看病します
第12話 千影の場合
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ…。うーん、ダメだ…」
「…しょうがないな…。兄くんは…。だから言ったじゃないか。傘を持っていたほうがいいよって…」
「ご、ごもっとも…」
今日3月6日は僕の妹・千影の誕生日だ。だけど僕はご覧の通り昨日から体がぞくぞくし始めておまけに咳も出てきた。今朝千影に体温計を取ってきてもらい計ってみると…、38.6度もあった。完璧な風邪だ。妹は大学で薬学を学んでいる。だからじゃないけど薬の扱いには手馴れたものだ。ちなみに僕は文学部。まあ昔から妹は理科の実験とかが好きだったからね。この道に入ったのも通りだと思う。
「処方箋とかはあるのかい?」
「あ、ああ、そこのテーブルの上に置いてあるのがそうだよ? ゴホッ、ゴホッ…」
妹は今日診察を受けた医院の処方箋を見ている。兄から見てなんだと思うけど、妹はものすごくきれいだ。こうして見ていると吸い込まれそうなくらいに美しい。他の人が見たら10人中9人は振り返る。そんな妹だ。でもそんな妹の怪しいところも僕は知っているわけで…。何でも魔術とかオカルトとかそう言う風なものに興味を持っている。最近では西洋占星術にも興味を持ち始めたらしい。“まあ変わった趣味を持った妹さんだな?” とは僕の友人の弁だ。
「風邪薬としてはまあ妥当なところだね?」
処方箋を見ていた妹はそう言うと少し照れ笑いを浮かべる。“じゃあお粥を作ってくるから待ってるんだよ?” ちょっと顔を赤く染めて妹はそそくさと僕の部屋を出て行く。どうしたんだ? 一体…。そう思って処方箋を見てみると…。
「ご、ごちそうさま…」
「じゃ、じゃあお薬を飲んでゆっくり体を休めておくんだよ?」
妹は頬を真っ赤に染めて僕の部屋を出て行った。僕は僕でまた熱が上がってきたみたいだ……。横になると問題の処方箋が見える。なんて書かれてあったのか…。それは僕と千影、二人だけの秘密だ。ただ最後に1つ、僕の字でこう付け加えた。“HappyBirthday for Chikage.and I’m sorry” ってね?…。
END