さゆりんの話
あははー、倉田佐祐理ですー。
舞のお見舞いの後、すぐに祐一さんが風邪を引かれました。舞の風邪が移ったんでしょうか? 心配なので佐祐理と舞とで、お見舞いに行くことにしましたー。
「ああ……、悪いね…。見舞いに来てもらうなんて…。ごほっ、げほっ…」
行く前に少し電話をしたんですけど、祐一さん、とてもしんどそうです。声もがらがらでした。秋子さんはちょうど放せない仕事が入っているので今晩は遅くなるんだそうです。名雪さんは部活の合宿で今日は帰って来れないということでした。
その間、祐一さんは一人ぼっち…。きっと寂しいに違いありません。
2月……。佐祐理たちはもうすぐ大学2回生です。講義も今日は午前中だけでしたから、お見舞いの品や祐一さんに作ってあげる昼ご飯の材料などを買って、お昼ぐらいに祐一さんの家にお伺いしました。
ピンポーン。チャイムを押します…。しばらくすると…、
「はい……、どちらさまですか? げほっ、げほっ…」
カチャッ、とドアが開いて祐一さんが顔を覗かせます。
「祐一……、お見舞い……来た……」
舞はそう言います。祐一さんは咳をしながら…、
「げほっ、げほっ…。ああ、ありがとう…。二人とも…。しかし、俺……」
「大丈夫……。私がちゃんと看病する……」
「あははー。そうですねー。舞が看病してくれるんだったら、怖いものなしですよー? でも祐一さん、お顔の色があまり良くないですねぇ…。具合が悪くなるかもしれませんから休んでいてくださいね?」
佐祐理は、そう言うと舞に目配せをします。舞は「分かった……」というように頷くと祐一さんの背中を押してお部屋の方に行ってしまいました。昨年の夏に祐一さんのお見舞いに来ているので、舞も分かっているのでしょう。
祐一さんの背中を押して階段を上がっていきました。
さて、佐祐理は料理に取り掛かりましょうか…。うーん、どんなものにしましょうか?…。何か栄養もついて、かつ、消化にいい食事…。買い物をしてきたのはよかったんですけど、具体的に何にするかは決めてなかったんです。
いけない娘ですねっ。佐祐理って……。てへっ。
舞が台所へ入ってきました。祐一さんは? と佐祐理が聞くと…、
「少し休むって……。佐祐理? 昼ご飯…何にするか、決めてないの?」
そう言って、心配そうに佐祐理の顔を覗き込みます。佐祐理が「うん」、と頷くと、
「雑炊がいい……。あれなら栄養もいっぱい…。祐一も元気になると思う…」
そう言うと佐祐理の顔を見つめています。雑炊ですかぁ〜。そうですね。お粥ではちょっと物足りないし、かといって消化に悪いものを出してしまうと、祐一さんの風邪も良くはならないでしょう。うん。雑炊に決めましたー。
「舞、ありがとう」
佐祐理がそう言うと舞は照れて祐一さんの部屋へと行ってしまいました。うふふっ…。舞ってば、本当に照れ屋さんなんですねー。さて、料理も決まったことですから早速作りましょう。秋子さんからは前に来たときに料理道具を使ってもいいと許可を頂いているので、使わせて頂くことにしましたー。
まずはご飯を炊きます。あっ、お米も使ってもいいって言われたんですよー? その間に、だしと野菜の準備です。だしは、昆布とかつおの一番だしを使います。野菜は彩りよく、大根、葱、人参などを使います。ちょうどだしが取れたところでご飯も炊けました。
ご飯をお鍋のほうに移し、切っておいた野菜を入れて……。出来ました!!
「うん、うまいよ。佐祐理さん、ありがとう……。あっ、舞も、看病してくれてありがとうな…」
祐一さんは、一口雑炊を食べると、そう言ってにっこり微笑みます。その笑顔を見ていると佐祐理たちまで嬉しくなりました。佐祐理と舞はうふふと微笑むと、雑炊をおいしそうに食べている祐一さんを見つめていました。
佐祐理のそういう早春の一日でした…。
おわり