あゆあゆの話
うぐぅ〜。ボクは月宮あゆだよっ!!
最近、ボクのことをたいやきうぐぅだの、小学生のお子様だの、男の子だの言う人をよく見かけるんだけど…。ボクはたいやきうぐぅでもないし、小学生のお子様でもないんだよ。ましてや男の子でもないんだよ!!
そりゃあ、ボクは「ボク」って言ってるけど…。それにしても男の子は酷いと思うんだよっ!!
もういいや…。こんなところで独り言言ってたって、おなかがすくばっかりだし……。たいやきでも食べに行こ〜っと…。てくてくといつものたいやき屋さんに行ったんだ。すると……、
「大変申し訳ございません。諸事情により、休業させていただきます。店主…」
って、張り紙が張ってあった。えっ? なんだって? もう一度張り紙を見てみる。
「休業させていただきます。店主…」
が〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん! 間違いなかった。こんなことって…、こんなことってないんだよ〜っ!!
うぐうぐ泣きながら、ボクはとぼとぼと町の中を歩いてたんだ。そしたら、誰かに後ろから声をかけられた。
「ようっ!! 妖怪うぐぅ〜!!」
いつもだったら、こんなことを言ってくる男の子に文句の一つでも言ってたんだけど、今日はそれどころじゃなかったんだよ……。ボクは泣いていた顔を上げる。瞳から涙が零れ落ちるのが分かった。
男の子はびっくりしたように、こう言ったんだ……。
「ど、どうした?! あゆ。誰かにいじめられたのか?」
「ううん……。そうじゃないんだよ。祐一君……」
ボクは、力なく首を横に振る。その男の子…。祐一君は心配そうにまた言ったんだ。
「なら、どうしたんだ?! あゆ。おなかでも痛いのか? それとも、また昔のことでも思い出したのか?」
ふるふると首を横に振るボク…。顔を上げる。涙で祐一君の顔が見えなかった。もう、限界だった。ボクは…、ボクは……。祐一君に抱きついたんだ…。
「祐一く〜〜〜ん!! たいやき屋さんがっ、たいやき屋さんがっ…、なくなっちゃったんだよ〜!!」
うぐうぐ泣いているボクを見た祐一君は、へっ? という顔をして、こう言ったんだ…。
「おっ、お前……、そんなことで泣いてたのか? ぷっ! ぷははは…」
って……。失礼だよっ!! 祐一君…。ボクにとっては死活問題なんだからねっ? 祐一君を見る。祐一君はまだおかしいのかくすくす笑ってた。
うぐぅ〜、人がこんなに悲しんでるのに…。もう!! 幻滅だよっ!! 祐一君…。
「もう、いいよ…。いいよ…。祐一君…。ボクはたいやき屋さんがなくなっちゃったことに悲観して、今日は秋子さんたちのところへは帰らないんだ…。そして、明日の朝…、たいやき屋さんの屋台の横で、冷たくなったボクが発見されるんだ…」
とぼとぼと歩くボク。祐一君…、信じられないんだよ…。もう誰も、信じられないんだよ…。ボクはそう思いながら歩いてく。うぐうぐ泣きながら歩いてく…。
……と、急に誰かに手を掴まれた。掴まれた手の先を見てみると祐一君だったんだ…。
「うぐぅ〜。放してよ〜。祐一君…。ボクは明日の朝…、たいやき屋さんの屋台の横で、冷たくなって発見されるんだからぁ〜。うぐぅ〜…」
「はぁ〜。お前なぁ〜。何をバカなことを考えてるんだ? ほら、いいから……。ちょっと来いっ!!」
そう言って祐一君はボクの手を引いて、走り出したんだ…。で、着いたところはいつものたいやき屋さん…。
「ほら、ここの看板の下に、小さく書いているだろう? 字が……」
うぐぅ? 何て書かれてあるんだろう? ボクはもう一度看板を見る。
看板には小さい字で何か書かれていたんだ…。
「あ〜あ。泣いて損しちゃったよ…。祐一君にも恥ずかしいところを見られちゃったね…」
「これからは、ちゃんと最後までよく見ることだぞ。あゆ…」
看板の下のほうには、小さい字で“2、3日の間”って書かれてあったんだ…。ボクの早とちりってとこかなっ? そんな冬の終わりのある日だったんだよ…。うふふ…。
おわり