しおりんの話
こんにちは、皆さん。美坂栞です。
私のことを最近、子供っぽいとか、本当は3歳のお子ちゃまだとか、好き勝手に言う人をたくさん見かけます。私はこう見えても16歳。あっ、でももう17歳になったんでした…。てへへっ…。こっ、こほんっ!! げ、現役女子高生なんですよ?
そんな私のことを、カレーが食べられないとか…、お寿司に山葵をのせて食べられないとか、おでんにからしをつけて食べられないとかって子供扱いするんですよ?…。う〜っ! そんなこと、人の勝手じゃないですか!? そんなこと言う人嫌いですっ!!
ですから、今日はカレーを食べようと思います。いきなり辛いのはどうかな? と思ったので、ハ○スのレトルトカレーにしてみました(←ク○レカレー甘口)。熱湯で温めて、ご飯にかけます。カレーの匂いが辺りに匂ってます。お腹もすきました。じゃあ、早速食べてみましょう……。
ぱくっ!!
「うっ!! か、辛いです……」
洗面所へ急行する事態になってしまいました。ううう……、辛い食べ物なんて、大嫌いですっ!!
うがいを何回もして口の中もすっきりしたところで、洗面所から台所へ戻りました。“黄色い悪魔”をわざと中身の見えないごみ袋へ捨てます。そうでもしないとお姉ちゃんが…。こ、怖いです…。
カレーを食べたのが分からないように消臭スプレーを掛けて、隠ぺい工作を施します。隠ぺい工作も終わり、ほっとしているところへ、玄関の鍵が開く音が聞こえてきました。
「さあ、相沢君。上がって……」
「ああ、じゃあ、邪魔するよ……」
しばらくすると、お姉ちゃんと祐一さんの声が聞こえてきます…。きっとまた、祐一さんがお姉ちゃんに勉強でも教わりに来たんですね? お姉ちゃんたちが台所へ入ってきました。
「よう、お子ちゃま!」
失礼です…。一年前のあの優しい姿はどこへやら…。意地悪そうに私を見つめている人は、私の大好きな人…。相沢祐一さん…。その横から重たそうに買い物袋をぶら下げて入ってくるお姉ちゃん…。
「そんなこと言う祐一さん、嫌いですっ!!」
「あはは……」
ふんっ! 私はぷぅ〜っと頬を膨らませます。だって、最近いつもこうなんですよ? 嫌がらせとしか思えません!
「あら? 栞。いたの? ああ、ちょうど良かったわ。買い物してきたから、材料、冷蔵庫の中に入れるの手伝ってちょうだいな……」
私たち姉妹のお父さんとお母さんは共働きなため、食事はもっぱらお姉ちゃんが作っています。お姉ちゃんは辛いものが大好き。私とは正反対です…。でも、私のために辛くないものも作ってくれるんですよ? アイスクリームも買ってきてくれるんです…。
今日はどんなアイスクリームでしょうか? あっ、がりが○君です! さすがはお姉ちゃん、最近の私の好みを分かってます。…ふと、違う袋に目が止まりました。私はそ〜っと中を覗き込みます。
ひいいいいいいいいいいいいいっ!!
「お、お、お、おおおおお、お姉ちゃんっ!! な、な、ななな何ですか? これはっ?!」
「ああ、それ? キムチよ。それがどうかした? 今日は寒いからキムチ鍋にしようと思ってね。ちょうど秋子さんが出張で留守だから相沢君たちを呼んで、鍋を突つこうかと思ったのよ…」
袋の中を見た私…。きっと顔面蒼白になっていたでしょう…。そうです!! その袋の中には、赤い魔王…、通称“キムチ”と言うものが入っていたんです!! そんなことを言うと、お姉ちゃんは平然とした顔で荷物を冷蔵庫へ直していきます。
祐一さんは私の反応がおかしいのか、くすくす笑っていました。ううう…。さっき言ったことは全部取り消しです! お姉ちゃんは鬼です!! 悪魔です!!
「相沢君。名雪は何時ごろ来るかしら?」
「うん? そうだなぁ…。多分もうすぐだと思うぞ?」
そう言い合って、給仕をする二人。う、羨ましいです…。私は滂沱の涙を流しながら、仲睦まじく給仕をする二人を見つめていました。そして……、
「あ〜、うまかった〜。ご馳走様…」
「うん、おいしかったよ〜。ありがとう、香里」
「いえいえ、お粗末さまでした……」
祐一さん、名雪さん、お姉ちゃんの3人が楽しそうに食後のひと時を語らっていました。その横で……、
「えぅ〜……。祐一さんもお姉ちゃんも大嫌いですっ!!」
カレーを捨てたのがお姉ちゃんに見つかり、お仕置きとしてハ○スのレトルトカレー(←ク○レカレー中辛)を食べさせられる私がいました。ううう……、カレーなんて……、カレーなんて……、大嫌いですっ!!
おわり