看病します

第7話 衛の場合


何もこんな日に限って風邪だなんてさ…。あにぃはもう少し体力つけないとダメだよ?」
「面目ない…。ごほっ、ごほっ…」
 僕の顔をぷぅ〜っと頬を膨らませて見つめる少女が一人、椅子にもたれかかっている。一昨日ぐらいから体がぞくぞくし始めて、今朝熱を計ってみたら、38度もあった。完璧な風邪だ。とは言っても明日は妹の誕生日だからと昨日無理をして妹とキャッチボールなんかをやっていたのが運の尽き…。結構標準体温は高い僕なんだけどな〜…。ご覧の通り今日は一日中横になってるわけで……。妹は運動神経がものすごくいい。走るのも学年中で一番だ。ただし球技を除いてはなんだけどさ…。キャッチボールなんかは受けるのはうまいけど、投げるととんでもない方向へ行ってしまう。おかげで昨日も走らされたっけ? ははっ…。
「もう風邪薬は飲んだの?」
「いや、それ食後って書いてあるだろ? だからお粥を食べてからかな?」
 市販の風邪薬の箱を取って、詳細事項を見ながら妹・衛は言う。運動神経がいい衛は運動会シーズンになるとあっちこっちから引っ張りだこになる。この間も町内会の運動会で、優秀賞をもらってたっけ? ちなみに僕はブービー賞だったけどさ…。でも両親ともが足が遅いのに妹だけ足が速いってどう言うことだろう…。母さんに聞けば、“おばあちゃんが足が速かったらしいから衛はきっと父さんの家系ね?”と言っていた。でもあののんびりとしたおばあちゃんがねぇ〜? とは思ったんだけどまあ衛はおばあちゃんに似てるところも多々あるので、やっぱりおばあちゃんに似たのかなと思ってしまう。
「じゃあお母さんにお粥作ってきてもらうから…って! そ、そうだった!! お母さん、用事でさっき出掛けたんだった!! ど、どどど、どうしようあにぃ。ボクゆで卵くらいしか作ったことないよ〜!!」
 突然慌てだす妹。あまりの狼狽ぶりにびっくりしつつも微笑む僕。実は母さんからこっそり料理を教えてもらってるっていうこと、知ってるんだよ? そう思いにっこり微笑む僕はあるお願いをした…。


「ど…、どうかな? やっぱりダメ? …だよね? あにぃ…」
「ううん、結構美味しいよ? 初めてにしては上手いほうじゃないかな?」
 妹の初めて作ったお粥を食べながらにっこり微笑んでこう言う僕。“ほ、ほほ、ほんと?” そう言うと今までの不安そうな顔から、一気ににこにこ顔へ変わる僕の妹…。今日10月18日はスポーツは出来るけど家事がまったくダメで…、でも頑張り屋さんな妹・衛の誕生日だ。

END