雪希ちゃん、日和ちゃんを羨ましがる
今日5月7日は俺のマイシスター・雪希の誕生日だ。雪希とは血は繋がっていない所謂義理の妹と言う関係になる。でもまあ16年か? ああでもないこうでもないと一緒に暮らしてきて気づいたことは、血の繋がりなんて関係ないことだ。俺は雪希のことを本当の妹のように思っているし雪希も俺のことを本当の兄のように思ってくれているわけで…。そんじょそこらの兄妹とは縁の深さでは負けはしないと思う。と言うよりむしろ勝っていると思うわけだ。その点でいうと彼女兼居候兼幼馴染みである日和も同じかな? と思う。そうそうこの間(と言っても日和の誕生日だから約半月ほど前になるのだが)、温泉旅行に行ってきた。まあそこそこに楽しくも目のやり場に困る温泉だったわけだが温泉から帰ってきてから雪希の様子が少しばかり変なわけで…。具体的にどこがどう変なのかと言うと、まず朝起きて日和のほうを見てはぁ〜っとため息。そして大学通学中に隣りの女の人を見てまたため息。帰ってきてテレビのグラビアアイドルを見てため息。とまあため息まみれなわけだ。ひょっとして疲れてるのかと思い聞いてみると、“ううん。疲れてないよ…。お兄ちゃんに気を使わせちゃったね? ごめんなさい。でも、でもね?…。はふぅ〜” とまたため息をついている。こりゃ絶対何かあったに違いない。そう思って日和と相談してそれぞれに雪希の行動をチェックしだしたわけなのだが、ようやくその原因であろう事柄が分かり始めた。
と言うのも、日和は見てしまったようだ。なぜに雪希がため息をついている原因と言うものを…。今、隣りでぶるぶる震えていつものようにうわ〜んと泣きながら俺の顔を見つめている日和。曰く、“雪希ちゃんに見つかちゃって‘見ちゃダメ!’ って叱られたよ〜。うわぁぁぁぁ〜ん” と言うことらしい。年下の女の子に叱られて泣きべそかきながら飛び出してくるやつなんてそうそういるまい。まあまだまだお子ちゃまな日和だからか? と心の中でそう思う。一体どっちが年上なのか? と一瞬疑ってしまう。まあいつも歯磨きを怠ってはこうして雪希に叱られている日和を見ているとそう言う感情も起こってくるわけだけどな。と言うか日和…、もう少し大人になってくれ。歯磨き如何、すべてのことにおいて雪希にリードされっぱなしだ。唯一勝っていると言うところは料理ぐらいなところか…。歯磨きで思い出したんだが…、まあよそはどうだか知らんがうちでは歯磨きは毎日の日課のようにやっている。マイシスターは歯科衛生士と言う仕事柄か(今年の2月に免許を取得した)、歯のことになるととやかくうるさい。この間も俺がちょっと歯磨きを怠ったせいで3日ほどご機嫌ナナメだった。まあ、そんなこんなでうちでは必ず飯を食った後には歯を磨くことが掟となっているわけで…。この1週間前の今日も日和が歯磨きを怠って雪希に大目玉を喰らっていたっけ。それで日和が俺の後ろに隠れるものだから俺まで巻き添え喰らって大変だった。そういうことが日常茶飯事で起こる家ってどうよ? とそこら辺にいる近所の皆さんを捕まえて一人一人に問いたい。って、そもそも何で叱られたのか聞いてなかったんだっけか? まあ大体のことは想像はつくのだが…。そう思い詳しく聞いてみることにした。曰く、いつもの掃除をしようと思って何気なく雪希の部屋に入ったところ、雪希が体操をしているところだったんだとか…。で叱られて俺のところまで逃げてきた。と言う話だった。まあそんなところだろう。と思い、そこで、んっ? と違和感。何で体操を見られただけでこんなに叱らにゃならんのだ? そう思い逃げてきた日和の首根っこを引っ掴んで嫌がるへっぽこを尻目にずるずると雪希の部屋までやってくる。掃除道具は出しっ放しだからよほど怖かったんだろう。まあ隣りでぶるぶる震えている幼馴染みで居候でついでに彼女なぽんこつさんは極度の怖がりで甘えん坊で叱られ慣れしていない性分だからな。おじさん、おばさんももう少し叱ってやって耐性を身につけさせてやって欲しかったところだ。まあ今更なところなんだが…。と部屋の中から、何やら雪希の声が聞こえてくる。何だぁ〜っと思って、耳をそばだてる。聞こえてきた声。その声に思わず“ぶーっ!!” と吹き出しそうになる俺だが、すんでのところで堪えた。ぽんこつさんは何だか分かったように泣いてた顔がもう笑った顔になる。まあ女の子と言うものはいろいろ苦労もあるんだな? そう思いながら掃除道具を手にこそこそと階段を下りる俺と日和。“雪希ちゃんもお年頃なんだねぇ〜?” といつものぽわぽわした顔で言う居候の幼馴染み兼俺の彼女。その顔の下にはまんざらでもなさそうな2つのものが出ている。昔、一緒に風呂に入ったときにはそんなに感じなかったんだが…。中、高、大学生になって、それも3年も経ってみるに随分と成長したもんだと思う。
マイシスターもそんな彼女が羨ましかったのか? まあ大学生になっても中学の頃の服が合うなんて言うところは俺と日和と雪希だけの秘密だけどな。そこが可愛いところと言ってしまえば可愛いところなのかもしれないが…。雪希本人は気にしてる節もあったよなぁ〜っと今更ながらにそう思う。例えばこの間の旅行のときの、雪希の目は印象深かった。俺は日和の浴衣姿に改めて惚れ直しちまったと言うか何と言うかだったが、雪希は非常に羨ましそうに見つめてたっけ。当の日和本人はそんな俺たち兄妹のことなどは分からないと言う感じで(と言うかこいつは天然だから全く気付いてなかったんだろうな?)、俺と雪希の腕に自分のモノを押し付けてキャッキャッとはしゃいでいたっけか…。夜にもう一度風呂に入って、出てきたときの実に恨めしそうに、日和のとある一点を見つめていた目は忘れられん。この時点で俺が何か一言声でもかけてやれば良かったわけだが…。ほとんど食ったことのない豪勢な盛り付けをされている料理に目のほうがいってしまい、言いそびれてしまった。なお料理は美味くてぺろりと平らげてしまったことは言うまでもない。その後最早恒例となっている歯磨きをやらされたことは周知の事実だ。
でも、だからか…。最近俺を部屋の中には入らせないようにしてたし、それは日和も同じようだったし…。そう思いつつ、そ〜っと2階の部屋のほうに聞き耳を立てる俺。ぽんこつさんはそんな俺の腕を引っ張って、“お兄ちゃん! プライバシーは守らないといけないんだよ〜っ?!” そう言って俺の服を前にも増して引っ張る。出るところは個人差もあるし、そんなに気にすることなのだろうか。むしろあれくらいのほうが可愛いと思うんだが。と日和のほうを見るとなぜか涙目になっている。“お兄ちゃんが〜。お兄ちゃんが○リコンさんになっちゃったよ〜!!” と、それこそご近所に聞こえるような大きな声で言われてそれは当然のことながらマイシスターにも聞こえてしまい…。
「もう! お兄ちゃんは〜…。これじゃあ私が気にしてることがみんなに知られちゃうじゃない。って言うかもう知られちゃったかもしれないし…。むぅ〜…」
い、いやな。知られた元の原因は俺じゃあなくってだな? と言ってもこの顔はちょっとやそっとじゃ聞かなそうだし…。日和は日和で俺が○リコンだったと思い込まれてぐよぐよ泣かれるし…。でもまあ元の元気さが戻ってきたみたいで良かったな? とも思う。もっともマイシスターにしてみればこれからが大変なんだろうけど…。ご近所にペコペコ頭を下げて回るマイシスターとぽんこつさんの姿が容易に想像できて、それが異様に面白く感じてまたぷっと吹き出してしまいジト目で見られてしまった今日5月7日は俺の可愛い義妹、片瀬雪希の20歳の誕生日だ。…って! 今日の晩のおかずが梅干し1個ってどういうことだ〜っ!!
END