弟くんへ
第10話 花穂の場合
今日1月7日は花穂のお誕生日。だから弟の航ちゃんと一緒にケーキを買いに来たのはいいんだけど、お財布をおうちに忘れちゃって一旦家に戻るところなの…。航ちゃんは、“相変わらずドジッ娘だよね? お姉ちゃまは…” って言うふうなお顔で花穂のお顔を見つめてる。花穂がこんなだからかどうかは知らないけど、1つ年下の航ちゃんはしっかり者です。そう言うわけでときどき花穂のほうが妹に見間違えられることもしばしばあります。お姉ちゃまらしくっていっつも思ってるんだけどなぁ〜。はぁ〜。
そうそう、この間もパパたちと一緒にデパートに買い物に行ったんだけど、花穂だけ迷子になっちゃって、花穂、迷子センターのお姉ちゃまに連絡してもらってやっとパパたちと合流できたの。ちょうどデパートの1階で人気番組のショーがあるって言うから、行ったんだけど…。隣りで見てるはずの航ちゃんがいないことに気づいて探してたら迷子になっちゃったの。でも航ちゃんは、
「僕はパパたちと一緒にいたよ〜。お姉ちゃまがよその子の手を引いて行っちゃったんじゃない〜。もう!!」
って花穂のお顔をちょっと怒ったようにぷぅ〜って頬を膨らませて見つめてくるの。パパたちは“花穂のドジはもう神業だね?” って言って笑ってます。花穂は何だか恥ずかしくなっちゃって顔を下に向けたの。“何で花穂、こんなにドジなんだろ…” って思うと知らないうちに涙が溢れてきちゃって…。でもママが、“ねえ花穂ちゃん。ママも花穂ちゃんくらいのときはドジッ娘で有名だったんだよ? だから大丈夫。それにドジなのは逆にいいことなのよ? 何回も失敗して見つけた成功はいい経験になるんだからね?” って花穂の頭を優しく撫でながら言ってくれたの。パパのほうを見ると、うん! ってさっき言ったママの言葉に納得するように頷いてるし、航ちゃんもそんなに怒ってないみたいだから、花穂もうんって頷いたんだけど…。
でも今日もドジしちゃうなんて。きっと今年も航ちゃんの方がお兄ちゃまのように見られちゃうんだって思ったら何だか悲しくなっちゃって、半分べそをかきながらおうちまで戻ってくる。とカギを持ってたはずの航ちゃんから、
「あ、あれ? カギがない。カギがないよ〜っ! おうちに入れない〜っ!!」
ええっ? どどど、どうしよう!! えっと、えっと…。こんな時はまず交番に行っておまわりさんにお話しするんだね? もしかしたら落し物で届けられてるかもしれないし…。前に学校で習ったことを思い出す花穂。慌ててる航ちゃんの手を掴むと、交番に歩き出したの。
「よくあそこで冷静になれたね? えらいぞ〜、花穂〜」
夜、パパたちの前で航ちゃんが花穂のことを話しています。ママはにっこり微笑みながら航ちゃんの言うことを聞いてます。そっか、このことだったんだね? ママ…。花穂、そう思ったの。普段はドジでもこう言うときにしっかりすればいいんだって…。テーブルの上には大きなバースデーケーキ。航ちゃんと2人で選んで買いました。11日からまた学校。チアのほうはまだうまく出来ないけど、頑張るぞっ! って思う今日1月7日、花穂の11歳のお誕生日だったんだよ? えへへっ…。
END