お姉ちゃんドキドキする

第9話 咲耶の場合


 今日12月20日は僕の姉さんの誕生日だ。僕の姉さん、一見モデルかと言わせるようなプロポーションで身のこなしもいいから友達なんかからは非常に羨ましがられているんだけど…。家では何をするにも僕にべったりで非常に困っているわけだ。しかもちょっとこっちが文句を言おうものならぷく〜っと頬を膨らませて上目遣いにこっちを見つめてくる。それだけならまだいいんだけど、上目遣いにぶつぶつ文句を言ってくるから最後は僕のほうが折れてしまうのが日常化しているわけで…。姉さんももう少し弟離れしてくれると嬉しいんだけどなぁ〜。はぁ〜。
 この間もそのことでちょっと言ったら急に泣き出して大変だったんだから…。早く彼氏とか作ってくれるとこっちとしても嬉しいわけだけど、当の姉さんは、そんなことは考えてはいないみたいだ。というより僕のことを彼氏と勘違いしているみたいな感じもするわけで、非常に厄介なわけだけど半面ちょっとだけ、ほんのちょびっとだけだけど嬉しく思ったりもしている。で、今日も待ち合わせってわけで…。そういえば去年は大変だったなぁ〜なんて思い出す。去年は仲の良い女友達に姉さんのプレゼントを選んでもらっているのをこっそり見られていて、何を勘違いしたのか僕の彼女だって思っちゃって…。ぷぅ〜っと頬を膨らます姉さんにプレゼントを渡すとギュって胸に当ててたっけ? 帰ってからも嬉しそうにしてたから相当に嬉しかったんだろうね? まあその女友達には後日、彼女のお兄さんのプレゼントを買うのを手伝ってあげたけど…。もちろん姉さんには内緒でね?
 しかしブラコンと言うか何と言うか…。これじゃあ僕は彼女も作れないじゃないか。とは思うけど、もっとも作る気はさらさらないからどうなのかな? その点は姉さんも同じで作る気はさらさらないみたい。顔も可愛いし性格も良いしプロポーションも前述の通りモデル並みだから、言い寄ってくる男の人も数いるのだろうけど全部断っているみたいだ。…とすると本当にブラコンなの? って思ってると…。たったったったっとこっちに向かって走ってくる足音数人。ああ、この1人は間違いなく僕の姉さんだ。と思って後の足音はなんだろう。ふっと駅のほうを見ると何人かの男の人にナンパされて逃げてくる姉さんの姿があった。


「ふぅ〜。あの人たち、しつこかったのよね? でも航のおかげで助かったわ。ありがとう」
 ちょっと頬を赤く染めてこう言う僕の姉さん。“そう思うんだったら早く彼氏でも見つけなよ…。まったく。僕は姉さんの‘彼氏’じゃないんだから、そうそう助けられる訳じゃないんだよ?” とちょっと口を尖らせて言う僕に、“そのうち作るわよ…。それより航のほうこそ彼女作りなさいよぅ〜” とちょっと拗ねた顔でこう言う姉さん。“ぼ、僕は別にいいんだよ〜。僕は〜” そう言って話をはぐらかそうとする僕にいつの間にかぷぅ〜っと頬を膨らませた姉さんがこう言うんだ。
「航が作らないんだったら私も作らないわよ〜!! 何よ、人の心配をする暇があるんだったらまず自分の心配をしなさいよね?! ぶつぶつ…
 ってさ。最後のほうがちょっと聞こえにくかったけど、そのうち本当に好きな人が出来るまで、こうやって姉さんの相手をするのも悪くはないのかな? と思う今日12月20日は、僕の姉さんの誕生日だ。

END