美人外国人さんがやってきた その2

渚の人魚姫たちに翻弄される男の哀愁


 夏のムシムシした暑さが都会を覆いつくす今日この頃、俺の家の両隣とその右隣には天敵やら甘えん坊やらがうじゃうじゃと住み着いている。で、この半年くらい前の3月下旬だったか、外国人までやって来た。まあ厳密にいうと保護したというほうが近いだろうウクライナからの避難民、スカフディア・アンナスカヤ(通称・アンナ)を保護したと言うところか…。ロシアがウクライナに侵攻して半年がたったわけだが、東部でロシアの優勢があるものの南部ではウクライナの反撃が始まるなど、泥沼化の一途を辿っている。アメリカやイギリスやEU諸国が武器供与してくれるので戦局はウクライナに傾きつつあるのだが、一方で“ウクライナ疲れ?” と言うものも見受けられるなど国際間の物事は正負の状態があるようだ。まあ遠い異国の戦争ではなくて明日の日本に直結しそうな感じがするのは俺だけだろうか? とも最近は思うようになった。大戦間近の様相を呈しているということを言う学者の本を最近新聞の広告欄で目にすることも少なくない。まあ平和ボケした日本人には当然のことながら対岸の火事としか見受けられないようで、この間もテレビか何かで見たんだが、“戦争なんて起こるわけないしぃ〜。って言うかテレビ? いえ〜い、みんな見てるぅ〜?” とか言う17歳くらいの学生らしいやつがピースサインを出しながらへらへら笑っていた。こんな奴に限っていざ戦争になったときにいの一番に助けを求めてくるんだろう。そう思うとこの国大丈夫か? と大いに不安になる。まあ参議院選挙では防衛費増額を掲げて憲法改正派の政権与党の圧勝に終わったんで、まだまだ捨てたものでもないなとは思うんだが…。
 アンナの故郷・ウクライナでは毎年のこの時期になると、黒海のオデーサ近郊の海へ海水浴に行っていたらしく、何やらしきりに海の番組を見ながら、“はぁ〜っ” とため息を吐くことが多くなった。かく言うアンナの日本語の上達ぶりには舌を巻く。今じゃ一般の日本人と同じように喋られるようになった。と言うか九州訛りが入っているのでこれは楓佳の影響が大きいのではないかと思う。楓佳とルームシェアをして日頃から博多弁を聞かされているので当然と言うと当然なのかも知れんが…。まあ博多弁を流暢に話す碧い目の外国人はどこに行っても目立つわけで。かつ、ボンキュッボンの体型も相まってか、俺と一緒に歩いていると野郎どもは羨望やら嫉妬、あるいは殺意を込めた目で見つめてくるし、女は女で嫌悪に近い目で見つめてくる。何かの拍子にぎゅっと体を俺のほうに寄りかけてくる時にゃ、通行人全員がギロリと俺を睨んでくる有様。それだけで精神を半分ほど持っていかれそうになるのだが、まあいつもの魔法? で大きくなったマセガキやらお局様姉妹やら従姉妹連合に普段からやり込められているせいもあってかその辺はもう慣れてしまっているので何も感じなくなった。その点に関してだけは感謝したいと思う。本当にその点に関してだけは…だけどな? 昔の俺だったら今頃は部屋の隅でぶるぶる震えていたと思うから、俺もいろんな意味で強くなったんだなと考えることが多くなった。…とは言え、不意を突かれての胸や尻や体なんかを俺のほうにむにゅっと押し付けてこられると、一向に条件反射のような感じでびくっとなってしまうことは周知の事実なことは言うまでもない。こればかりは男の性と言うものだろう。
 でそんなこんなで、8月も下旬の今日、会社の有給制度を使ってみんなで海にやってきた。まあ楓佳とアンナはバイトを休んでの参加だ。楓佳とアンナ、お互い女子大生と言うこともあってか仲良くなることには早々時間はかからなかったわけだが、まさかアンナに博多弁を伝授するとは思ってもみなかった。アンナもアンナであそこまでマスターできるとは…。と驚きを隠せない。まあ日本に慣れてくれるということはありがたいわけだが、碧い目と白い肌の外国人が、博多弁を流暢に喋るのを見ると一種異様な感じさえ覚える。
「ケンイチロウ、何ばしちょっと? うちん顔ばじ〜っと見て…。そげん見つめらるーと恥ずかしかよ…」
 とそう言ってアンナは頬を赤らめて上目遣いにちょっと恥ずかしそうに俺の顔を見遣る仕草を見せる。まあ初めて会った時のあのたどたどしい日本語からは想像も出来んくらいな流暢な日本語を喋るもんで時々こいつが外国人(厳密にいうと避難民なんだが…)に見えんときもあるわけで…。まあ向こうの大学では日本語専攻だったと言うことを聞いていたので、本場の日本に来て間近で日本語の口調やら喋り方なんかを聴くことはアンナ本人にとってはすごい経験になっていることだろう。しかしだ、その枠を遥かに超えて方言まで喋られるようになるとは思ってもみなかった。よっぽどアンナ自身の言語に対する感性がいいのかと考えると、とんでもねぇ天才がいたもんだとそりゃ顔も見つめたくなるわけで…。と思ってると、でかいマセガキが、“あ〜っ! お兄ちゃんがまたアンナさんの顔ばっかり見てる〜っ!!” と2つの大きな桃をゆっさゆっさと揺らしながら突貫してくるわけで…。で、いつものように裸族の集団に取り囲まれる俺がいるのは必然的な事象なのかもしれん。はぁ〜…。
 そう言えば、少々お下劣な話になるんだが、夏の季節になるからと女性陣(マセガキ除く)全員でエステサロンに行ってきたらしい。まあ男の俺からしてみると気になるようなところはないんだが(強いて言えば髭くらいなものか…)、女はいろいろ気になるんだろうなぁ〜と思っていたわけだが、それが強烈な形で現れてしまいいろいろと困っている。と言うのも大事なところを永久脱毛してきたらしく、全員が全員マセガキと同じようにつるりんとなってしまい、裸族になったときに大事なところが露わになるというとんでもなくこっ恥ずかしい状態になってしまった。何でそうした? 俺に対する嫌みの当てつけか? と思いつるりんとした部分もそのままに飲んでいるお局様に訊いてみると、“毎日剃るのが面倒くさかったからに決まってるでしょ? これならもう暑くても汗でムレないしね〜? ね、いいでしょ…。これ” そう言って大事なところをこれでもかと言うくらいに見せつけてくる。行動規範がおっさんのソレだ。なんでこうも俺の周りにゃ変なヤツらが集まるんだ? とりあえず何か穿いてくれ…とか思ってると裕香姉たちが我も我もと見せにくるわけで。“お、お、女の子が大事なところをそうそう惜しげもなく見せつけるんじゃありません!!” と鼻血をぽたぽた垂らしながらそう言っても言うことはかえって逆効果。楓佳なんぞは大事なところを見せつけながら頬を真っ赤に染めて、“あ、あんちゃんのためにこげんなこつしたんやけんねっ? 責任ば取ってよ! あんちゃん!” と言ってくるわけで。そんなことを言ってる最中に俺の意識が飛ぶのが早かったわけだ。次の日は次の日で朝から俺の着ているよれよれのパジャマ姿のマセガキにおしっこを前にしていた通りM字開脚でするように命令されて、“断る!! と言うか何でお前の下の世話までしなくちゃならん。昔じゃあるまいし…。って言うかもう1人でも出来るだろ?” と言うと泣きべそをかいている美羽。“お兄ちゃんが美羽の言うこと聞いてくれないよ〜っ!! 天ちゃんや裕香お姉ちゃんやかおちゃんやふうちゃんやアンナちゃんの言うことは聞いてくれてるのに〜っ!!” と目をウルウルさせて一粒二粒涙を零しながらこう言う美羽にひょっとして現実が見え始めてるんじゃ? と恐怖を覚える俺。言うに夢の中ででかいマセガキの所業を見てるらしい。でかくなったり縮こまったりと体の変化が激しいわけだが、こう言う弊害が出てくるのかと最近思うようになった。何かいい対策は? とは思うのだが、特殊も特殊なことなので言っていくところがない。まあもしあったとしてもそこはマッドサイエンティストの巣窟なところだろう。心と体のバランスが整うまでは静かに見守っておいたほうがいいだろうな? そう思う。で、結局涙の抗議に負けて、言うことを聞いてしまう俺も俺なんだけどな? 平生女の涙には弱いので仕方なく言う通りにしたんだが、“お兄ちゃんに抱っこされておしっこできるんだから美羽のほうが深い仲だよね? ぐすっ…” とパジャマの袖で涙を拭きながら言ってくるマセガキにこいつの負けず嫌いは天性のものだな? と改めて思う俺がいた。


 で、今日は会社の有給休暇制度を使いみんなで海水浴にやってきた。一応、次年の夏のツアーの下見も兼ねている? ので、1週間ほど休みをもらったのだが…。まあここまで来るのにいろいろと一悶着も二悶着もあったわけだが、その辺は割愛させてもらう。ただ、社長はぶつぶつ文句と言うかいつものお小言を言っていたっけか。俺がマセガキでどれだけ苦労をしていると思ってるんだ! と声を大にして言いたかったが、そうするとマセガキがちょっと可哀想かな〜なんて思ったので黙って聞いてると、“おじいちゃん! お兄ちゃんは美羽の将来のお婿さんなんだからそんなきつく言っちゃダメ!! それに半分お仕事なんでしょ?! だったら余計にダメッ!!” とマセガキが半分怒ったような顔をして加勢してくれる。やっぱり孫は可愛いんだろう。社長もペコペコ頭を下げていたっけか。そんなこんなで新幹線と在来線を使い半日かけて京都の北部の海へとやってきた。まあ俺にとってはまあ兵庫も京都も同じ庭みたいなもんだからな。そう言えばアンナは新幹線は初めてだったか…。“こげん速か乗り物ばあるなんてねぇ? ウクライナも平和になったらこげん乗りもんば欲しかねぇ〜…” と遠い祖国の今の悲惨な惨状を思い出して、そう言う。戦争はどの国にも不幸と悲しみしか生まない。それを承知でドンパチやってるロシアの上層部はトンデモに悪だと思う。そう思いつつ海水浴場の着替え室で海パンに着替える俺。男の着替えなんて言うものは早いもんだが女は結構長いもんで、30分ぐらいレンタルで借りたビーチパラソルの下待っていると…。
「お兄ちゃ〜ん」
 と言う声とともにバインボインとスイカップを揺らしながらぶんぶん手を振って俺の下に走ってくるマセガキ(大)。その後を追いかけるように楓佳たちが走ってくる。まあどいつもこいつもボンキュッボンな体型だよな? と言うか美羽はまたでかくなったのか…。そうマセガキはある程度は自分でコントロール出来るようになったわけで…。まあ体はいろいろなところがでかいが中身はまだまだお子ちゃまな感じなわけなので、悪い男どもに狙われんようにしないとなと思う。これは楓佳やアンナにも言えるわけだけどな? そんな感じで妹軍団が先に俺の周りに寄り付く。いつも通り、いやいつも以上にべたべたしてくるわ、ファッションショーみたく大きなものをぶるんぶるん揺らしてくるわで、気が付くと奇異の目が俺たちのほう(特に俺)を見ている始末。ええい、後の姉組はどうした? 同じくらいに入ったんだからもう来ててもいい頃だろ! とあたりを見遣ると5メートルくらい離れた木の陰からこっちを見ている顔2つ。一方は本当にうれしそうな顔で、もう一方は何かを企んでいるかのようなにんまりした顔で俺の様子をうかがっているわけで…。はあ〜、何でこうも俺の周りには一癖も二癖も強いやつらが集まってくるんだ? 教えてくれ、前のバカップル! と俺の3、4メートル前にいるバカップルのイチャイチャを見ながらそう思う俺がいた。
 “あんたがオオカミにならないか見てたのよ…” とはお局様の弁。まあそれが当たり前の反応だろう。俺だってもし同じ立場だったらそう言う。ところが、うちの従姉はと言うと、“賢くんがおっぱい大きな女の子と仲良うしとるのが嬉しくって…” とちょっと常軌を逸したようなことを言う。俺だって一応男なわけだからどこで本能が出てオオカミになるか分からん。にも関わらずこの従姉はどこまでも俺を信じてるよなぁ〜。まあそのおかげで今まで悪の道に入らずに済んだんだが…。と2人の水着を見て、ぶはっと鼻血が飛び出そうになるのを必死で耐える俺。まあほとんど布地のないド○クエでいうところの“あぶない水着” のような水着(まあその上に薄手のだぼっとした大きめの白Tシャツは着込んではいるんだが汗でもう中が透けて見えてる)のお局様と、ぴっちりむっちりした競泳水着の裕香姉が立っていたからだ。さすがにこれはダメだろうお局様…とか考えてるが生憎ここは予約制のビーチのように人影もまばらな海水浴場だったわけで。まあコ○ナの再拡大も懸念されるような時期だしな? と妙に納得する俺。これが湘南の海水浴場だったら絶対関係者がすっ飛んできてしょっ引いていかされるんだろうなぁ〜っと思う俺がいたわけだ。
「何? あたしのほうをじろじろ見ちゃって! いやらしい…。いっつも家で裸をいやらしい目で見てるのに、もしかして水着フェチ? ああ、どおりで薫や美羽ちゃんや楓佳ちゃんやアンナさんの水着姿を舐め回すように見てたものね?…。やっぱり真相の変態だって言うことなのかな? 水着フェチのエロエロ男くん…」
 と危ないビキニを身に着けたお局様が俺の右隣に座る。“まあまあええやんか。うちはあんまり水着にはええ思い出がないからなぁ〜。逆に恵さんの大胆な水着はええなぁ思うんよ” と左隣に腰かけた裕香姉が羨ましそうにそう言う。そういや裕香姉は中学の頃に、“泳ぐ乳牛” って呼ばれてたっけ。そう言うのがあって何かにつけて、“〜の乳牛” とか言う渾名をもらってて心底嫌そうにしてたっけか? 運動会も保健委員とかあまり運動には関係ない係をやってた記憶があるんだが…。まあここでならそう茶化すやつはいないし、そう思って、“なあ裕香姉。泳がないか?” と誘ってみた。のだが、“賢くんの頼みでもこれだけは堪忍して” と言う。ああ、トラウマ発動か。顔を見ると涙目でいやいやと首を横に振ってるし。“誰も笑わんって。第一みんな見知った仲やろ。それに俺も姉ちゃんと泳いでみたい思うっとたし。なあ。そこまで、波打ち際まで行こうや” と地の関西弁もそこそこに裕香姉の手を引く俺。“ちょちょちょ、ちょっと賢くん?!” そう言って踏ん張ろうとしてみるもやっぱり男と女の力の差か、立たされてしまう裕香姉。顔を見ると上目遣いのちょっと怒ったような目をしていたが、お構いなしにどんどん波打ち際にやってくる。と楓佳が気が付いたのか、“裕香姉ちゃん、泳ぐ練習しに来たと? あんちゃんば付きっきりで? …じゃあうちも付き合うちゃる! 姉ちゃんばっかりよか目なんてしゃしぇんっちゃけんね!” そう言ってばしゃばしゃ近づいてくる。最後のほうで何かぶつぶつ言っていたがどうせ裕香姉に対する対抗心か何かだろう。全くこいつは全然変わらんな? そう思った。アンナと薫ちゃんと美羽もやって来てみんなで裕香姉への水泳教室なんかを始める。美羽はそこそこ泳げるのは分かってはいるんだが、薫ちゃんやアンナは泳げるの? と訊いてみると、“泳ぐのは得意なんだよ〜。これでも…。全国高校総体3位なんだんてね? ああっ、信じでねぁ顔してらね? 先輩。まあえ。高校時代さ培った技見せでける!” とどんとお局様と同じぐらいある胸を突き出して言う薫ちゃん。“あたしもこの間、浮き輪なしで泳げたんだから〜!” と浮き輪の上に座って偉そうに言う美羽。そう言うんだったらでかい時でもシャンプーハットは外してくれ。“オデーサん人魚姫って言う渾名、見しぇる時が来たごたーなあ? 頑張って裕香しゃんば泳げるごとするとね?” とばいーんとマーキュリーカップのものすごい圧力もそこそこにそう言うアンナ。しかしオデーサの人魚姫とはでかく出たなぁ〜っと思う。その実力に度肝を抜かれることになるのは30分ぐらい後になってからのことだ…。


 30分後…。へとへとになりつつパラソルの下、寝そべる俺。横には超ご機嫌斜めですっ! って言うくらいぷぅ〜っと頬を膨らませて涙目の上目遣いという典型的な無言の非難をしてくる裕香姉がいる。“賢くんのアホ〜” と言わんばかりな目に少々困惑気味な俺がいる。お局様はそんな俺たちを面白いモノでも見つけたかのように、にんまりした顔で見ていた。“なあ、悪かったって…” と言っても、ぷいっと横を向いて頬を更にぷく〜っと膨らませてくる始末。子供じみたことをするなとは言いたいが、こう言うと絶対、“賢くん、罰ゲーム!!” と言って身辺介護という恐ろしい罰ゲームが待っているのは目に見えて明らかなもんで、絶対に言えん。言うと前述の通りになってさらに楓佳と美羽が何やらかやら裕香姉に対抗してくるのは明らかで…。しかしどうするよ。この状況。とふとアンナのことを思い出す。まあオデーサの人魚姫は本当にすごかった。あんなでかいものを2つも持ってるって言うのにすいすいイルカのように泳ぐ様は人魚姫も過言ではないと俺は思う。まあその反動からか水着の上がはじけ飛んだりして、大変だったが…。とそんなことを考えてると、ぷにっと横腹を突いてくる手が1つ。手の先を見ると案の定と言うかなんと言うかやっぱり裕香姉だった。
「賢くん! 怒っとるうちの顔を見らんと、何をさっきからアンナちゃんのほうばっかり見とるの? うちのほうもちゃんと見て! そうやなかったら罰ゲームなんやからね?!」
 とある意味死よりも怖い恐怖の宣告をされてしまう。まま、裕香姉だけならいいが、ここには調子のいい女性陣がわんさかいるんだ。ここでヘマをして全員敵なんて言うことには絶対にしたくない。そう思って裕香姉のほうをじっと見つめる俺。途中で楓佳が何か言いたげに睨んでいたが楓佳も裕香姉の恐ろしさは知っているので苦虫を噛み潰したような顔をして恨めしそうに俺の顔を睨んでいた。“ごめん、裕香姉。でも裕香姉とも泳ぎたいなってずっと思ってて…” と俺は言う。半分は口から出任せだが半分は本心からだ。裕香姉がトラウマで泳げなくなった人と言うのは重々分かる。でももう10年くらいも前の話なんだし、そろそろ克服してもいいんじゃないかと思うし、ここで笑うやつなんかいないと思うんだと正直に言う。と、“もう、賢くん。そない真剣な顔して言われるとお姉ちゃん何も言い返せへんようになるやんか…。ほんま卑怯さんなんやから…” そう言っていつもの優しい笑顔に戻った。楓佳が、“裕香姉ちゃんばっかり! うちんことば放ったらかしにして!! そう言うあんちゃんばこうだ!!” とばかりに負ぶさりやがる。当然どど〜んとしたボリュームのものが背中いっぱいに押し付けられる。と、私も私もと、薫ちゃんや美羽やアンナまでもが俺にくっついてくる始末で。暑苦しいったらありゃしない。でもそう言うとどんどんエスカレートしてくるに決まってるしな。ははは、モテる男はつらいなぁ〜などと現実逃避をしていると、前から2つのでかいお餅が俺の顔に覆い被さってくる。ぎゅむっとした圧倒的な柔らかい圧力に息が出来なくなる俺。とりあえずひっぺ返してやろうと思いお餅を掴むと押し返す。“きゃっ” と可愛い声が聞こえる。と言うかお局様はまたこんな混乱させるようなことをやってくるのか〜っ!! とふつふつ怒りが込み上げてくる。このままお餅を揉んでやるかとも思ったがそうすると俺の今晩の名前が妙に立派なものに変わってくるので止めにした。“あんたがこんな積極的に触ってくるなんて思ってもなかったわ…” と悪びれる様子もなく少しばかり頬を赤く染めてそう言うお局様。楓佳や美羽や薫ちゃんの顔が痛い。特に楓佳と美羽は恨めしそうに上目遣いの三白眼でこっちを見つめてくるのが正直なところ怖かった。“ええい、こっちはもう少しで窒息するところだったんだ!” と言いたいのだが、女性陣3人の無言の圧力に気圧されして何も言えない俺。アンナは不思議そうに見ていたが訳が分かったのか、同じように見つめてくる、と言うか、いつまで引っ付いてる気ですか? そろそろ離れてほしいんですけど…。と目の前のたわわなものを前に言う俺に対して、“あたしが納得するまで…と言いたいとこだけど、もう離れるわ” そう言って離れてくれた。…のだが、あとは察しの通り、ぷんぷん怒りながら突貫してくる楓佳たちを前にただただ成す術なく、もにゅっとかむにゅっとかぷにゅっとかのいやらしい擬音もその通りな光景になってしまっていた。ほかの海水浴客の男どもは、全員が殺意に満ちた顔で睨んでくるし、女どもは嫌悪な顔でこっちを何事か囁きあいながら見ている。はぁ〜、不幸だ…、とどこぞのライトノベルのツンツン頭の主人公の口癖のように呟く俺がいた。


 宿に着く。老舗の温泉宿らしい落ち着いた風情を醸し出していた。温泉もあるということなので今日の疲れを癒そうと一人の部屋に荷物を置く。一応部屋の状態や構造なんかも見ないといけない。半分は遊びだが半分は旅行会社の社員として来ていることもあり、入念にチェックしていく。女性陣にはちょっと大きな部屋を用意しておいた。5〜6人なら十分な広さだろう。向こうのほうはお局様がやってくれるそうなのでお願いしておいた。これは会社の仕事だからいつものようにおねだりはして来ない。TPOを弁えた女なのになぁ〜。何で家ではあんななんだろう…。と少しばかり残念に思う。まあ昔のことを言う資格はないかも知れんが、引きずってるよなぁ〜っと思う。俺が言ったところで言うことを聞くかというと、まま聞かないだろうし。というか余計に意固地になって来てそのとばっちりが全部俺に来るんだから妙なことは言えんわけだ。美羽や楓佳は大いに残念そうな顔をしてたが、“こちとら仕事も兼ねてるんだ!” とちょうどあった2人のでこに軽くデコピンをかましてやると涙目になってちょっとばかり非難の目を向けてくるのが可愛らしい。まあそんなことをしつつ、チェックをしていく。部屋の全てのチェックを済ませたころにはちょうどいい時間になっていた。さて、次は風呂か…。と思い着替え用に備え付けてある浴衣とパンツを取り出して大浴場のほうに向かう。まあ仕事とはいえ広い風呂で手足を伸ばして入れるのは感慨深いものがあるよなぁ〜…とそんなことを思いつつ大浴場の前まで来る。ふと横を見るとお局様たちも来ていた。“あら? あんたにしては早いわね?” といつものお小言が飛び出すくらい普通な感じだ。“帰りし、ちょっとうちらに付き合うて欲しいとこあんねんけど…、ええ?” といつもの優しい笑顔で言う裕香姉。付き合ってほしいところ? と言うと、うん! と首を大きく縦に振る。“何かな、ごっついええ場所見つけてんよ〜。賢くんにも見せてやりたい〜思うて。なっ、ええやろ? それに昼間うちを泣かせた罰もあるんやから賢くんに拒否権なんてあらへんはずやで?!” と裕香姉にしては強い口調でそんなことを言う。まま、泣かせたのは事実俺の所業なんだしな。それ相応の罰は受けないとだめだろう。そう思い、“ああ、分かったよ…” と単簡に言う。後ろのほうで楓佳と美羽が手を叩きあってるのが見えたが、その時の俺にはさっぱり分からず。その行為が分かったのは、風呂から上がってからのことだ。
 やっぱり大浴場は気持ちがいい。改めてそう思う。さすがは老舗の温泉宿だ。洗い場もしっかりとしている。と体を洗いざぶ〜んと湯船に飛び込んだ。はぁ〜、そういや1人きりで風呂に入るのってここ5〜6年はなかったよな。いつもはマセガキと一緒に入ってるし、お局様たちが越してきてからはお局様たちも入ってきたりしてひっちゃかめっちゃかになるのが常だったっけ。おかげで俺ん家はいつも風呂場が戦場な感じだから、こうやって1人入る風呂と言うものはものすご〜く有り難い。じっくり入って思いっきり堪能してやろう。そう思い30分くらい出たり入ったりを繰り返して、ようやく堪能できたと思い風呂から上がる。壁に据え置かれた年季の入った壁掛け時計を見ると1時間は悠に越えていた。30分と思いきや1時間も経ってたとは…、よっぽど家の風呂に鬱々してたんだろうなぁ〜。そう考えながら備え付けの浴衣に着替える。一応は部屋にあった浴衣を持っては来ていたんだがこの旅館は常時風呂場に備え付けているらしい。何でも外国人客(特に隣りの国のヤツら)が部屋の浴衣をそのまま持って帰るケースが後を絶たないらしく、その対応策として風呂場にも置いておくんだという話だった。むろんタダではなくて精算時にいくらか払う仕組みらしかった。昨今はこういうマナーの悪い外国人観光客が増えたもんだ。特に隣りの2か国の観光客は酷いと言う専らな噂だ。まあ俺の会社は国内旅行客だけに絞ってやっているのでそんなことはないんだが…。
 ふんふんふふ〜ん♪ と鼻歌もよろしく男湯から出てくる俺。そんな上機嫌な俺を一気に恐怖のどん底に叩き落とすことがあるとは露知らず。とりあえず部屋に帰ろうと廊下を歩いていると横の袖をか〜るく引っ張られる。な、何だぁ〜? と思って振り返ると、いつものにこにこ顔の裕香姉が浴衣姿に身を包み待っていた。まあ浴衣姿になっても出るところは出て引っ込むところは引っ込んでるといういつものいで立ちなんだが…。と後ろを見るといつもの面々がそれぞれの違った顔で俺の顔を見遣っている。“なぁ〜あ? 賢くん。お姉ちゃんとの約束、忘れたりしてへんよね〜?” と言うので、“あ? ああ…。忘れてへんで” と言う俺。実のところすっかり忘れていた。何だったっけ? と思い出そうと躍起になるが、生憎風呂に入って身も心も洗い流された結果約束をしていたことさえ忘れていたわけで。そんな俺を見ていた裕香姉ははぁ〜っとため息を吐いて、“その顔は忘れとる顔やなぁ? 昔っから賢くんは忘れると考え込む癖があるんやから〜…。昼間うちを泣かせたやろ? その罰に何でも言うこと聞いてくれる言うたやんか…” とちょっとぷぅ〜っと頬を膨らませて言う裕香姉に、そうだった! と思い出す俺。“ごめん、忘れとった。で? 何?” とぽりぽり頬を掻きながらそう言う。とつつつ〜っと近づいてきたかと思うと、俺の腕に自分の体を絡ませて、“ちょっとええトコ見つけてん。賢くんも一緒に行こうや〜? なぁ〜?” とどうどうと俺の手を引きながら歩き出す裕香姉。つられるように俺も歩を踏み出す。しばらく歩く。秋になったら紅葉とかがきれいなんだろうなぁ〜なんて思いながら、手を引かれるがまま歩く俺。やがて前方にそれらしい一角が見えてくる。と同時に手を放して去ろうとするのだが、火事場の馬鹿力か何かは知らんがぎゅっと掴まれていて放すことが出来ない。それに後方にはお局様たちが徒党を組んで待ち構えている。普段なら楓佳と美羽あたりが抱きついてくるんだがそれもないんで何で? とは思っていたんだが要は俺を逃がさないためにこう言う陣形で動いていたのかぁ〜!! と後ろを見ると、三白眼の怖い目つきで睨みつけている楓佳と美羽に、何か企みが成功したかのように、ほくそ笑んでいるお局様姉妹。それに純粋に楽しんでいるアンナと言う一種異様な光景だ。そういや、“ここって混浴の露天風呂があるらしいのよね? まあいやらしいあんたのことだから誰か誘って入ろうとするんだろうけど…。ちなみにあたしはいいわよ? いつもあんたの狭い風呂に入って見せてるんだし、何も隠す必要なんてないんだから…” ってお局様に言われたんだっけか。はははは、と引きつった笑みを浮かべて半ば諦めモードになりつつも何のかんのと言い訳を言いつつ、逃れられないか試してみるのだが…。
「賢くん! 約束破りは重罪やで?! うちが一番嫌いなことやからな? 約束破った罰は…、そうやなぁ〜。1ヶ月間お姉ちゃんの面倒見てもらうかな? もちろんトイレもお風呂も着替えも移動も全部! そうなりたなかったら言うこと聞いてくれればええねん。恵さんも言うとるけど、何も隠す必要なんてあらへんねんから…」
 とぷく〜っとマセガキや楓佳が怒ったときみたいな感じでこれでもかっと言うくらいに頬を極限まで膨らませて上目遣いに恨めしそうに見遣る裕香姉。顔が可愛いだけにこんな顔になってもまた可愛いのは卑怯だと思うんだが…。“あ、あかん。目がマジや…” と裕香姉の目を見ながら普段使ってない関西弁まで出てきて独り言を呟いてしまう俺。“そやかし早う行くで〜” と言う裕香姉を筆頭にずりずり引っ張られたり後ろからは押されたりして混浴の露天風呂の前までやって来てしまう。まあそ〜っと覗くが当然のことながら入っている人はいない。そりゃそうだ。こんなところに入るなんざAVの撮影か何かくらいしかないんだしな。それか単に物好きか…って今の俺たちがその類か? というかアンナはどうだろう。お国柄か宗教観か一番気を付けなければならない相手なんだし…。とアンナのほうを見れば、“‘郷に入っては郷に従え’ って言うけんね。ここは日本なんやけん日本のしきたりば従うことが大切なんやし…” と言ってポッと頬を赤くしている。いやいや、しきたりも何もこんなものは断ってしまえばいいんだ。第一ヨーロッパのほうでは公衆浴場でさえ下着着用のところもあるんだろ? そう言うのはタブーなんじゃないのか? と訊くと、
「いっちょんタブーやなかばい。って言うか水ばロシアと同じで豊富にあるしね。やけんお風呂も日本と同じで湯船ば浸かるし…。そうやけん一緒に入ったっちゃ何にも問題なかっちゃん。うちん裸もいっつも見よーったいし…」
 と、そう言って頬をポッと赤らめながらも満更でもない顔をするアンナ。ああ、アンナまでもが、アンナまでもがお局様や裕香姉のようなことを言ってくる…。神も仏もいないのか〜っ!! と思いつつ、がっくり項垂れながら死刑宣告を受けた死刑囚のようにずるずる混浴露天風呂の暖簾を通る俺がいたわけで…。あとは家の風呂と何ら変わりなくあっちやこっちからぽにゅぽにゅした柔らかい感触が体中に当たったり背中やお腹にヘラクレス級からマーキュリー級までのモノをとっかえひっかえ宛がわれ、風呂の熱さも相まって完全に逆上せて記憶がなくなってしまい、気が付いたら部屋の布団の上に寝かされていた。“あっ、気が付いた。お兄ちゃん大丈夫?” とでかいマセガキが水を持ってきてくれる。とりあえず飲む。ふぅ〜っと落ち着いて、ふっとマセガキのほうを見るとやっぱりと言うかなんと言うか生まれたままの姿で嬉しそうにしながらこっちを見ていた。何をにこにこしてるんだ? と訊いてみると記憶をなくしてからの俺の痴態が分かるわけで…。要は赤ちゃん返りをしていたみたいで、みんなにおっぺぇを強請っていたそうだ。“お兄ちゃんってば普段触ろうともしないくせにいきなり吸ったり触ったりしてくるんだもん。びっくりしちゃった〜。でも嬉しかったなぁ〜。しかもあたしだけじゃなくってみんなに同じようなことをしてたんだよ? まあ従姉妹の裕香さんや楓佳さんはいいとして…。天ノ原さん姉妹や果てはアンナさんにまで強請りするってどういうこと?! その辺はちゃんときっかりしっかり説明してっ!! みんなの中で一番小さいサイズなのをいいことにあんな嬉しそうに大きなおっぱい触ったり吸ったりしてさ! ふんっ!!” と俺の創造の遥か上をいくような話をするマセガキ(大)。聴いてるこっちが恥ずかしいがまあ事実なんだろう。って言うかヘラクレス級は十分すぎるほどでかいと思うのは俺だけではないはずだ。と、膨れっ面に上目遣いの怖い目? をして睨んでくる(と言うかいつも思うが俺からすると遊んでくれないって言って駄々をこねてるいつもの顔にしか見えんわけだが…)。しばらくそうしていたが、ふっと気付く。ここって俺の部屋じゃないよな? じゃあどこだ? ときょろきょろ見遣ってると、艶めかしい寝姿があちこちに見受けられたわけで。まあ2部屋しか取っていないのですぐに分かって慌てて出ていこうとすると、ガシッと俺の手を掴むマセガキ(大)。“どこに行くの? お兄ちゃん” と訊いてくるので自分の部屋に戻るんだ! と言うと、ふふふふと怪しい笑みを浮かべてこう言う。“お兄ちゃんの部屋なら昨日天ノ原さんが解約してたよ? だからお兄ちゃんの部屋は、こ・こ・な・の!” なななななな、何ぃ〜っ!! と思わず大声で絶叫してしまう。その声に気が付いたのか裕香姉やらお局様やらが起き出してしまうわけで…。
「お姉ちゃん、ほんまに嬉しかったわ〜。賢くん、昔はようこんなことしてたな〜思うて…」
 と本当に嬉しそうに話す裕香姉に、“あたしたちにまでおっぱいせがんでくるってよっぽどの変態か何かよね? まあ今回は裕香さんの手前、吸わせてあげたけど…” と、ポッと顔を赤らめながらも目はジト目で見遣ってくるお局様の対比がある意味滑稽でありある意味非常に恐ろしい。薫ちゃんは、“兄っちゃの赤ぢゃん返りがめごぐって…。ボクもお嫁さんになって赤ぢゃん産んだらごうなるべなって思ってしまっだよ…” と秋田弁丸出しでこう言うとうっとりしてるし…。楓佳は楓佳で、“あんちゃん、うちんおっぱい大きかったやろ? これから毎日吸わしちゃるけんね? 裕香姉ちゃんよりうちんほうがおっぱいは大きかっちゃけん!!” そう言って裕香姉に対抗して胸をどどーんと突き出してくる。ロード級はやっぱり日本人からすれば桁違いだ。そう思った。“ケンイチロウ、うちんおっぱいばどげんやった? 大きかとは大きかばってん、あまり自信がなかっちゃんね。ケンイチロウに気に入ってもらえたら嬉しかね? 覚えとらんなら今からでも触って吸うてみんしゃいね…” とゆっさゆっさとたわわに実りすぎたマーキュリー級の果実を俺のほうへと向けてくる。アンナがそうしたのが災いしたのか全員が俺のほうにぺぇを向けてくる始末。三十六計逃げるに如かずと思いはだけた浴衣もそこそこに脱兎の如く逃げ出そうとするのだが…、案の定先回りした楓佳と美羽に捕まって、いつもの如くあっちやこっちに柔らかい感触を押し付けられて生暖かい鼻血と共に意識の闇に落ちていく俺がいるのだった。がくり…。

END

おまけ

 宿を出る。まあいろいろと大変だったがこれでなんとか帰れるぞ〜っ! と思ったのもつかの間、いつものぐるぐる牛乳瓶眼鏡をかけたお局様が、“さあ! 次のところに向かうわよ〜!!” と言ってくる。へっ? とアホな顔になる俺に対してのお局様の言葉は非情なるものだった。“こう言うのは何か所か見てそれを総合して判断するものなの。そんな営業の初歩も初歩なことも忘れちゃったの? おっぱい吸いのエロエロ男くん” そう言って俺のでこを狐の手をして軽く弾く。“えっ? だって昨日は‘ここに決定!’ とか言ってたじゃないスか?” と言うと、
「女って言うのはね、いろいろと見て回りたいもんなのよ。…特に好きな男とはね? そ、それにサンプルは多いほうがいいに決まってるじゃない。さあ! ボケッとした顔してないで動く動く!」
 と言うお局様。途中で何かぼそぼそ言ってたが俺に対する文句か何かだろう。そう思った。と言うかじゃあ最初っからここ(今いる場所)とここいら辺を見てきますって言ってくれ!! そんな急に決めました〜みたく言われてもこっちがかなわん。第一会社はどうするんだ? と言うと、“会社のほうにはあたしから連絡入れといたから大丈夫よ?” とさも平然と言う顔でトレードマークである牛乳瓶眼鏡をくいっと持ち上げながらこう宣うお局様。美羽や楓佳なんぞは諸手を上げて喜んでるし、薫ちゃんとアンナは、“また楽しい旅行が出来るんだ!” と言うような表情になってにこにこ顔になっている。裕香姉は裕香姉で、“まあまあ、ええやん。おっぱいでかい娘らとまた一緒に旅が出来るんやから…。あっ、でも昨日の海水浴みたいなマネはせんといてや? お姉ちゃんほんまに悲しかったんやからね?” と言ってにこっと笑ったかと思えばぷくっと頬を膨らませたりと表情がころころ変わる。はぁ〜、こんな個性の塊みたいな連中とよく付き合ってきたよな? 俺!! と自分で自分を褒めたくなるそんな夏の終わり。まだまだ暑いが空の色は澄んで青く高くなってきているので確実に季節は前へと前進しているんだろう。それは戦乱と恐怖の中のウクライナでも言えるんだろうな? と楽しそうに楓佳と喋っているアンナを見ながらそう思う俺がいるのだった。あっ、赤トンボが群れを成して飛んでる…。

TRUE END