看病します
第2話 春歌の場合
「兄君さま? お体の具合はどうですか?」
「うん、まだ微熱が残ってるけど…。もう大丈夫だよ?」
今日5月16日は妹・春歌の誕生日だ。この日のために和食レストランの奥座敷を予約した僕だったんだけど、前日からちょっと体の調子がおかしくなっちゃってて…。はぁ〜、一昨日暑かったからって半そでTシャツで寝ちゃったのが原因なのかなぁ〜。
「微熱? ちょっとおでこを出してくださいませ? 兄君さま…」
僕の額をの髪の毛を持ち上げて、自分の額をくっつける春歌。春歌の顔が目の前の見える。僕は何だか恥ずかしくなって目を瞑った。しばらくして春歌の額が僕から離れる。瞑っていた目を開けると春歌は何だかぷぅ〜っと頬を膨らまして僕の顔をしてこっちを見つめていた。
「兄君さま! また嘘をおつきになって!! まだ熱があるじゃありませんの! 今日は外出禁止ですわ!! さあ寝ていてくださいませ!!」
少々怒ったような顔で言う春歌。って怒ってるんだからこんな顔か…。一人合点する僕。でも、行きたかったところもあるんだろ? 熱さましを飲んでいけば行けるんじゃない? そう言うと急に涙目になる妹。
「兄君さまにもしものことがあったら…、ワタクシ…、ワタクシ…」
そう言うとぽろぽろと泣き出す僕の妹。全く心配性なんだから…、と思う反面、嬉しい気持ちでいっぱいになる。僕のことを本当に心配してくれているんだなぁ〜っと思うと熱がぐんと上がってきたみたいだった。泣いている春歌に“ごめん。じゃあ今日は家で養生しておくよ…” 髪を優しく撫でて言うと、“ええ、そうしてくださいませ” と涙を拭きつつ微笑みながら言ってくるんだ。やっぱり僕は妹の涙にはかなわないや…。
「本当にいいのかい? こんなことで…」
「ええ、構いませんわ。好きな殿方に髪を梳いてもらうこと…、ワタクシの夢でしたの。ポッ」
そう言う当と顔を赤くしてにっこり微笑む春歌。後出に見える顔からも微笑んでいるのが分かった。そんな春歌に…。
“春歌、お誕生日おめでとう。今日はプレゼント買いに行けなかったけど、また今度行こうね?”
って心の中で優しく言う今日5月16日、僕の大好きな妹、春歌の誕生日だ……。
END