進藤さんのささやかなる復讐?


 今日8月14日は私こと進藤さつきのお誕生日です。が今、目の前で呆けた顔をして見つめてくる先輩にはむちゃくちゃ腹が立っている私がいるわけで…。この間来た時にカレンダーの私のお誕生日の日のところに書いた赤い丸を無言で指さしてぐぐぐぐぐっと先輩の顔を睨みつけてやります! 雪希ちゃんが部活の合宿でいないことはリーク済みですから私が1日雪希ちゃんの代わりになってあげようかなぁ〜なんて思ったのがそもそもの間違いでした。それが証拠に今現在なわけです。
「あ、あの〜。進藤さん? また今年もお泊りする気ですか? 俺、彼女がいるんですけど…」
 とそんな私に臆したのか、先輩はおずおずと聞いてきました。彼女がいようがいまいが知ったこっちゃありません! この間もその前もあの時だって私のお誕生日は今日だっていうことは分かってたはずですっ!! なのにも関わらず誕生日のたの字も準備してないとは…、如何に私が普段から不当に扱われているか、張本人に分からせる必要があります。そう思ってあれやこれや復讐の手順を1つ1つ考えていきますが、どれもこれもぱっと見で先輩を困らせられそうなものはありません。う〜っと先輩の顔を睨みながらその答えを模索する私。おどおど感もやがてなくなった先輩の顔には余裕さえ窺えてきて余計に腹が立ってきました。そんな私に、
「進藤もそのマシンガンな喋りをなくせばただの女の子ってか? まあ俺をあっと言わせられるようにならんとダメですなぁ〜。あ〜はっはっはっは」
 いつものマシンガントークでもしてやろうかとも思いましたが、そうすると延髄チョップで涅槃行きが目に見えて分かってますので結局自分が損するだけであって…、とふと無造作に置かれた雑誌の表紙が目に留まりました。際どすぎる水着を着た女の人が悩ましいポーズで写っています。“えっちですっ!!” といつもの私ならこう言って先輩に片付けさせるのですが、ちょっと方向を変えてえっちに迫ってみたらどう言う反応をしてくるのかな? と言う私の中の好奇心が頭をもたげてきました。雪希ちゃんや彼女さんである神津先輩には悪いですが、えっちに迫らせてもらいますっ! そう思って、“分かりました。分かりましたとも! 先輩をあっと言わせてあげるんですからねっ?” と言って服を脱ぐ私。一瞬鳩が豆鉄砲でも喰らったかのように目をパチパチやっていたかと思うと急に顔を真っ赤にしながら、“な! ななな、何やっとるんだがね?!” と知らない方言まで出てきてばっと顔をそばに置いてあったクッションで隠す先輩。
「何してるって言っても暑いから服を脱いでるだけですよ〜? そうだ! これから一緒にお風呂にでも入りません?」
 と追い打ちをかけるようにクッションを取り上げてこう言う私。ふっふ〜ん、どうですか先輩。いつもいつもいつも私にばっかり延髄チョップで涅槃行きにさせてばっかりなんですからこれくらいはやらせてもらわないと私の気が収まりません。そう思って短パンに手をかけて脱ごうとする私。そんな私に…。


「まさかあいつにここまでドキドキさせられるなんて思いもしなかったぜ。ふぅ〜…」
 と隣りのマイシスターの部屋で寝ているであろうやかましい後輩であり、まあ少しだけ可愛げがあると言えばあるかな? な進藤に思いを馳せる俺がいた。まあ黙ってりゃ結構可愛げもあったりするので俺の大学のサークル仲間の間じゃ人気も高いんだが…、って言うか何で俺があいつの心配をせにゃならんのだ? と思う。まあ程よい大きさのモノは下着越しとは言え見させてもらったわけだが、いつもだったら、“破廉恥ですっ!!” だの、“神津先輩に言っちゃいますからねっ!” だのと散々な言われ方をされて、実際に言われて後で平謝りに麻美や関係者各位に謝る俺がいたりするわけだが…。
 今日は今日で彼氏でもない(まあ向こうにとっては俺のことが好きなわけだけど…)男の前で服を脱ごうとしてきて、さすがにまずいだろうと思って止めさせようとくんずほぐれつしているうちに、やけに柔らかいものを掴んでしまいむにむにと揉んでしまったわけだが、まさかそれが進藤の大切な部分だったとは思いもしなかったわけだ。進藤も進藤で、“きゃ〜っ!” とか、“な、何するんですか?!” とか言やあいいのにされるがままに…だったもんだからか気付いた時には素で揉んでしまっていてこっちが、“ぎゃ〜っ!!” となってしまった。このことで後でなんて言われるか、または何を要求されるか非常に恐ろしい感じがする。とにかくもう今日は寝てしまおうと思い床に就いたわけだが、鍵をかけ忘れていたのが運の尽き…。


 夜中、やけに背中の辺りにむにむにぎゅ〜っと柔らかいものが押し付けられてるなぁ〜っと思って眠い目をごしごし擦って見てみると、案の定俺のベッドに潜り込んできた進藤がすかぴゅ〜っと気持ちよさそうに寝ているわけで…。何だか鉄錆の臭いもしてきた感もあったわけだが、起こすにはもっと進藤の体を触らなければならないわけで、声で起こそうと思って、“おい! 進藤、向こうの部屋に行け!” と言う俺。そんな俺の言葉を聞いていたのか聞いていないのか、うふふふふぅ〜っと怪しい笑みを浮かべたかと思うと、今度は真正面から抱き着いてきやがる。おかげで俺は進藤の柔らかい部分に顔をうずめてしまうことになってしまって、“くぁwせdrftgyふじこlp!!” と言う声にならない声を出してそのまま意識の闇に飲まれてしまっていて…。翌朝、家に来た麻美に見つかってしまい最早恒例となってしまった、“めっ!!” をされたことは言うまでもない事実だった。
 その張本人はと言うと俺が気を失ってる途中で、一夜のアバンチュールめいたことをわざとに麻美が気付くような場所に書き置きして帰ったらしく麻美に叱られてる時にはいなかったわけで…。“もう、絶対お前の誕生日なんざ祝ってやんね〜っ!!” と思った夏も後半に入った8月15日、俺と彼女のお邪魔虫的存在であり、また俺たちのムードメーカ的存在でもある進藤さつきの19歳の誕生日である。余談ではあるが、その日の夜、麻美に同じようなことをされて思わずヘブン行きになったことは言うまでもない事実。まあただ1つ違うところがあるとするならば、彼女のほうがよりボリュームがあったことは言うまでもないことだけどな? どちらにしても俺の安眠は2日間ばかり妨げられたことになったのは言うまでもない。がくり…。

END