誕生日の体育祭
今日、10月18日はボクの誕生日。
ついでを言うとボクの学校の体育祭の日なんだ…。体育は好きだよ、ボク…。でも…。あ〜あ、せっかくなら日曜日にやればいいのに…。そしたら次の日はあにぃと一緒にサイクリングに行けるのにな…。ちぇっ…、残念だよ〜。
体育祭前日の夜。10月の綺麗な星灯りがボクの部屋に入ってくる。コンコンと部屋をノックする音が聞こえた。あにぃかな? そう思った。
「衛? 僕だけど、入っていいかい?」
「あ、あにぃ…。うん、いいよ」
案の定、あにぃだった。あにぃはボクの椅子に座る。ボクは対面のベットに座ったんだ。
「ねえ、衛…。何か悩みがあるんじゃない? 僕でよかったら相談、のるよ?」
「うん、実はね……」
ボクは体育祭のことをあにぃに話す。あにぃは……。
「仕方ないよ。衛。学校行事なんだから…。それに、衛だって体を動かすことは好きだろう?」
「うん…。ボク、体を動かすことは好きだよ。でも、どうせなら日曜日にやればいいのに…。そうしたら次の日は代休になってあにぃと思いっきり遊べるのにな……」
「ははは…、衛は子供だなぁ〜」
そう言ってボクの頭を撫でてくるあにぃ。あにぃに言われるとやっぱりボクって子供なのかなって思ってしまう。普通、女の子は“ボク”って言わないものだしね…。でも、ボクはボクだし…。う〜ん。
考えているボクにあにぃは…。
「衛…。走ろうか……」
そう言ってくる。あにぃの顔を見るとにっこり微笑んでいた。運動音痴のあにぃがこんなことを言うなんて…。どうしたんだろう? でも、とても嬉しかった。
「うん、あにぃ! それじゃあ、行こうよ!」
ボクたちは、夕日の沈む海岸線まで走った。途中で、あにぃはやっぱり…。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ……。も、もうダメ…。ふぅ、ふぅ…」
「だらしないなぁ〜。あにぃは…。ふふふっ…」
ボクはあにぃのその言葉に思わず吹き出してしまう…。だって、2キロ走っただけでこうしてふぅふぅ息をついてるんだもん…。あにぃはそんなボクを見てこう言ったんだ…。
「やっと普段の衛に戻ったかな…」
って…。あにぃ…、ひょっとして、ボクを励まそうと思って?……。そう考えるととても嬉しくなって、心の中が温かくなって…、咄嗟にボクはあにぃの大きな背中に抱きついていた。
「ありがとう、あにぃ。大好きだよ……」
そう言って、ボクはもっとぎゅってあにぃの背中を抱きしめたんだ。夕日が暮れる10月の海岸線はちょっと寒かったけどね…。でもあにぃがいるからボクの心の中はぽかぽかと温かかったんだ…。
「やったよ〜!! あにぃ〜!!」
運動会当日…。ボクはあにぃに向かってVサインを作る。1位の旗を持って…。そんなボクを見て、あにぃは微笑みながらボクと同じようにVサインを作ってくれた。そんな晴れた空が気持ちのいいボクの誕生日だったんだよ……。
END