雨上がりの空に
今日5月7日は私の誕生日。だからじゃないけどとっても嬉しいんだぁ…。えへへっ…。
「おっ、雪希。なんか嬉しそうだな…。って、今日はお前の誕生日だっけ?」
「うん、そうだよ? お兄ちゃん」
雨の降る中、私はお兄ちゃんと一緒に学校へと向かっていた。私たちの学校は私学だから土曜日でも授業はあるの。そう考えるとちょっとだけ公立が羨ましい気もするんだけどね…。えへっ…。
そんなことを考えながら、私はお兄ちゃんの顔を見る。実のところ、私とお兄ちゃんは血が繋がっていないの…。でも、それだけに私たちの絆は深いと思うんだぁ…。と、何か思案深げに考えていたお兄ちゃんがこう言ってきた。
「なあ、雪希…。日和たちを呼んで、今夜、お前の誕生パーティーでもするか?」
「あっ、うん。いいね。それじゃあ私、張り切ってお料理するね?」
私がこう言うとお兄ちゃんはなぜか呆れ顔…。あっ、あれれ? 何か私、間違ったこと言ったかなぁ…。そう思って私はお兄ちゃんに聞いてみた。すると……。
「はぁ〜っ…。今日はお前の誕生日なんだから、料理のことは心配しなくてもい〜の!!」
大きなため息を吐きながら私の顔を微笑んで見つめるお兄ちゃん。私の一番好きな顔…。うふふっ…。と私は微笑んだ。しばらく歩いていると…、
「あっ、けんちゃ〜ん、雪希ちゃ〜ん。おはよ〜」
「雪希ちゃ〜ん。そんなバカに付き合ってると遅刻するわよ〜?」
「せんぱ〜い、早くしないと学校遅れちゃいますよ〜?」
学校に向かう大きな曲がり角のところで、日和ちゃんと清香さんと進藤さんが手を振っていた。
「う〜っす。ぽんこつ。相変わらずへっぽこ顔だな…。進藤もいつにも増してマシンガンだぜ…。それとデカリボン軍総帥。例の地球制服の目論見はどうしたんだ?」
「うわぁ〜ん。わたし、ぽんこつじゃないよ〜っ!! げんぢゃんのいじばる〜!! ぶぶぶっ……」
「私、まだ何も喋ってませんよ? ひ、ひどいですっ!! 健二先輩!!」
「だっ、誰がデカリボン軍総帥ですって!! 誰がっ!! それにあたしは地球制服なんて考えてなーい!! 大体考えても見なさいよ! こんな女子高生が地球制服なんて出来るわけないでしょーっ?! バカ健二っ!!」
あ〜あ、始まっちゃった…。お兄ちゃんと清香さんと進藤さんはいつもの口喧嘩。日和ちゃんは一人でおろおろあたふたして二人を止めようとしてるけど効果は全然ないみたい。はぁ〜、仕方ないなぁ〜…、お兄ちゃんは…。そう思っていると……、
「どうしたんですか? 健二さんたち……」
あっ、神津先輩。ぼ〜っと私の隣りに立ってる。い、いつからそこにいたんだろう…。いつも思うんだけど不思議だなぁ?…。まあ、いいか。こんなことしてる間にも時間がどんどんなくなっちゃうわけだし…。って! 大学はいいのかな……。そう聞くと……。
「いいですよ。雪希さん…。まだ時間はありますから……」
そう言ってにっこり微笑む先輩。先輩ってどんな喧嘩でも止めてくれるんだ…。不思議だなぁ…。でもきっとあの平和なオーラがぎすぎすした心を和やかにしてくれるんだね…。微笑む先輩の顔を見て、私はいつもそう思うの…。
少し考えて、私は先輩に仲裁をお願いすることにした。こくんと頷くと先輩はお兄ちゃんのほうに向かう…。
「めっ!! だめですよ? 健二さん…」
お兄ちゃんの顔を見つめると先輩はこう言う…。別に怒ったように見えないのにそう言われると、ビクッとなるお兄ちゃん…。今までお兄ちゃんと口喧嘩をしていた清香さんは、お兄ちゃんのほうを見て、
「あはは、バカ健二も麻美先輩には敵わないのよね〜」
って言いながら笑ってた。進藤さんも、“あはは…” って笑ってる。日和ちゃんはほっとした感じ…。お兄ちゃんは? と見ると…、まだ先輩に怒られてた。
“はぁ〜。仕方ないなぁ、お兄ちゃんは…”
心の中でそう思うと、私は空を見上げる。雨雲のすき間から、お日さまと一緒に虹の橋がきれいなアーチをかけていた。
今日は私の誕生日。学校へ向かう道…。お兄ちゃんの顔を見る。にこっと優しい微笑みを見せて私の手をぎゅっと掴んで歩く。大好きな人たちと一緒に…。そして大好きなお兄ちゃんと一緒に……。これからも歩んでいきたい。
そう……、離れえぬよう…、流されぬよう…、ぎゅっと……。大好きなお兄ちゃんと、手を繋いで……。
END