散歩に行こう

第9話 慌てん坊のサンタクロース


 今日12月20日は私の誕生日。だからじゃないけど朝からそわそわしてるの。何でかって言うと…、世界中で一番大好きなお兄様に、“今日は咲耶の誕生日だろ? だからさ、食事でもどうかな?” って誘われたんだもん。うふふっ。……でもね? 今日は午後から雪になるって天気予報…。あ〜あ、せっかく年に一度の私の誕生日なのに! ってどんよりした空に向かって文句を言う。
「はぁ〜あ…、もう! 神様もいじわるね? 何も私の誕生日に降らさなくたっていいじゃない…」
 これじゃ、おしゃれも出来ないじゃない…。そう思いつつ、のそのそ出かける準備をする。どんな服にしようかな? あれもいいし、この間買ったハート柄の洋服もいいな…。う〜ん、しばし熟考…。でも今日って雪が降るって言ってたわよね? となると…、これしかないか……。はぁ〜、今日何度目か分からないため息をつく私。結局いつものデニムのスカートとジャンバーを着ていくことにした。
 待ち合わせ場所に到着。お兄様は? ってきょろきょろ見回すけどお兄様の姿はなし…。私のほうが早く来ちゃったのかしら? しばらく待とう…。そう思い、近くにあるベンチに腰をかけた。通り過ぎるカップルたち。その顔はみんな楽しそう。私も早くその中の一人になりたいな…。そう思いながらお兄様の来るのを待っていたの…。と、遠くから近づいてくる足音。顔を上げると…。


「ごめんごめん。アパートの時計が壊れちゃっててさ。腕時計を見て慌ててきちゃったから。って、咲耶。怒ってる?」
 当たり前よ! お兄様。私は待ってたんだから! た、例えそれが5分でも…。でも愛する人を待ってるんだから時間なんて関係ないじゃない! ぷぅ〜っと頬を膨らませる私。お兄様はぺこぺこ謝ってる。その謝ってる姿がおかしくて…、膨らませた頬はいつしか緩んでしまっていた。ぷっと吹き出すと私はこう言うの…。
「うふっ。もういいわ、お兄様。せっかくの私の誕生日なんだもの…、だから今日だけは許して、あ・げ・る」
 って…。お兄様の鼻先を人差し指でか〜るくちょんってする。空を見上げると朝の天気予報通り、白く輝く妖精たちが舞い降りてきていた今日、12月20日。私の誕生日だった。

END