甘酒に酔って?
今日12月22日は、みちるの異母姉? っていうのかな、みちるにはよく分からないけど、美凪お姉ちゃんのお誕生日だ。冬休みも間近に控えて、明日はお休みって言うことでお姉ちゃんの住む町に電車とバスを乗り継いでやって来た。と言っても電車は1駅だけだし、バスも停留所を5か所回った先にある海辺の町なんだけどね? まあ年末年始やお休みの重なる日や春休み・夏休みにはこっちへ来ることのほうが多くなったみちる。もうかみやんたちとも仲良しだ。ただ一人だけを除いては…なんだけど。そう、それはあの怪しそうな目して怪しそうな服を着て、怪しそうに動きながらお姉ちゃんの横にいつもいる男・国崎往人。ついでを言うとみちるといっつもご飯やおかずの取り合いをするヤツだ。とにかく国崎往人にだけは負けたくない! って思って、勉強も運動も一生懸命に頑張ってる。そうそう、この間の算数のテストはすごく良かったなぁ〜。分数なんかがすごく良かったなぁ〜なんて思う。これもお姉ちゃんに教えてもらったからかもね? 国崎往人には分からないらしくて、みちるが前に持ってきてた問題集を片手にう〜んう〜んって唸ってたけどね? あはは…。
そう言えばお父さんから、お土産に“甘酒” を持たされたんだっけ? そう思って大きな鞄を見る。鞄の中にはお父さんがこの前の会社の慰安旅行で買ってきた“甘酒” が入ってる。何でもお酒の美味しいところの甘酒だからって言ってた。お姉ちゃん、喜んでくれるかな? そう思いつつバスに揺られてる。ガタゴトとバスに揺られつつ外を見ると遠くの山にはこの間の寒い日に降った雪が積もっていた。田んぼや畑にも霜って言うのかな、雪みたいなものがびっしりあって夏休みに来るときとはまた違うなぁ〜っと思う。そうこうしてるうちにバスは目的地に到着〜。いの一番に降りた。と言ってもみちる1人だけだけど…。ぷしゅ〜っと扉は締まってバスはまた動き始めて行ってしまった。さてここから歩きだぞ? と思って歩き始める。途中ポテトと会って、“元気にしてた? 変態誘拐魔の国崎往人はお姉ちゃんにえっちなこと何かしてなかった?”、って聞いてみる。“ぴこっ! ぴこぴこぴこぴこぴこっ!! ぴこ〜。ぴこぴこ” 言葉は分からないけどニュアンスで分かる。絶対何かあったんだなぁ〜っ! そう思うと一目散に国崎往人の住んでいるところへ向かうみちる。ポテトも後からついてくる。お姉ちゃんに何かしてみろ〜っ、地獄の果てでも追いかけてやる〜っ! そう思いつつ国崎往人の住んでる廃駅舎にやって来た。って? 電気が点いてない。さてはみちるが来たのに気がついて居留守してるんだなぁ〜? そう思ってバンバン玄関のドアをキックしてみるけど反応はなし。んにゅにゅ〜? 本格的にどこかに行ったのかな? まあどこかに行ったんならそれでいいや♪ なんて考えてると、ポテトがいない。“お〜い、ポテト〜。どこ行ったの〜?” って呼んでると後ろから、“この地球外生命体・毛玉犬に何か用か?” って怖い声が聞こえる。振り向きたくないけど振り向いたら案の定、変態誘拐魔の国崎往人が仁王立ちで立っていた。
「んにゅ〜。頭がまだぐわんぐわんするよぅ〜…」
そう言って頭を擦りながら言うみちる。あの後国崎往人から大きなげんこつをもらって、目の中に星がいっぱい見えたことは言う間でもなく…。“俺の家に何してやがったんだ!” とものすごい怖い顔で言われてちょっとだけちびっちゃったのはみんなには内緒だよ? でも何で国崎往人がみちるの後ろにいたかって言うとそれはお姉ちゃんの一言が原因だったらしくて…。まあいつもこの時期には遊びに来てるからかな? って思いつつお土産の品なんかを出している。当然国崎往人には何もなしだ。いつもみちるが楽しみに取っておいてるおかずを横取りして食べちゃったり、かみやんたちと一緒にババ抜きをしてるとこっそりみちるのババをお姉ちゃんに言ったりして邪魔ばっかりしてくるんだから、こんなことでもしないとみちるの気が収まらないって言うか…。でもお姉ちゃんはそんなみちると国崎往人の血で血を洗う抗争を、仲良し? としか見ていない部分もあって、みちるが国崎往人と争ってる間もぷぅ〜っと頬を膨らませて国崎往人のほうを見つめていて、国崎往人が帰った後でみちるに今日国崎往人とやったことなんかを根掘り葉掘り聞いてくるわけで…。喋らないとぶつぶつぶつぶつ、癒し声って言うのかな? いつもの優しい声で夜中中囁いてくるものだから翌日は寝不足気味になっちゃうわけで…。それもこれもぜ〜んぶ国崎往人のせいだ〜っ!! って歩いてる国崎往人に八つ当たりするみちるがいるって言うわけで…。
で、甘酒を取り出そうとしてピンとくる。これをお姉ちゃんに飲ませて国崎往人を困らせてやれ! とにゅふふふふと言う笑みとともに国崎往人に気付かれないようにお姉ちゃんに甘酒のパックを渡すみちる。お姉ちゃんは、んんっ? って言う顔になった後、にっこり微笑んで、“飲みたいの? じゃあ少しだけ飲んじゃいましょう” って言ってコップを2つ出してくる。1つはお姉ちゃんのでもう1つは当然みちるのだ。甘酒って今まで飲んだことがないみちるは興味津々でその注がれた甘酒を見つめている。お姉ちゃんも何だか嬉しそうにしてた。どんな味がするのかな? そう思って恐る恐る口をつけて一口飲んだ。甘い味が口の中に広がるとともに体がポカポカしてくる。国崎往人が来て、“何か飲んでるけど何を飲んでるんだ?” ってみちるたちのほうを見る。あっち行け! とばかりにしっしと手で追い払うようにすると、“ちっ!” と舌打ちして向こうへ行った。って? あれ? いつもならみちるがこんなことをすると容赦なくげんこつが飛んでくるのに…。おかしいなぁ〜。と思いつつお姉ちゃんのほうを見ると何だかうるうるした目で国崎往人の去っていったほうを見つめていたんだけど…。
その日の夕食はお姉ちゃんの艶めかしい嬌声と、おばさんの、“あらあらうふふ” と言う声と、いやに嬉しそうな恥ずかしそうな国崎往人の表情をムカムカしながら見つつご飯に手をつけるみちるがいた。あんまり腹が立ったから国崎往人のおかずの乗った皿からおかずを全部取って食べてやったけど、それでもお姉ちゃんが、“みちるが取っちゃった分私のを上げます。はい。あ〜ん” なんてみちるでも知ってる新婚夫婦のようなことをやっていて、余計にむしゃくしゃしながらご飯を食べてるみちるがいるわけで…。とにかくかみやんたちに言いつけてやる〜っ!! って思いながら、お姉ちゃんを取られてしまって悔しいやら何やらで唇をぐぐぐぐぐ〜って噛みしめながら、この間テレビの再放送でやってたどこかのお姉ちゃんのように怖い目をして国崎往人を睨みつけてる今日12月22日はみちるの大好きなお姉ちゃん・遠野美凪のお誕生日だ。
END