家庭菜園始めました

第7園 衛の菜園


「お〜い、衛〜。運動がてら畑の手伝いしてくれない〜?」
 ボクを呼ぶ声が玄関から聞こえている。もちろん呼んでいるのはボクの大好きなあにぃ。今日10月18日はボクのお誕生日。今年で14歳になる。と言うことはあにぃとは5歳違うことになるんだね? 普段いつも一緒に遊ぶからもう少し歳が近いのかな? なんて思ってたけど。ちなみにボクのあにぃは今大学1回生。今年の4月から大学生になった。家はどこにでもある普通の一軒家に住んでいるボクたち。ちなみにお父さんたちは外交官なため家に帰ってくるのは半年に1回くらいかな? でも家のパソコンのテレビ電話? みたいなもので話は毎晩のように話してるからちっとも寂しくなんかはないんだけどさ。
 で今日もあにぃと一緒に、運動がてら畑のお手伝いに行く。あにぃは大学で農業を学んでいる。幸い郊外と言うこともあってかここは休耕地も多い。その一角を間借りして家庭菜園なんかを始めた。もともと農業に興味があったあにぃは高校時代から趣味で家庭菜園なんかをやっていた。それが高じて今は農園みたくなっちゃってるわけで。まあボクもお野菜は好きなほうだし、体を動かすのにはちょうどいいわけであにぃが高校時代からよくお手伝いしてたっけ…ってそれは今も変わらずなんだけど。とにかくボクのあにぃは大学から帰ってくるとこうやってボクを誘ってくる。実のところボクも畑仕事は嫌いじゃない(と言うか好きなほうなのかな?)のでついていくんだ。春は近くの桜並木でお花見もかねてお弁当を持っていくし、夏は夏で川で泳いだりしてる。秋は今はまだまだだけどもう少ししたら紅葉が綺麗になっていく。冬は一面銀世界な自然溢れる豊かなところに住んでいるボクたち。おじいちゃんたちの里にも近い場所だしと言うことで、10年ぐらい前に都心から引っ越してきた。最初のうちこそおどおどしてたボクたちだったけど、だんだん慣れてきて今ではもうすっかりここがいいって思うようになってきた。秋もだんだん深みを増してきて原っぱの草とかも枯れ始めているね? この分だと紅葉ももうそろそろかな? なんて思いながらあにぃのお手製のリヤカーを押しつつ畑へ到着する。まあ家から500メートルくらいしか離れていないので夕日に照らされた家も見えてるんだけどさ。で、今日は何を収穫するのかな? と聞いてみると、
「そうだなぁ〜…。じゃあそこにあるかぼちゃとかお願いできる?」
 そうくいくいっと親指で指さして言うあにぃ。見るからに大きくて重そうなかぼちゃだなぁ〜。でもこれでも体を動かすことは大好きなボクだ。ふんふんと体をねじると早速かぼちゃの収穫に入る。実を繋いでいる茎をあにぃに借りた専用のハサミで切るとごろんと横に回転するかぼちゃ。それから運ぼうとするんだけど、これがやたらに重いわけで、クラスの女の子の中では一番の力持ちで通ってるボクでも全然動かない。ふ〜んぎゅぎゅぎゅぎゅ〜っ!! って言いながら一生懸命に押してやっと少し動いたくらいで、ハアハア息が上がっちゃう。“ちょっとあにぃ〜、このかぼちゃ全然動かないよ〜” とあにぃに言うボクに、
「それはあとでやっておくからこっちを手伝って〜」
 って言うあにぃ。ちなみにあのかぼちゃはハロウィンのジャックオーランタンにするんだって、あにぃに後から聞いたんだけどさ。で、何やらハアハア息が上がってるあにぃのところへ行ってみると里芋と格闘中なわけで…。一緒になってぐぎぎぎぎぎぎぎって言いながら里芋を収穫するボク。当然ずぽって引き抜くんだけどその反動で2人して後ろに倒れたことは言う間でもないことだったんだけどね? でも秋のお野菜いっぱい採れたね? って言うと、“ああ、そうだね? でももう1つあるんだよ〜?” って言いながらくすくす笑うあにぃ。え〜? どこだろ? と辺りを見回してみるけどかぼちゃくらいしか見当たらないし…。う〜ん、と考えるんだけど答えは見つからない。もう参ったと言うふうに首をすくめるような格好になるボクに…。


「これは結構重いや。よいしょっと…」
 リヤカーいっぱいに秋の野菜がどっさりあって、その上にハロウィン用のあのかぼちゃがでん! と置いてある。あにぃはそう言うとガラガラとリヤカーを押し始めた。ボクも一緒にお手伝いするんだけど、ただ1つ違うところはボクの胸の真ん中に光るペンダントくらいかな? でもまさかあにぃのポケットの中まで探してみるなんてこと、全然思いもつかなかったよ…。まあ普段何かと迷惑かけさせてるボクに対するちょっとしたイタズラ心かな? なんて考えつつ帰る今日10月18日はボクのお誕生日だったんだよ。えへへっ…。

END