看病します

第10話 花穂の場合


「ふぇ〜ん…。やっぱり花穂のせいだぁ〜。ごめんなさ〜い。お兄ちゃまぁ〜」
「そんなことないって、花穂。花穂は一生懸命頑張って僕に肩を貸してくれたじゃない?」
 今日1月7日は僕の可愛い妹、花穂の誕生日だ。でも僕はこうしてう〜んう〜んと唸っている。というのも1日の朝、初詣に近所の神社へお参りに行ったんだけど結構人が多くて、迷子にならないようにと手を繋いで歩いてたんだけどさ…。ちょうど氷が張ってあるところを歩いてたのが悪かったのか、すってんころりんと転んでしまって…。
 幸いなことに骨には影響はなかったものの、まだ動かすとぴりぴり痛いんだよね? 花穂の肩を借りて帰って来ると母さんが、“まあ! 花穂よりドジだねぇ〜。航は…” ってため息を吐きつつ言いながら、救急外来のある病院を電話帳で調べてたっけ…。
 で、今はこうして寝たり起きたりの日々なんだけどさ。まあもっとももう大丈夫ではあるんだけど、僕が動いてちょっとでも蹴躓くと、妹がぺこぺこ頭を下げて謝ってくるんで、動こうにも動けずじまいで…。一応、プレゼントの方は父さんに頼んでおいたけど…。
 元来不器用な妹は何をやってもドジばかりやってしまうんだよね? でも、頑張り屋さんな僕の妹は一つ一つ確実にそれをクリアーしてきたんだ。僕の隣、危なっかしそうなナイフの持ち方で、林檎を剥いている妹を見ながら僕はそう思った。


「う、ん? ああ、もう夕方か…」
 陽は西に傾いて部屋を黄金色に染めている。もうそんな時間か…。身を起こすと、辺りを見回す。父さんが帰ってきたのか、頼んでおいたプレゼントが机の上に置いてあった。で、肝心の妹はと言うと僕のベットにもたれかかるように眠っている。ああ、そうか。疲れて寝ちゃったんだな? そう思い、肩に掛けてあった半纏をそっと妹の肩越しに掛けてやる。
 “お誕生日おめでとう。花穂…。これからも応援よろしくね?” と小さい声で言うと、寝言か訳の分からない言葉を言いながらにっこり微笑んでいる。そんな今日1月7日は僕の応援団長、花穂の誕生日だ。

END