家庭菜園始めました

第8園 亞里亞の菜園


「ねえ、亞里亞。これからお芋さん掘ろうと思うんだけど、お手伝いしてくれないかな?」
 って亞里亞にお顔を近づけて兄やはそう言ったの。今日11月2日は亞里亞のお誕生日です。亞里亞の兄やは今、大学って言うお勉強をするところで農業? のお勉強をしています。今日掘りに行こうって兄やに言われてるお芋さん畑は兄やが作りました。亞里亞もお芋さんの茎? って言うか苗って言うのを後で聞いたんだけど、それを植えるお手伝いをしたの。夏には兄やと一緒に畑の雑草取りや虫退治なんかをしたんだけど…。兄やに、“そっちはお芋さんのつるだよ?” とか、“毛虫は毒を持ってるものもいるから気をつけてね?” とかいろいろ言われて…。くすんくすん。“亞里亞はもうお芋さん畑には行きたくありませんの” って言いたかったんだけど、兄やがどうしてもって言うから亞里亞はしぶしぶついて行くことにしたの…。
 お庭にはいっぱいのお野菜があります。亞里亞の嫌いなビーマンやおねぎの畑とかもあったりするんだけど、今日はそこは通らないで奥のほうに進みます。そう言えばじいやはどこに行ったのかな? ってきょろきょろ辺りを見回してると向こうのほうで、“あっ、兄上様〜。亞里亞様〜” ってじいやのお声が聞こえました。見るとぶんぶん手を振っているじいやの姿が見えます。途中草のいっぱい生えた場所は危ないからって兄やに抱っこしてもらいながらじいやのところへ向かいました。じいやのお顔を見るといっつもぷんぷん怒ったお顔なのに今日はにこにこ顔で、“さあ、亞里亞様。わたくしと兄上様と一緒にお芋掘りを致しましょう?” って言います。亞里亞、じいやにいっつも怒られてばっかりだったから今日も怒られると思っていたので、“亞里亞、お芋さん掘りはしたくありませんの…” って言ったら急にぷんぷん怒ったようなお声で、“亞里亞様! またそんなワガママを仰って!!” ってぷ〜って頬を膨らませながら言います。やっぱり怒るの。じいや怖い。くすんくすん! と兄やの服の袖をギュって掴んでぶるぶる震えていたら兄やが、“亞里亞、ちょっと離してくれる?” って服の袖の亞里亞の手を離して急にじいやのほうに近づくと、ごにょごにょ何か言っています。兄やまでじいやの味方になっちゃったの? くすんくすん!! って泣きながら兄やたちのほうを見る亞里亞。あれ? 何だかおかしいの。だっていつもだったらまた怒られるのに今はうふふと怒った顔から笑った顔へ変わるじいやがいるし。兄やは、ふぅ〜っとため息をつくとこんなことを言うし…。
「せっかく亞里亞にも美味しいお芋さんを食べさせてあげようかなぁ〜って思ってたのになぁ〜。そうか〜、亞里亞はしたくないのか〜。じゃあお芋さんは兄やとじいやさんとで頂こう…」
 って…。そう言いながらお芋さんを掘っていく兄やとじいや。楽しそうに掘っている様子やその後の美味しそうなお芋さんなんかを考えたりなんかしていると、何だか亞里亞も掘ってみたくなって、“亞里亞も手伝う〜” って言ってお手伝いをしたの。最初は掘っても掘ってもお芋さんが出て来なくて、ちょっぴり涙が出てきたんだけど、兄やに教えてもらったところを掘ってみると…。


「いっぱい採れたね〜? これも亞里亞のおかげかな?」
 泥んこのお顔を微笑ませながら兄やは言ったの。じいやは、“ええ、亞里亞様も頑張っておいででしたことでしたしね?” って言いながらにっこり笑顔で言う。リアカーって言うのかな? その中には亞里亞と兄やとじいやが掘ったお芋さんが山みたいに積まれてたの。“ではわたくしはお先に失礼させて頂きますね? ああ、兄上様、亞里亞様のことよろしくお願い致します…” そう言うとじいやはぺこりとお辞儀をするとその山みたいなお芋さんの中から何個か手に取ると急いでおうちのほうに行っちゃった。兄やが、“今日のデザートが楽しみだね?” って亞里亞のお顔をにこにこ顔で見ながら言います。そこで亞里亞、ピーンと気づいたの。そしたら何だか途端におかしくなっちゃって、“うふふっ…” ってお声に出して笑っちゃった。途端にお腹の虫さんが“ぐぅ〜” って鳴っちゃう。兄やは、“お芋さんのケーキかな? 楽しみだねぇ〜?” って言いながらまたリアカーをごろごろ押し始めました。亞里亞のお腹の虫さんの声は分からなかったのかな? でもちょびっとだけ恥ずかしいし、聞こえてなくてよかったのかも…。そんな兄やの服の袖を摘まんで一緒に家へと向かう今日11月2日は亞里亞のお誕生日だったの。

END