遊園地
今日5月7日は雪希の誕生日だ。家事なら何でもこなせる雪希だがことに料理は苦手なようで…。って言うか料理は全部居候の日和に任せてるからな。ゴールデンウィークも終わっって今日からまた憂鬱な学校だ。朝、いつものように雪希と日和に起こされて簡単な朝食を摂る俺。ばたばたと掃除や洗濯などをしている雪希たちを見ているとちょっとと言うかかなり面白い。
「お兄ちゃ〜ん! わたしたち、先に行くからね〜。後の戸締りよろしくだよ〜?」
ぽんこつないつもの声が聞こえてくる。ったく…。あまりでかい声で言うなってあれほど言ってるのによ…。はぁ〜っとため息をつくと、“分かったから早く行けーっ!!” と大声で言う。ったく。あのぽんこつは…。そう思いながら朝飯をかっ込んだ。
ぽんこつな日和がうちで居候してから何年経ったんだろう。もうずいぶん昔のように感じるんだけどな…。うーん。今日は義妹の誕生日、日和に休み時間、相談したんだが…。
「そうだねぇ〜。何かお祝いしてあげないといけないねぇ〜。う〜ん…。って! そっ、そうだ! お兄ちゃ…、じゃなかった。健ちゃん! 遊園地にでも誘ってあげたら? この間雪希ちゃんと話してたんだけど、あそこにすごいアトラクションが出来たんだって! 雪希ちゃん、すご〜く行きたそうにしてたし…。連休過ぎで多分空いてると思うから連れて行ってあげてよ〜」
お兄ちゃんって言うクセをやめろって言ってるのに、全く聞きやしねぇ〜。睨みつけると慌てて訂正してきやがる。ふぅ〜っとため息。取り繕うようにニコニコと微笑むぽんこつ居候。顔を見る…。まあ何だかんだ言って一応こいつも家族の一員だしな。連れて行ってやらんと可哀想だし…。それに後でデカリボンとマシンガンに何て言われるか分かったもんじゃない。“で、お前はどうするんだ?” そう聞いてみると?…。
「ああ、わたしならこの前、清香ちゃんと行っちゃったんだよ。大きな観覧車とかもあって結構楽しかったよ? るんらら〜」
ぽんこつにしては早い行動だな? おい! でも遊園地か…。連れてったら喜ぶだろうなぁ〜。にっこり微笑む我が義妹の顔を思い浮かべた。ふと隣を見るとニコニコ笑顔をもっとニコニコ笑顔にして俺の顔を見ているぽんこつ居候。その顔に妙に腹が立った俺は、両頬をつまんでタコの口にしてやる。途端に涙目になって文句を言うへっぽこ居候。
「ま、まみむむもも〜っ…。む〜っ(な、何するのよ〜っ…。う〜っ)」
涙目になりながら…、ってかもう泣いてる日和。その後、清香に見つかっていつものごとく怒られたことは言うまでもなかった…。って、そんな話を今朝したんだっけか? う〜ん。一応小遣いにも余裕はあるし、それに何より雪希の笑顔は見たいしな…。
「じゃあ行ってくるぞ? 日和…。留守番、しっかり頼むぜ? 眠たかったら先に寝ててもいいからな?」
「日和お姉ちゃん、ありがとうだよ。何かお土産買ってくるね?」
夕方、玄関先でにこにこの雪希。日和はそれにも増してにこにこ顔で俺と雪希を見つめている。俺は何と言っていいのか分からんからか、こっ恥ずかしくて頬をぽりぽり…。雪希の手には日和の作った弁当がある。多分弁当箱の上にでもバースデーカードを入れてるんだろうな? にこにこ顔の日和を横目に見ながら俺はそう思った。
「うん! まかせておいて! 楽しんでくるんだよ〜っ? 雪希ちゃん。お兄ちゃんも、雪希ちゃんのこと、よろしくね?」
「ああ、任せておけ……」
そう言う俺。雪希は日和に、“うんっ! 分かったよ。日和お姉ちゃん” と言って大きく頷いていた。表へ出ると夕暮れ時。手を出すとそっと握り返してくる俺の義妹。“今日は楽しもうな?” そう言うといつものにっこり笑顔でまた頷く。初夏の風も気持ちのいいそんな今日。5月7日は雪希の誕生日だ…。
END