清香ちゃんの話
小野崎清香よ……。
最近、どうもあたしのことを、サテライトキャノン砲を密かに開発してるだとか、あいつは実は女の格好をした男だとか…、どうもそんなことが噂になってるみたいなの…。
ま、大体見当はついてる…。あたしの噂を流すやつなんて、あの男くらいしかいないでしょ…。
「おっ! 噂の主が来なすったぜ!!」
あたしが教室の扉を開けると、そう言う声がしてきた。あたしは言い返してやったわ…。
「あら? あんた、誰に向かってそんな口が聞けるのかしら? あたしはあんたの秘密を握ってるのよ?」
って…。ふふふ…、バカ健二…。あんたが南山から超レアな物(ブツ)を借りているということは調査済み…。南山が全部吐いたわ…。あたしが……、
「このことみんなに言っちゃおうかしら?」
って冗談で言ったら、あいつったら本気にしちゃって、最後は土下座までして全部吐いたのよ…。
「なんだよ、ちびっこ…。俺の顔になんかついてるか?」
じ〜っと睨んでたあたしを見て、健二がそんなことを言ってくる。ふっ、ふふっ、健二…。おもしろいじゃない。その余裕があんたの命取りになるのよ?
ふっ、と余裕の笑みを浮かべる健二…。こいつが、あたしの噂を流してる張本人だって言うことは南山から聞いたわ。
普通なら言われてる本人の前に出たら、オドオドしたりとかするものなのに、こいつったら…。
ふんっ!! なんかその態度が余計に腹が立つ!! あたしはこう言ってやったの…。
「雪希ちゃんも苦労するわね〜」
って。皮肉をたっぷり込めて…。健二はというと、余裕しゃくしゃくであたしの顔を見て、こう言ったの…。
「はあ? ああ、あの「妹の囁き…」ってやつか?…。あれなら、南山に返してやったぜ…。その他、俺が持ってたやつもろもろも一緒にな…。俺はな、これから真面目になるんだよ!! 真面目に……」
ぬぬぬぬぬぬ……、ぬわんですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜!!
こんなバカが真面目になるなんて…。びっくりしたあたしはこう言ったの…。
「ね、ねえ、あんた…。何か悪い物でも食べたの? それともこの間、あたしが鞄の角であんたの頭を打ちつけた時の後遺症で?…。そうなのね? そうなんだわ…。ああっ、健二…、ごめんなさい…。ううう…」
「何でそうなるんだ! 俺が真面目になった途端に、みんなびっくりしやがって!! 雪希にまでびっくりされて大ショックだったんだぞ!! 俺はっ!!」
はぁ〜…。こいつはこいつで大変だったのねぇ〜。なんだか可哀想になってきちゃったわ…。と、そこへ…。
「清香ちゃ〜ん、おはよ〜。って……、わわわっ!! な、何でけんちゃんがっ?」
追い討ちをかけるように、そんなことを言う日和。あ〜あ……、健二が教室の隅っこで体育座りして黄昏てるじゃないの…。あたしと日和は、健二のところへ行ったの…。
健二は虚ろな瞳であたしたちを見つめて…。
「ふふっ、ふふふふふふふふ……」
狂気の扉を開けたように怪しく笑ってた。
「ふんっ! 誰も俺の言うことを信じないからだ!!」
「ごめんって、健二…。この通り、謝るから…。その代わり、何でも好きなもの注文してもいいわよ」
憮然とした態度の健二と、それを取り繕うあたしたち3人…。
日和はいつもどおりわたわた慌ててるし、雪希ちゃんは困った顔。あたしは苦笑い。そんな3人の顔を見つめて、むすっとした顔の健二…。
そんな顔が可笑しい4月の下旬だったわ…。
おわり