの視線が集まっていた。俺の顔を見て…、
「そうだよ。朝倉くん。工藤くんの言った通りだよ? ちゃんと謝って許してもらわないとダメだね…」
ことりが工藤と同じことを言ってくる。教室を見ると和泉子意外、みんながうんうんと頷いていた。
「分かった…。和泉子にちゃんと謝る……」
そう言うと俺は、和泉子の机の横まで行き、そこで深々と頭を下げて謝った。
「すまなかった…。和泉子…、このとおりだ。許してくれ…」
和泉子は少し俺のほうを見て、また目を逸らす。頬をぷぅ〜っと膨らませて…。ふっ…、と顔を見ると完全に拗ねていた。本当に子供みたいだったが、このことを言うと教室中、いや学園中の男子を敵に回しそうなので止めにしておく…。そんな俺に、ことりや工藤がフォローをしてくれた。
「紫さん、朝倉も反省してるんだから許してやってくれないかな?」
「そうだよ、あの朝倉くんがあれだけのことしたんだよ? 紫さんも分かってあげて? ねっ?」
“あの”は余計だ。ことり…。そう思ってことりのほうを見遣るとぽりぽりと頬を掻いていた。和泉子は? とそちらの方に顔を向けるとやっぱり頬をぷぅ〜っと膨らませて拗ねたまま、何か小声で言っている。
なんだろうと、彼女の顔に耳を近づけた。
「分かってます。分かってますけど、傷つきます…。あんなことされて傷つかない方がおかしいです…」
やっぱり許してもらえそうにないみたいだった……。
昼時…。いつもなら和泉子の作った昼飯を食べるんだが、今日はそう言う訳にはいかなかった。朝、トースト1枚だったので、腹の虫がぎゅるぎゅる鳴っている。食堂へと行こうと思ったが、生憎と金がなかった。
腹を抱えて机に突っ伏しているとななこが、俺のもとへとやってくる。
「朝倉くん…。お昼、ないんでしょ? よかったらこれ…」
そう言って自分の弁当を差し出してくる。ありがたいとは思ったが、それじゃあ、ななこが可愛そうだ…。それに今回は俺の失態が招いたことだ。俺は言う。
「ありがとな。ななこ…。でも、いいや…。反省するために俺、今日は昼飯抜きにするよ…」
かなりかったるいが、俺はななこにそう言う。ななこは少し残念そうな顔をすると、もと来た席に帰っていった。
「腹減った〜…」
一人腹を押えてゴチる。和菓子でも出して食べたかったが、桜が散った日からそれも出来なくなってしまった。やっぱりななこに頼んで分けてもらうか…、屋上に行って、萌先輩と眞子の鍋のお相伴に預るか…。う〜ん。考える…。
時間は刻々と過ぎる。腹は鳴る…。ななこを見ると弁当は食べてしまったようだ。多分図書室で漫画でも描くつもりなんだろう。教室を出ていってしまった。俺ももう限界だ。不本意ではあるが萌先輩の鍋の厄介になろう。そう思い、立ち上がろうとした。と、後ろで誰かが俺の制服を突ついていた。
誰だろうと振り返ると、ぷぅ〜っと頬を膨らませた和泉子だった。
「……どちらへ行かれるのですか?」
俺の顔を睨み付けながら言う和泉子。まるでフグが相手を威嚇するような顔のように頬を膨らましている。見ていると子供のようで可愛いが、それは禁句だ。和泉子の顔を見てそう思った。
「い、いや…、ちょっと屋上の方に…、行こうかな〜っと……、思いまして……」
「朝倉さんっ!!」
バンッ! と、俺の机を叩く和泉子。まるで音夢がいるようだった。だんだんと和泉子が我が義妹のようになっていくような気がした。ググッと俺を睨みつけてくるその顔は、まるで“裏”音夢のようだった。
「……食べましょうよ……。お昼ご飯……」
「えっ? あ、あっ? ゆ、許してくれるの?」
そう言うが和泉子は首を横に振る。頬は膨らませたままだ…。
「許すも許さないもないです…。せっかく作ってしまったから食べてしまわないともったいないですからね…。一時休戦です…。それは、不愉快ですけど…、怒ってますけど…」
そう言いながら、俺の机に自分の椅子を持ってくると頬を膨らませながら座る和泉子。怒ってるよなぁ〜。こりゃ…。そう思いながら弁当を受け取る。
中身を見ると今日もシャケおにぎりだった。もうシャケおにぎりはやめてくれとは思ったが、ここで怒らせて、挙句の果て、泣かれると非常に厄介なのでやめにした。シャケおにぎりを黙々と食べている和泉子。そんな彼女を見ながら、食べている俺…。
「今日のシャケおにぎりは格別においしいなぁ〜」
そう言ってご機嫌を取ってはみるが、和泉子はぷぅ〜っと頬を膨らませたままこちらを上目遣いで睨んでくる。気まずい雰囲気が流れた。誠心誠意謝っても許してもらえそうにないなぁ…。これは…。むすっとした顔でシャケおにぎりを食べている和泉子を見ながら俺はそう思った。
お昼が過ぎて5、6時限目の授業も終わり、いよいよ放課後です。6時間目の授業の復習をしていた私。一人机に向かっています。あたりを見回すと朝倉さんが私のほうをちらちらと見つめていました。私はあかんベーをするとまた机に向かいます。
夕方五時…。辺りはもう冬の夕暮れです。木々も枯葉を落として、寒そうに夕日に照らされて赤く映えていました。私は帰る支度をして教室を出ようとします。と、朝倉さんが私の方によってきて…。
「和泉子。仲直りしてくれ! お願いだ! 頼む! もうお前のこと、ちびっ子だの小学3年生だのお子ちゃまだのなんて思ったり、言ったりしないから…。なっ? この通りだ。……って、あっ、や、やば…」
最近よく噂で私のことを小学生のお子ちゃまって言ってる人を見かけますが、あれは全部この人が流した噂だったんですね? 最初は何が何だかさっぱり分かりませんでしたけど…。ひ、酷い…。酷いです…。
朝倉さんはギョッとした顔で私の方を見ています。私の目からつ〜っと涙が滴り落ちるのが分かりました。私はそのままへたり込んで泣いてしまいました。今まで生きて来てこんなに悔しい気持ちになったのは初めてです。…自分の好きな人に、本当に大好きな人に…、ここまで言われるなんて…。
「うっ、うっ、ううっ…」
朝倉さんは顔を青くして言います。見るとおでこを教室の床に擦り付けていました。
「悪かった。今のは失言だった…。謝るから…。許してくれ。このとおりだ…」
「……」
鼻をすんすん鳴らして立ち上がる私。悲しい瞳を彼のほうに向けながら寂しげにこう呟きました…。
「…朝倉さん、お別れしましょう?」
彼は一瞬気が抜けたような顔になり…、
「な、何だって?……」
「さっきの言葉で朝倉さんの気持ちが良く分かりました…。朝倉さんは、着ぐるみのときはクマ、本物の私は子供…。結局外見だけしか見ていないということが…。私は今まで朝倉さんは心の中を見てくれる人だって…、私の素顔を見てくれる人なんだってそう思ってました。…帰って来れて良かったって…。本当に良かったって…、そう思ってたんですよ?……。なのに…、なのに…。私は悔しいです。裏切られた気持ちでいっぱいです……。ですから……、お別れしましょう?」
そう言いながら彼の顔を見上げます。よほどショックが大きかったのでしょう。彼の口からは言葉が出てきませんでした。そんな彼に私は言います。
「朝倉さん…、私、自分の星に帰ります…。朝倉さんが見つけてくださった恒星間移動のチップはもう宇宙船につけてあります…。……地球での暮らしはとても楽しかったです。好きな人も出来ました。でも…。それも、水泡に帰しました…。今、私の心の中にあるものは、悔しさ…。それだけです……。もっと私の心の中を見て欲しかった…。内面を見て欲しかった…。それだけです…。……私は星に帰ります…」
ペコッと頭を下げると私の目には涙が溢れて、ぽたぽたと地面にシミを作っています。くるっと後ろに向いて歩き出しました。私の後を申し訳なさそうに着いて来る彼…。そんな彼に私は言い放ちます。
「どうして…、どうしてついて来るんですか? 朝倉さん…」
彼が黙っていた口を開きます。私は背中を向けたまま聞き入りました。彼の言葉を…。
「なぜ…、なぜそんな悲しいこと…、言うんだ? 和泉子…。俺はお前のこと、和泉子のこと、本当に好きなんだ。好きな子には、本当に好きな子には…、逆に好きって言えなくて、その、なんだ。恥ずかしくって……。逆にいじわるをしてしまうもんなんだ…。俺のは…、俺のは…それなんだ…」
くるっと彼のほうに向き直った私…。涙で濡れた目をごしごしと拭きました。
「だからって…。言って良いことと悪いこととがあるんですよ? 朝倉さんの言ったことは悪いことなんですよ? …少し考えさせてくださいまし…。星に帰るにしても、それ相応の手続きもありますから…」
彼の目を見つめてそう言うと、私はまた、彼に背を向けて歩き始めました。朝倉さんは、再び私の後を追ってくることはありませんでした。枯葉の落ちた木々が夕日に照らされて、言葉には言い表せないほど、とても寂しく映っていました…。そう、それは私の心の中のように…。
後編につづく…