久瀬くん、倉田さんの誕生日に絶叫す…
今日5月5日は僕の愛すべき人・倉田佐祐理さんの誕生日です。謀らずも昨年、倉田さんの前で僕の意図とは違って他の女生徒にプレゼントを渡してしまい、その光景を目撃した倉田さんに大きな勘違いをされてしまった僕。今年こそはと思い、こうしてプレゼントを買い彼女の家へと向かっているところです。と、向こうのほうから僕を呼ぶ声が聞こえてきました。
「よお、久瀬。今日はどうしたんだ? そんな正装なんかして…」
「何だかどっかの金持ちのバ○息子みたいな服装だな? 相沢」
そんな失礼なことを言ってくる男二人、相沢祐一に北川潤。僕にとっては目の上のたんこぶみたいな存在です。この二人のおかげで、今まで練り上げられてきた僕の生徒会プランが見事なまでに崩壊してしまったのですから…。あの不良学生たる川澄舞の追放を阻止して、かつ、川澄舞にそそのかされ、あるいは脅されている倉田さんを助け、そしてゆくゆくは、倉田さんと結婚…という壮大なプランが!! ああっ…。……それがこの二人のおかげで無茶苦茶になってしまったのですから…。川澄舞在校時代、彼女と同じように暴利を強請り、集る始末……。
特に東京の高校から転校してきたと言う相沢祐一は非常にやりにくい相手です。彼が転校してからと言うもの、もともと問題児だった川澄舞の行動がますますエスカレートしていくような感じがしましたよ…。まあ最も今は、その問題児もいなくなり、ほっとしているのではありますがね?……。
「お二人には関係のないことです…。僕はこれから用事がありますので…」
僕はそう言うと歩き出します。二人はと見ると、僕の後ろをさも面白そうなものでもあるのかと言う顔でついてきていました。後ろを振り返ると僕は言います。
「君たち…。僕はこれからさる高貴なお方の誕生パーティーに行くのです。凡脈な君たちとは違う高貴なお方のね……」
ふっ、と前髪を掻き分け、いかにもと言う表情を作り僕はこう言います。ふふっ、二人とも僕のこの優雅で気品溢れる態度にぐうの音も出ないのでしょう。そう思い二人を見ると?
「相沢…、言ってる意味分かるか?」
「さあ、分からん…。ただこいつも佐祐理さんの誕生日に呼ばれてるってことだな? 気がいいからな。佐祐理さんは…。はぁ〜。まあいいけどさ…」
ががーん!! ぼ、僕のこの優雅で気品溢れる態度が分からないのですか? そ、そ、そそそれにき、きき君たちも、よ、よよよよ、呼ばれているだって〜? そんな……、そんなそんな…。よろめく僕。二人はにんまりと笑いあい、僕の肩に手を置くと悪魔が囁くかの如くこう言います。
「「残念でしたなぁ〜。久瀬〜。じゃあ一緒に行きましょうかねぇ?」」
悪魔のような二人の笑い。その笑いに恐怖を感じましたが、生憎と手を掴まれているため逃げることが出来ません。ずるずると死刑囚が13階段を上るかのごとく、キリストがゴルゴタの丘へ十字架を架けられに行くかのごとく、二人の悪魔は僕の肩に手をかけて怪しく笑いながらずるずると僕を引き摺っていきます。
「ま、ままま、待ってくれたまえ〜っ!! あうあっ!! た、助けてください倉田さ〜ん!!」
僕の叫びは虚しく街に響くだけでした…。
「なあ、久瀬? そんな格好で暑くないか? …まあ俺には関係ないけどな…」
「久瀬? 顔が真っ赤っか…。それに鼻の下が伸びてる…」
相沢祐一と川澄舞が僕の顔をじっと見てこんなことを言っています。ええ、ええ、それはもう伸びきっておりますですよ。はい……。倉田さんの悩殺ビキニ(謀らずも川澄舞をはじめ他の女生徒の水着も多数)が間近で見られるなんて夢にも思わなかったです…。ありがとう! 相沢君! 北川君! 今まで僕は君たちを誤解していました。君たちが本当はこんなにいい人だったなんて…。ありがとう。本当にありがとう。今日は君たちのおかげでいい物を見られました。……でも、黒○げ危機一髪のような発射台に乗せられていますがね? で、今まさに射出させられる瞬間ですがね? ば、罰ゲームか何かですか? ……ちなみに僕はカナヅチです。5メートルも泳げませんです。はい。
「あ〜あ…。佐祐理、負けちゃいました〜。あははー。久瀬さん、すみませんねーっ?」
ゲームに倉田さんが負けてしまって今から最後の穴に剣を指すところです。僕は倉田さんのお姿ばかり追いかけていたのでゲームのことは全く分かりません。って! そんなことはどうでもいいいのですっ! …ああっ、倉田さん…。そのお御足と言い、均衡の取れたプロポーションといい、最高ですっ!! ビューティフルワンダフル、沈魚落雁閉月羞花ですっ!! パーフェクトジオングですっ!! 感涙しながら僕は心の中で親指を立てました。
「久瀬さ〜ん。刺しちゃいますよー? え、えいっ!!」
ぶすりっ! ちゅどどどどーん!!
「倉田さーん!! 誕生日おめでとうございま〜す!! 僕はあなたが大好きだぁ〜!! って、う、うわぁぁぁぁ〜〜〜っ!!」
ぼしゃ!! ざっぶ〜ん。ごぼごぼごぼ…。今日、5月5日という日に一片の悔いなしっ!!
END