お姉ちゃんドキドキする
第2話 春歌の場合
今日5月17日は僕の姉さんの誕生日だ。普段から何かにつけて文句と言うか小言をぶつぶつ言う僕の姉さん。大抵は僕の生活関連に関してだけど、ちょっと過保護すぎるんじゃない? と思ってしまうことも多々あるんだけど…。この間もお弁当のことでちょっと文句を言うと、怒っちゃったかと思うとぶぅ〜っと頬を膨らませて涙をぽろぽろ流すものだから困っちゃうわけだ。もっともこれはもう昔からだからこっちはもう慣れちゃったけどね…。姉さんとは4つ違う。4つも歳が離れているのか、4つしか歳が離れていないのか、そんなことを考えてみると僕の場合は前者の方かなぁ〜っと思ってしまうわけで…。4つも歳が離れているんだからもうちょっと大人な女性になって欲しいところなんだけど、元来の甘えん坊なのかな? 僕にいろいろ難題をふっかけてくるわけで…。例えば僕がお風呂に入らなかったりすると、僕の手を取って無理矢理お風呂場まで連れてきて一緒に入ろうとするし…。この前もちょっとそこまで行ってこようとすると、いちいち尋ねてくるから面倒くさいことこの上ないことも事実なわけだけど…。それだけ僕のことを大切に思ってくれていることもよく分かってるんだけどさ。でももう少し僕のことを信用してくれてもいいんじゃない? とも思う。父さんたちは外交官なため、帰ってくるのは年に2、3回くらいだけど姉さんがいてくれるおかげで、寂しいって思ったことは一度もない。もっとも父さんたちも姉さんが(表向きは)しっかり者だからそんなには心配していないんだけどね?
で今日、友達にいい装飾品のお店の情報を聞いて、姉さんへのプレゼントを買いに来た僕。ドイツ生まれで帰国子女な僕たちは何かと目を引かれる。特に姉さんは和服に袴姿だから余計に目立つわけだけど、たまに洋服姿になるときもあるわけで…。と言うか和服に袴姿が常なわけだから、返って洋服姿のほうがちょっとドキドキしちゃう僕なわけだけど。そう思ってるうちに噂の装飾品店に到着する。
中へ入るといろいろなアクセサリーがあって正直驚いたのも事実。さて、普段和服な姉さんだから和風な感じなアクセサリーがいいのかなぁ〜っと思って見ていくと、ふっとよさげなかんざしがあった。値段は〜っと…、2000円。うん、ちょうど手頃だ。これにしようと思い取ろうとしてふっと何気なく向こうの方向を見ると洋服に合うアクセサリーのコーナーがあった。前述の通り洋服もたまに着る姉さんだからこんなものも似合うんじゃないかな? と思ってふらふら〜っと洋服用のアクセサリーコーナーに行く僕がいたんだけど…。
「ありがとう。航ちゃん…。ぐすっ、ぐすっ」
本当に姉さんは過保護と言うか感動症と言うか…。例の装飾品店で買ったかんざしを渡すとこんな感じで涙を流しつつプレゼントをぎゅっと抱きしめている姉さん。まあこれが僕の姉さんの特徴だからしようがないといえばしようがないのかもしれないけどね? でももう一つ、洋服用のプレゼントもあるなんて言ったらそれこそ大泣きに泣かれるんじゃないのかなぁ〜? ははは、はぁ〜。ため息をつきつつまだグスグス泣いている姉さんの頭を優しく撫でながらそんなことを思う今日5月17日。僕の大好きな姉さんの誕生日だ。
END