引っ越してきて…

第4話 鈴凛が引っ越しきて…


「うぐぐぐ〜、お、重いよぉ〜。アニキ〜、ちょっとこれ持って〜?」
 と、妹がスパナの入った道具入れを重そうに持ちながら僕の顔を見る。引っ越し早々こんなに散らかす妹に少しばかりびっくりしながらも重そうな道具入れを上の棚に置いた。今日7月9日は僕の妹・鈴凛の誕生日だ。今年は今現在このように引っ越しを行なっているので一昨日一応誕生日を祝ったってわけ。まあ引っ越しと言ってもそんなに遠くに引っ越したわけでもない、同じ町内のちょっと広い家に引っ越したわけで。まあその引っ越しの理由と言うのが、今、僕の隣りで汗を拭き拭きふぅ〜っと大きな息をつきながら休んている妹の趣味と言うか実益と言うかその両者の事物なわけで。昔から手先が器用な妹はいろいろと発明することが好きな感じで、いろいろと発明してはそう言ったコンクールみたいなものに応募している。この間は大賞を取ったらしく、近々商品化するとかどうとかとそっち方面のお偉いさんたちがやって来て話をしていたっけ…。
 まあ工業系の高校に通う妹だからその辺りはお手の物な感じなんだけど、商品化とか言うのはあまりに唐突な話だったので僕が代わりに聞いたわけだ。相手方の社長さん自らやって来て、いろいろと話を聞いたわけだけど、0が7つつくような値段にびっくりして、慌てて聞き直してみても同じ感じで、0を2個省いた感じで無事に契約終了と相成った。しかし、妹の発明品がそんなに価値があるものなの? と正直疑わずを得ないんだけどね。妹自身もあの額を言われて正直腰を抜かしてしまったようで先方さんが帰った後で、放心状態だったっけ。まあ売れる売れないの問題じゃなくて、世の中の人に役に立つものを作れるって言うことはすごく誇らしいし、いいことなんじゃないかな? って思う。妹自身もその辺は嬉しそうにしてた。
 そんな発明家な妹なんだけど、普段の暮らしぶりはものすご〜くものぐさなわけで。あちこち散らかし放題に散らかして足の踏み場もないくらいないわゆる汚部屋状態なわけだ。この間も、“アニキ〜、パンツ忘れた〜。取って来て〜” と風呂場からそんなことを言うので仕方がないから取りに行くと足の踏み場のないくらいな何だか訳の分からない数字やら記号やらが書かれた紙やら服やらがあって、びっくりしながらも探し回ってようやくそれらしい三角形の物を取って持って行ったわけだけど。そのあとで2人で汚部屋状態から普通のお部屋に戻すのに、妹を優しく叱りつつ手伝って元に戻す作業を丸2日かけてやったのはいい思い出かな? と思う。とにかく妹は放っておくととんでもなく自堕落になってしまう癖と言うかそう言う性分なため、放っておくことが出来ない。父さんや母さんももう少しその辺のことを教えておいてほしかったなぁ〜っと遠い異国の地で頑張っている父さんたちを思いながら妹と片付ける僕がいたわけだ。
 世間では訳の分からないウイルス騒ぎがあってようやく落ち着いたかなぁ〜っと思ったらまた増え始めると言う感じになっているんだけど、幸いなことに僕の身の回りではそう言うことはないので安心している。でもこれからなる可能性だってあるのであまり安心はしないでいつでも危機意識は持っておくつもり。妹もその辺は分かっているみたいで外へ出るときとかは必ずマスクは着用している。まあ今はと言うと、妹特製のウイルス除去装置のおかげで室内はクリーンなわけだ。こういうのを持ち運び出来るようになったらどれだけいいことだろうか? なんて独り言で呟いていたのが聞こえたのか、ふっと妹のほうを見ると…。


「もう! アニキは〜っ! 今日はアタシが開発した携帯用のウイルス除去装置の特許取得に関する商品化の話だったんでしょ〜?」
 とさっきから謝ってるのにこの調子…。あまりそう言う科学分野に明るくない僕にそんなことを言っても分からないにも関わらず、小難しい用語をどんどんと継ぎ足してぷく〜っと頬を膨らませて言う妹に確信犯的な感じ(と言うより絶対確信犯だよね?)のする妹の拗ねた顔を見ながらうんうんと頷くそんな今日7月9日は僕のちょっと手の掛かる、だけどそこがものすごく放っておけない妹・鈴凛の17歳の誕生日だ。…余談だけど、そのあと今日の罰として一緒に寝ることを要求されて仕方なく一緒に寝たんだけど、寝相の悪い妹に上から乗られて、当然柔らかい部分も僕の体に当たっていて一睡もできなかったことを付け加えておく…。ぐふっ…。

END