弟くんへ

第3話 四葉の場合


 今日6月21日は四葉のお誕生日デスっ!! 日本はこの時期雨ばっかり降る梅雨と言う時期だそうデス。イギリスにいた頃は雨もたまに降る程度なのでそんなには嫌いじゃなかったデスけど…。日本に帰ってきてからこの梅雨と言うものがあることを知って梅雨の雨の日が嫌いになりマシタ。それは今お部屋の中で一緒に遊んでる弟クンも同じなんデスけど…。いや、でも雨自体は嫌いって言うほどでもないんデスよ? むしろ問題なのはこの蒸し暑さデスね? そう思いマス。
「姉チャマ、姉チャマ。いつまで降るんデスか? このRainは?」
 と言ってお外を眺めてこんなことを言うのは四葉の弟の航ちゃん。四葉より5歳年下の航ちゃんはイギリスにいた頃の癖かどうかは知らないデスけど時々英語が出て来てしまいマス。まあ四葉も帰ってきた当時はうまく話せなかったデスけど。でももう2年も経つって言うのにおかしいデスねぇ〜? グランパの影響が強かったのカナ? そう思いマシタ。グランパっていうのはイギリスにいたときに隣に住んでたおじいちゃん。ついでを言うと昔は探偵さんだったらしくて、四葉や航ちゃんの失くしたものを探してくれた、とても優しい人デス。
 デスから四葉は大きくなったら探偵さんになろうと思ってマス。そのために毎日四葉の尊敬するホームズさんやポアロさんの小説を読んで勉強してるんデスよ? 最近は航ちゃんも興味を持ってきたらしくて四葉と一緒に本を読むことが多くなりマシタ。現に今も読んでいるわけデスケドね? と言ってもまだ読めない字があるらしくて、
「姉チャマ。この難しい字、ボクには分かりマセン。教えてクダサイ!」
 んんっ? と航ちゃんの持っていた本を見マス。難しい字…、漢字のところ航ちゃんの指がありマシタ。ムムムッ、これは暗号デスか? と思うような難しい漢字…。事件デスっ! 何者かが四葉たちに見せたくない秘密を隠したに違いないデスっ!! 青色の脳細胞がだんだん機能してきマシタよ? そう思うと四葉と航ちゃんはホームズさんとワトスン君、もしくはポアロさんとヘイスティング君のようにあちこちと手がかりを探しに行きマシタ。とパパの書庫を通りマス。突然、はっ! と四葉の第6感がざわめきマス。“どうやらこの事件の解決方法が分かりマシタよ? 航ちゃん” 虫眼鏡で覗き込むようにしながらそう言うと、“さすが姉チャマデスぅ〜” と航ちゃん。クフフッ。名探偵…の卵に不可能の文字はないのデスっ!!


「でもバラって読むんですね? あの難しい漢字は…。日本語は奥が深いデスぅ〜」
「Roseデスか…。ムムムッ。これは日本語を勉強し直さないとダメデスね? 姉チャマ」
 難事件と思われたこの事件も、名探偵…の卵、四葉の手にかかれば、あっという間に解決チェキッ!! クフフッ。…でも、日本語はもうちょっと勉強するべきデスね? そう言うと弟の航ちゃんも、うんと頷きマス。でも四葉の推理もたいしたものデショウ? そう思って横の航ちゃんを見てみると、“くぅ〜、すぅ〜…” といつの間にか気持ち良さそうに寝てマシタ。こんなことを言うと航ちゃんがぷんぷん怒ってきそうデスけど、航ちゃんは探偵にはちょっと向かないカナ? と思いマス。だって、探偵は昼も夜もないってこの間読んだ本に書いてありマシタもん。テヘヘッ。そう思いつつ膝枕をしてあげる今日6月21日、四葉の13歳のお誕生日デス…。

END