アンテナの話
やあ、みんな。元気かい? 俺は北川だ。
最近、俺のことを、触覚人間だの、アンテナ野郎だの、果ては、美坂の殺したいヤツNo.1だのと、好き勝手なことを言うやつを多く見かける。ふっ、美坂が俺を殺したいだって? 美坂は俺に惚れてるんだぜ? 冗談きついぜ…、全くよぉ〜。
まっ、こんなチンケな噂を流したやつなんてあいつぐらいしかいないわな…。
「よぉ。アンテナ触角人間」
そう言って俺を朝から不快にさせる男、相沢…。こいつが俺を陥れるような噂を流した張本人だっ! くそぅ!! だいたいこの男がやってきてからというもの、俺の人生プランが狂い始めたんだ…。それまで俺の女子の人気度は高かった。久瀬や斎藤も俺より劣るが、ちょっとは人気はあった。
それなのに…、やつが編入してからここ最近…、高校の女子の人気度は、常にやつが一位。というか、あいつ一人に高校の女子全員、持ってかれちまった(泣)。他の男子なんて可哀想なもんだぜ…。特に久瀬なんかはな(笑)。
あいつは川澄先輩のことで、倉田先輩や相沢と一悶着を起こして、生徒全員の反感を買ったからな…。倉田先輩は男子の、相沢は女子の憧れの的。それを敵に廻してしまったんだ。
たぶん、次の生徒会の選挙で落ちるだろうよ(笑)。斎藤はというと、それを苦に引っ越しちまった…(笑)。
「おい、香里…。こいつ、何か変だぞ?」
「あら、北川君が変だって言うことは前からでしょ? 気にすることはないわ…」
相変わらず、暴言を吐いてくる相沢と、素っ気ない態度の美坂…。ふふっ。マイハニー、相変わらず辛口だぜ…。でもそう言うところが好きなんだよなぁ…。俺って変か?
「ああ…。変だな…。奇人変人コンテストで大賞を取るくらい変だ…」
そんなことを言うと、あの野郎はニヤニヤ笑いやがった。ちくしょう!! 腹が立つぜ〜。って、今の話、聞こえてたのか? 俺がそう聞くと美坂が首を縦に振っていた…。ふっ。どうやら俺も、あのバカが移ってしまったようだ…。
「はぁ…。相沢……、お前のバカが移ったみたいだ……。全く…。嫌になるぜ…」
皮肉をたっぷり込めて言ってやった。片手をおでこに持っていって、いかにもキザっぽく…。…決まったな…。相沢は悔しそうに俺の顔を睨んでる。ふっ、どうだ…。相沢…。見ていてくれたかい。美坂!! かっこいい俺様の姿をっ!!
俺は美坂を見る。…多分、俺のかっこいい姿に惚れ直しているに違いない。そう思って…。だが…、
「北川君…、ちょっとこっちにいらっしゃい…」
悪魔のような微笑みを浮かべて、手招きする美坂…。右手には、あの熊をも倒すといわれるメリケンサックをつけて…。相沢はいつの間にか美坂の膝に縋って…、
「香里さ〜ん、あの子がボクをいじめるんですぅ〜」
って、泣きついてやがる。あっ、相沢〜っ!! てめぇ!! 美坂に助けを請おうとはどういう了見だ!! 美坂も美坂だ!! あんなへっぽこ野郎に泣き付かれて、嬉しそうに頭を撫でるたぁ…。
くっ…。美坂の膝で泣いていいのは、俺だけだっ!!(笑) はぁ、いいよなぁ〜。俺もしてぇよ…(汗)。
「北川君…。聞こえてるわ…。全部…………」
そう言うと、美坂は俺のほうへと向かってくる。顔はこれ以上ないという極上の微笑み…。その背後には闘神のオーラが見えた…。
「何でこうなるんだぁ〜!! 教えてくれ〜!!」
俺はみの虫状態で教室の窓から吊るされていた。今日は風がなくって本当に良かったぜ…。と思う冬の終わりのある日だった。ちくしょ〜〜〜っ!! 相沢ぁ〜!! 覚えてやがれ〜〜〜っ!!(泣)
おわり