お姉ちゃんドキドキする

第11話 白雪の場合


 今日2月11日はボクのねえさまのお誕生日。だからこうやってねえさまと2人、デパートの地下街に来てるんだけど…。前の年はそういえばボクがねえさまのお誕生日を忘れちゃってて? ねえさま1人でフードバトルしてたなぁ〜なんて思い出してぷっと1年も前のことなのに噴き出しちゃうわけで…。“何を思い出したように笑ってるんですの? 航ちゃん?” と不思議そうにボクのお顔を見つめてくるねえさま。もちろんねえさまにはこんなことは言えないボク。もし言っちゃうと一週間くらいはぷぅ〜っと頬を膨ませておまけに涙目でじ〜っと睨んでくるねえさまのお顔を見なくちゃいけないし、それにボクの嫌いなにんじんをどっさり晩ごはんのときに出されて“全部食べるまで許さないんですのよ?! 航ちゃん!!” って目をグリグリさせながら言われちゃうんだからね?
「航ちゃん? 何かあったんですの? さっきから黙ったままで…」
 とねえさまが不思議そうにボクのお顔を見てこう言う。前にも言ったようにこんなことを考えてたなんて正直に言っちゃうとぷぅ〜っとした不機嫌そうなお顔を1週間ぐらい見ないといけなくなるわけだから、ボクはねえさまに気づかれないように話を変えることにした。
「何でもないよ? それよりねえさま、今日は美味しい屋台を発見したって聞いたんだけど?…」
「もうすぐですのよ〜。うふふっ」
 と微笑むとボクの手を引いてずんずん進んで行っちゃうねえさま。この間お正月の前にお買い物に来たときにもいっぱいだったけど今日もいっぱいだなぁ〜なんて思いながらねえさまの後に続くボク。と今まで歩いていたねえさまの足が止まる。ボクの足も止まる。“ここ?” そう聞くボクにうん! と嬉しそうに頷くねえさま。ふっと上を見ると、“ジャンボミックスパフェデラックス”って言う看板と、ボクの知らないアニメの女の子が美味しそうにパフェを食べているシールが看板の横に張ってあったんだ。“ね、ねえさま? まさかとは思うんだけど、今年はこれに挑戦するの?” そう聞くと、
「もちろんですの! 去年のリベンジですのよ〜っ!! って言うか今年は航ちゃんも参加するんですのよ?!」
 って…。“ええ〜っ! 聞いてないよ〜っ!!” って大きな声で言うボク。確か去年はねえさまが勝手にフードバトルしてたんじゃないの? とは思うんだけどボクのお顔を見つめて“食べるんですのっ!!” って言う目で見つめてくるお顔に何だか怖くなっちゃって、うんって首を縦にしか振れないボクがいたんだ…。手を引いて受け付けに行くボクたち。昼ごはんはちょっと少なめにしたんだけど、入るのかなぁ〜? そう思いながらよそのテーブルに運ばれているパフェのほうを見るボク。ねえさまはやる気満々と言う顔で店員さんに注文してるし。もうどうにでもなっちゃえ!! と思うボク。で結局…。


「ダメだ…。もう……、もう食べられない…。うぷっ」
「まだですの!! まだ…、戦いは…、戦いは終わってないんですのよ…。うぷぷっ」
 こうなっちゃうわけで…。まああの得盛のアイスクリームとそれにいっぱいの果物や生クリームにほとんど上のトッピングとかでダウンなボクとねえさま。他に食べてる人はいるの? って思って辺りを見たけど誰もそんな夢中で食べている人はいない。みんな楽しそうにお話しながら食べてるし…。って言うか真剣に食べてたのってボクたちだけなんじゃないの? って思いつつねえさまのほうを見てみるとどこか遠い目をして、途中“うぷぷっ” ってなりながらも食べているねえさま。こめかみをぴくぴくさせながら今も食べてるねえさまにちょっとだけ、ほんのちょっとだけドキッとなった今日2月11日、ボクの大好きなねえさまのお誕生日だったんだよ? うぷっ…。

END