晴子さんの朝


 こにゃにゃちわ〜! ウチの名は神尾晴子。今は娘の観鈴とどこぞの居候との3人暮らしや。
「誰がどこぞの居候だっ! 俺には国崎往人って言う立派な名前がある!!」
「ただ飯食うとってから、偉そうに…。それやったらどっかで仕事でも探してきいや…。そしたら名前で呼んだるわ。それまであんたは居候で十分や」
「ぐぐぐっ…。わっ、分かりました。ボス…」
 人質の人形をぐりぐりしてやると、慌てたように居候はそう言う。そんなにこの薄汚い人形がええんかねぇ〜? 部屋にはウチが買うてやったナマケモノのぬいぐるみがどすっと置いてある。あれは観鈴のお気に入りや。
 腹が減ったと言う顔の居候に朝飯を用意してやる。こう見えてもウチはお料理は得意なんやで〜? まあ、観鈴には負けるけどな…。
「ほれ、居候。朝飯や…」
「……おい! 晴子! 何だこりゃ? 酒のおつまみやら豆やら…。ほとんど、昨日お前が食べたビールのあてじゃないか?! もういい…。俺は稼ぎに行ってくる……」
「ちょ、ちょっと待ち〜や!! 居候。冗談やないの……」
 そう言って、おつまみを引っ込めると、本物の朝飯を持ってくる。もちろんウチのお手製や。
 観鈴は、昨日から友達(霧島先生のとこの佳乃ちゃん)の家にお泊りに行って留守や。そやから必然的にウチと居候と二人だけになる…。
「でも、あの子に友達出来てほんまによかったわ……」
 ウチはそう居候に言う。もしゃもしゃとウチの作った朝飯を食べていた居候は……、
「ああ…。よかった。でも……」
 そう言う。“でも”と言う言葉が気になったウチは居候に聞いてみることにした。
「でも? でもて何や?」
「もっと増やさなくっちゃな…。友達…。佳乃や遠野だけじゃなくって、もっといろんなやつも友達に出来るといいな…」
 なんや…。そう言うことかいな…。笑ってウチは心配そうな居候に言うてやる…。
「大丈夫やって…、居候…。増やせるて……。やってあの子はウチの娘やで? 神尾晴子の娘の観鈴や……」
「ああ…。そうだな…。あんたの娘だもんな…」
 そう言って、居候の顔をにかっと笑って見るウチ…。居候もウチの顔を見て微笑む。そんな、ある春の気持ちのええ朝やった…。


「さあ、今日もバリバリ行こかー!!」
 そう言うて、愛車のドゥガディーに跨る。エンジン音は快調。ぶるんぶるんとアクセルを吹かせると、今日も一日が始まるんやなと言う気分になった。さあ、今日も頑張ろかい……。

END