弟くんへ
第5話 雛子の場合
8月15日、ぴっかぴかの晴れ! 今日はヒナのお誕生日です。ヒナは今日で8才になりました。もうボタンも一人で留められるし、ちょうちょ結びだって出来るんだからね? パパもママも嬉しそうにヒナのお顔をにっこりしながら見てます。それからヒナの大好きなわたるちゃん。わたるちゃんはヒナより1つだけ下だから、ヒナのほうがお姉ちゃんなんだよ〜。だからヒナ、パパやママにはもう甘えないことにしたの。今日はパパもママも忙しそうにあっちをパタパタこっちをパタパタしてるから、きっとどこかへお出かけするんだね? って思ってると、
「ねえ、雛子。これからパパたち出掛けるけど、お留守番出来るかい?」
って言ってきたの。お留守番…。おつかいなら何度か行ったことがあるけどお留守番は初めて…。でもパパは30分くらいで帰ってくるって言うからうんって頷いたの。あの時計の長い針がちょうど半分になったら帰ってくるんだよね? ってパパに言うと“そうだよ? 雛子はすごいねぇ〜” って頭をなでなでしてもらったの。くしし…。ヒナとわたるちゃんはパパたちを玄関までお見送りしました。“お台所は危ないものがいっぱいあるから近づかないようにね?” ってママが言うからヒナ、うんって頷いたの。
さっきママに汲んでもらったオレンジジュースをわたるちゃんと飲みます。“おいしいね? おねえたま” ってわたるちゃんはにこにこしながら言ってくるから、ヒナもにこにこ顔。カランカランって言う氷の音も同じ。えへへっ。それから2人でご本を読みます。わたるちゃんは平仮名は読めるけど、漢字はまだ読めません。だから、ヒナが代わりに読んであげたの。でもね? ヒナもあまり難しい漢字は知らないから、パパがいつも寝る前とかに読んでくれる漢字のいっぱいあるご本じゃなくて、ヒナが小さい時に読んでたご本を読んであげよ〜っと。あっ、そうだ! ご本はいつもと違うものがいいよね?…。そう思ってヒナ、わたるちゃんの手を引いて、お部屋に向かいました。
ヒナのお部屋はわたるちゃんのおとなりにあります。でもねんねするときはわたるちゃんと一緒にパパやママのお布団で一緒にねんねするから…。でもパパにこの前、“雛子もそろそろ1人で寝ないとダメだよ?” ってパパに怒られちゃった。えへへっ。一応ヒナのベットもあるんだけど、やっぱりヒナはパパやママのお布団がいいな…。そう思ってヒナ、声を出してわたるちゃんにご本を読んであげました。
「心配したよ…。帰ったら雛子も航もいないから家の中を探し回っちゃったよ…。でも一緒にご本を読んでたんだね?」
パパがほっとしながらそう言ってヒナの頭をなでなでしてくれます。ママも“これからはお留守番も頼めそうね?” って言ってにっこり笑顔。テーブルの真ん中にはヒナのお誕生日ケーキ。でもね? ヒナもわたるちゃんもご本を読んでる途中でいつの間にか寝ちゃっててパパやママが起こしてくれるまで分からなかったの…。あ〜あ、せっかく楽しいご本だったのになぁ〜。そう思ってると、
「おねえたま。またご本読んでね?」
ってにこにこ顔のわたるちゃん。うんって頷くとヒナはにっこり微笑みました。パパもママもにっこり笑顔。ママはろうそくに火を灯すとお部屋の電気をパチッと消しに行きます。お誕生日のお歌を歌ってろうそくの火をふぅ〜って消すとみんながパチパチと拍手してくれました。そんな今日8月15日はヒナの8才のお誕生日だったの。えへへっ…。
END