看病します
第6話 可憐の場合
「お兄ちゃん、お風邪のほうはもういいの?」
「うん、熱もだいぶ下がって来たみたいだし今日は何とか動けそうだよ?」
3日間から風邪を引いていた僕。原因はと言われると…、まあ僕のせいなんだけど…。妹に“今日は雨が降るから傘を持っていったほうがいいよ?” と言われて…。でも晴れてるのに雨なんか降るのかなぁ〜なんて思って持っていかなかったのか運の尽き。大雨に降られて結果はこの様だ。妹には涙交じりに怒られるし…。って言うか泣かれるし…。参った。父さんも母さんも、何にも言わずに、妹・可憐に怒られている僕を微笑ましそうに見てるし……。あの時はほんとに大変だったんだからね?
あれから3日。学校を1日欠席してるけど、まあ1日休んだくらいで分からなくなる程度じゃないのでその辺は安心なんだけどさ…。今日9月23日は妹・可憐の誕生日。一週間前、僕とピアノのコンサートに行く約束をしていた可憐は嬉しそうにしてたっけ…。ちなみに可憐はピアノがう上手い。って、3歳の頃かピアノ教室に通ってるんだから当然と言えば当然なんだけどさ…。でも妹をひいきする訳じゃないけど、可憐のピアノは本当に上手いんだよね…。時々隣の部屋から聞こえてくるピアノの音は優雅で繊細でとても心地がいいんだよねぇ〜…。
さあて風邪も治りかけだし、それにせっかくの妹の誕生日なんだから…。と思って起き上がろうとした瞬間…、
「ところでお兄ちゃん。もうお熱は測ったの?」
と、実に疑り深い目で僕のほうを見つめてくる妹。実は昨日の朝、妹が測ってくれたときから測ってなく…、って言うか僕が測るのを忘れていただけで…。思わず、“うっ!” と一瞬怯む僕。熱は昨日の段階で微熱程度にまで下がっている。が、完全に下がってはいないだろうなぁ。って思う。妹は更に疑いの眼を僕のほうに向けながら体温計を片手に近づいてきてるし…。はは、ははははは。笑うしかなかった。
「もう! お兄ちゃんは…。お風邪もまだ完全に治ってないのにこんなに無理をして…。お兄ちゃんに何かあったら、可憐は…、可憐は…。ううっ、うううっ…」
「あああっ! だから悪かったって謝ってるだろ? 大人しく寝てるから、だから泣きべそをかきながら僕の顔を見つめないでくれー!!」
あの後、体温計を渡されて測ったら37.8度もあって妹にまた怒られた(と言うか泣かれた)。で今現在も可憐は僕の顔を泣きべそをかきつつ上目遣いに睨んでいる。何にせよ、最初に妹の忠言を無視した僕に責任があるわけで…。はぁ〜っと大きなため息。でもまあ、甲斐甲斐しく僕の面倒を見てくれる妹に感謝かな? と思える今日9月23日…。
“可憐、今日はありがとう…。また風邪が治ったら、一緒にお出かけしようね?”
と心の中でそう呟く、僕の大好きな妹・可憐の誕生日だ。END