美人外国人さんと第2の故郷
「福岡…。よかところやったねぇ〜。ああ、懐かしかねぇ〜。また行きたかねぇ〜…」
3月も末、ウクライナからの避難民で俺の従妹・楓佳の同居人であるアンナが少しアンニュイな表情になりながらふぅ〜っとため息をついてそう言う。昨年の暮れから今年の初めに従妹・楓佳の実家であり俺のお袋の実家でもある九州は博多(と言うか太宰府なんだが…)のほうに行ってきたんだが、アンナにとっては第2の故郷とでも言うのだろうか、すっかり馴染んでしまった。まあ当然のことながら行き帰りと新幹線を利用するのだが、行きはまだ見ぬ土地に目を輝かせているアンナを見ていて、“ああ、こいつもマセガキと同じか…” と俺の膝の上でアンナと同じようにキラキラ目を輝かせて外の流れる景色を眺めている美羽と同じような感覚になってしまった。楓佳はホームグラウンドに帰るわけだから、何か良からぬことを考えてるのか(と言うか絶対考えてるんだろう)にちゃあっとした笑みを俺のほうに向けてくる。お局様姉妹はこれが初の九州旅行だそうで、少々緊張した面持ちだった。裕香姉はまあどこに行っても変わらないいつもの優しい微笑みを浮かべている。
まあ新幹線でもでかい胸は目立つのか、男どもの殺意と羨望に満ちた目と若い女どもの嫌悪の目とおばちゃんたちの好奇の目に晒されるわけで…。特におばちゃんたちはそばを通るたびに、“まあ! あんたら、おっぱいでっかいねぇ〜” とぐるぐる牛乳瓶眼鏡のお局様を筆頭に俺の周りに侍っている女たちに向かって言ってくるので愛想笑いも一入と言った感じだった。さすがは西日本に向かう新幹線の車内だ。普段は東京で抑圧された感じから解放されたようになっていろいろと西の方言も聞かれるようになる。まあ俺自身出身が京都(とは言え山向こうは兵庫や大阪なんだが)なもんだからあまり気にしてはないのだが美羽やお局様姉妹にとっては少々刺激が強すぎたのかどうかは知らんが、固まってしまっている。新大阪を過ぎた辺りからそれが顕著にみられるようになった。裕香姉が察したのか、“恵さんも薫ちゃんも美羽ちゃんもそんな固まらんでもええやん? 方言はあって当然なんやし…” と言って緊張をほぐしている。“ええ、そうね? でも集団で話す関西弁なんて高校の修学旅行以来だったものだから…” とお局様。顔を見ると少々怯えて見える。こんなお局様を見るのは初めてだったので、俺の中で、やったぜ! という思いが出てしまってまじまじと顔を見てしまい、“何よ? あたしにだって怖いものの1つや2つくらいあるんだかんね?”、と不機嫌そうに言われておまけに向かい側の席に座っているマセガキから、キックの嵐を受けてしまった。おかげで博多に着くころにはちょっとした痣が出来てしまったわけだが…。“ボケとツッコミがあるところはやっぱり関西なんですね? 先輩はやっぱりツッコミのほうですか?” と関西人の特徴を一瞬で見抜く薫ちゃんの洞察力はさすがはお局様の妹だな? と思う。
美羽は、“お兄ちゃんが休みの日に見てるVTuberのゲームの人がいっぱいでちょっと怖いよぉ〜” と最近動画サイトのVTuberのやってる任侠物のゲーム“虎の如き” を見ているわけだが、怖いのか俺の後ろで他のゲームをしながらこそ〜っと覗き込んでまた隠れるということが多い。まああれは一般市民は使わんから安心しろと言うんだが、関西人=任侠(俺や裕香姉関係は別)と言うステレオタイプが出来上がってしまい、迂闊に見せるんじゃなかった…と今更ながら後悔する。それは東京に帰ってからも同じで…、とにかくあんなものを見せるんじゃなかったと後悔の日々を送っているわけだ。アンナはアンナで碧い目をぱちくりしながらきょろきょろと好奇心の魔物みたいに辺りを見遣っている。さすがに外国人がいるのが珍しかったのかおばちゃんたちもアンナには喋らなかったが、アンナが、“なあ、ケンイチロウ。あと何時間くらいで着くとかなぁ〜?” と流暢な日本語をしゃべった途端に、“まあ! あんた日本語上手いねぇ〜。どこから来たん?” という具合に喋りだして、そこからウクライナ情勢やら普段の暮らしぶりやらを根掘り葉掘り聞かれまくって大変だった。美羽より年下の保育園か幼稚園くらいの子供連れの姉ちゃん?(おばちゃん?)とかもいて、悪ガキどもは裕香姉やアンナの胸を触るものだから注意するのに骨が折れる。そこへ来るとさすがは裕香姉だ。優しく微笑みながら注意したりしていて悪ガキどもを懐かせることに成功する。“だてに保育園の先生やってへんからねぇ〜” と得意満面の笑顔で言う裕香姉が正直すごいなぁ〜っと思った。
そんなこんなで博多駅に到着する。さすがは九州の玄関口だ。人の波が半端ない。迷わないようにマセガキとアンナの手をぎゅっと握り、改札口に向かう。珍しいものを見たようにきょろきょろ辺りを見回しているマセガキとアンナの顔が同じで心の中でぷっと笑みが零れてしまう。と、“あっ! お兄ちゃんったら、今あたしとアンナお姉ちゃんのほう見て笑ったでしょ〜?” と美羽がちょっと不服そうな顔をしてこっちをジト目で見遣っている。アンナはアンナで、“何かウチおかしなことしたとかな?” と不思議そうな顔をしてこっちを見てくる。心の中で笑っていたのが顔に出ていたんだなぁ〜っと思って正直に言うと、“仕方ないじゃないのさ〜! 初めて来たところなんだから〜っ!!” と言ってむぅ〜っとむくれた顔になる美羽。その顔にでかくなった美羽の顔を思い描いて少々怖くなる俺。もしかせんでもこいつの場合は俺にとってのトラブルメーカー以外の何物でもないわけで。まあこれを言うとここにいる女全員がトラブルメーカーになるわけだが…。しかし、でかくなったマセガキならまだしもこんなチビに何か出来るかと言うとせいぜいワガママを言って道路とかで寝転がってじたばたするくらいだろうしな? そう思ってまた歩き出そうとすると、なぜかは知らんがマセガキがワンピースに手をかけてるではないか?! 慌てて手を引いて歩く俺。あんなところで生まれたままの姿になろうとしてたって言うことなのか? と手を引いている美羽のほうを見て言うと、“お兄ちゃんがあたしのことをちゃんとレディーとして見てくれないから…。だから裸にでもなればあたしのこと意識するでしょ?” と涙目の上目遣いと言う女の子の必殺技を出しつつこう言う。どこまでもマセてるのなお前…。と思ってるとポカっと頭を小突いてくる手が1つ見える。その手の先にいたのは案の定俺の天敵のお局様だった。
「まったく…、女心を全然理解しようとしないんだから…」
そう言ってまた俺の頭を小突く。女心と言うかまだ子供だぞ? まあでかくはなるが…。と思ってると、“ちゃんとしたレディーだもん!!” と泣きべそをかきながら上目遣いに俺の間抜け顔をギロリと見遣るマセガキ。その顔にでかくなったマセガキのぷく〜っと頬を膨らませてジト目で見遣る姿を想像して、何をされるか分からんが、多分俺を恐怖のどん底に叩き込むようなことを言ってくるんだろうなぁ〜っと思ったので素直に謝ることにする。と言うかまた知らんうちに喋ってたのか…、俺は。いい加減この癖は直さなきゃなぁ〜。と思いながら、今度は美羽に手を引かれて歩かされる俺がいた。
お袋の実家は福岡市から南東に少し行った、学問の神様・管公さんで有名な菅原道真公の墓所がある太宰府市だ。とは言え遊びに来た時にはよく博多のほうまで繰り出していたので、博多がホームグラウンドになるのか? その辺はよく知らんが。まま俺の高校受験やら大学受験なんかで叔母さんからよく御守りなんかをもらってたっけか。叔父さんは長崎から来たいわゆる入り婿でお袋の代で消えてしまう春日部家を絶やさないように遠縁の叔父さんを爺さんが婿として家に入れたらしい。まあ俺はその辺の事情は詳しくは知らんのでお袋に一回聞いてみたのだが、“あんたは知らんでええの!” と話をはぐらかされた。まあ俺には直接関係のない話なのでどうのこうのは言わんが…。と言うか春日部家自体が女系家族(ひいひい婆さんのときからそうだったらしい)なので楓佳が次期当主になるらしい。あんな俺の前では超絶ワガママで思い通りにならないと拗ねまくる従妹がか? と、その話を聞いた時には思わずもぐもぐ食ってた飯を噴き出してしまって、“賢ちゃん、汚い” とお袋に叱られてしまった。でもまあこの超絶ワガママ娘がなぁ〜…と楓佳のほうを見ていると、気が付いたのか、“何? ウチん顔、じっと見て…。何かついとーと?” と言って自分の顔をペタペタ触っている。その仕草があまりに滑稽で思わずぷっと吹き出してしまう俺。そんな俺の態度に腹が立ったのか、むぅ〜っとむくれた顔になる楓佳。
「こっちば見たかて思うたら、ぷっ! て噴き出したりして…。何か要らんことでも考えとったっちゃろ〜っ?! どうしぇ“ワガママ娘が…”とか考えとったんや! 顔に出とーばい! もう! あんちゃんな〜っ!!」
そう言って更に不機嫌そうな顔になる楓佳。そんな楓佳を見て思うところでもあったのか、マセガキも楓佳と同じような顔をして楓佳の手を取ってじろ〜っと俺の顔を上目遣いに睨む。“あたしのこともワガママ娘だって思ってるんでしょ〜っ!! お兄ちゃんの顔にあたしのことも出てるの知ってるんだからねっ?!” と俺が普段考えてることを言い当てるマセガキ。どこでそんな洞察力を身に着けた? と思うんだが、ここで下手に文句を言うと倍になって返ってきそうで怖い。それにここには俺の天敵やらどう足掻いても敵わない従姉までいるんだ。アンナはそんな俺たちを笑顔で見つめてるし、薫ちゃんは薫ちゃんで全てお見通しのようににんまり笑っている。その顔が異様に怖かったのは言うまでもない。楓佳の家、つまり俺のお袋の実家は西鉄の太宰府駅から、北東に数キロ上がったところの竈門神社の近くにある。まあこの付近の様相は高校3年のときに行ったきりなもんでてんで分からん。なので楓佳に道案内をお願いすることにした。得意満面な顔で、“もう、しょうがなかねぇ〜。あんちゃんは…” というような顔になって意気揚々バスに乗り込む。その後をぞろぞろと俺たちが続く。ここでも金髪碧眼の美人が乗ってきたのが相当に珍しかったのかアンナは注目の的だ。まあアンナのほうはあまり気にしてる素振りなどは見せず、と言うか地元のおばちゃんなんかに、“ここら辺のうまかお店て知っとーと?” と普段と変わらず聞いている。“まあ! 外国人しゃんなんに博多弁うまかねぇ〜” と少々驚いた顔になってそこから話が弾むおばちゃんたち。俺のお袋もそうだが、九州人の気質なのかどうかは知らんが、いったん話し出すと際限なく喋り続けるよな。その辺は京都人の俺からすると驚くところなんだが…。まあここでも俺の里と同じような話をしたわけだが、聞いてたおばちゃんたちが泣き出して、“まあ! 大変やったんやなぁ〜” だの、“こげん物しかなかばってんこれでも食べて元気出して?” と、お菓子なんかをくれた。“もう大丈夫やけん心配しぇんでな?” とありがたそうにお菓子をもらうアンナ。日本はまだまだ捨てたもんじゃないなと思った。
とそうこうしてるうちに終点の竈門神社に着く。ここから歩いて少し行ったところが楓佳とお袋の実家だ。まあ叔母さんはお袋と同じような顔で性格もそっくりなもんなんで俺はこの叔母さんにも頭は上がらない。言うなればお袋がもう1人いるような感覚になるわけだが…。と歩いて5分くらいでとうとう家に到着する。がららら…と引き戸を開けて楓佳が、“ただいま〜、母ちゃん。帰ったっちゃんな〜” と言うが早いか、ばびゅ〜んと風のような速さでお袋にそっくりで、しかもアンナ級かお袋級はあろうかと思われるモノをゆさゆさ揺らしながら(言わんかったがお袋も相当にデカい。親父もその胸につられたんだろうな…、と勝手に邪推するんだが)、“はいはい、今出るよ〜…。ってまあ! 楓佳やなかと?! それに賢ちゃんや裕香ちゃんまで?! こっちに帰ってくるってゆわんやったけんびっくりしたわ〜。なんかなしそげんところに突っ立っとらんで上がって上がって! …でそっちん4人しゃんな楓佳んお友達か何か?” と言うと、どうどう俺たちを家に上げてくる叔母さん。サプライズだったんだろうか、楓佳の顔を見るとイタズラが成功したかのように俺にピースサインを出して子供のころのような顔になっていた。叔父さんも出て来て、“おー、賢坊、久しぶりやなかか。楓佳が東京に行くって言うて出て行ったけどお邪魔しとーやなか? 楓佳は昔っから賢坊にいろいろ悪しゃしとったしなぁ〜…。それに裕香ちゃんとも仲良うしとーかい? って! そっちん4人しゃんも立っとらんで座って座って!” とそう言って俺たちを座らせる。まあこの家も昔からこうだったなぁ〜っと考えつつ荷物を下ろして座る俺たち。アンナはきょろきょろと辺りを見回しているし、それにつられて美羽も同じように見回している。その姿があまりにそっくりで思わずぷっと噴き出してしまう。アンナの恥ずかしそうな顔と美羽のぷぅ〜っと頬を膨らませた顔が対比としては面白い。…のだが後で泣かれたり無理難題振ってこられるのは目に見えて分かってるので素直に謝ることにした。と叔母さんがまるで千里眼の術でも使ってるかのように、“まあ! 賢ちゃん、いつもそうしとーんやろ。楓佳がワガママで困っとーんやなか? よかとばい。こげんワガママ娘ばたまにはガツンて言うたっちゃ” そう言って楓佳の顔を横目にじろりと見遣る。楓佳はたじたじになって俺の背中にそそくさと隠れて、“あんちゃんが悪かっちゃん? ウチやアンナや美羽ちゃんや薫しゃんのことばほったらかしにして、裕香姉ちゃんや天ノ原しゃんにばっかり見よーっちゃけんねっ!” と普段根に持っていることをこれでもかというくらいに言う。まあ何でもいいが俺を盾にするな…と楓佳に言いたい。まあこいつは昔からこうだったな、と小学校時代の頃を思い出す俺。と、この後の展開も容易に考えられるって言うもんだ。と考えてる間もなく叔母さんが動いた。
素早く楓佳の手を取ると、“しゃあ、こっちば来んしゃい!!” そう言って奥座敷へ連れて行こうとする。この間僅か5秒くらい。叔母さんと言いお袋と言い似たり寄ったりなもんだな? と思う。現に俺もお袋に捕まるときは5秒くらいで捕まってしまうわけだから。で正座をさせられて懇々とお説教を聞かされる。まあ今は社会人だからそう言うことはなくなったが、楓佳はまだまだ大学生だしな? それに、無理に東京の大学に来たわけだから余計にしっかりしなくちゃいけないのに、実際は俺と裕香姉たちに迷惑(と言っていいのか悪いのか…)をかけさせているので叱られるのも当然なのかもしれんが…。帰って来て早々に叱られるのを見るのは精神衛生上ちょっとと言うかかなり堪えるので助け舟でも出してやろうかと思っていた矢先、金髪碧眼のウクライナ人が叔母さんのほうに駆け寄ってこう言う。
「おばちゃん、ちょっと待って。フウカはそげん悪うなかよ? そりゃ少しばかりケンイチロウに過剰になることもあるばってんしゃ。ばってんフウカは身寄りも面識もなかウチんことば友達として受け入れてくれたっちゃん? やけんあまり怒らんとってほしかね…」
純粋な碧い目が叔母さんの顔を見ている。まあいきなり金髪碧眼の外国人が流暢な博多弁でこんなことを言うんだ。叔母さんも目を真ん丸にして、“まあ、あんた! 外国人しゃんなんに博多弁ば喋るーとや? すごかねぇ〜。国ばどこ? 家族ん方は?” とそう聞いてくる。今までのいきさつと言うか事情を話すと、お袋同様にアンナをギュッと抱きしめて、“まあ!! そげん危なかところからはるばる日本に来たと?…。よう無事で日本まで来てくれたねぇ〜。よかったよかった。あっ、ここがあんたん家やて思うてくれたっちゃよかとばい。娘がもう1人増えたごたっておばちゃん嬉しかね…。まあ1人はいっちょん言うことば聞かん娘ばってん…” とお袋と同じようなことを言ってぎゅ〜っと抱きしめる。それがよほど嬉しかったんだろう。アンナの顔はウクライナの向日葵みたいににっこり微笑んで叔母ちゃんを抱きしめ返している。しばらく(と言っても30秒くらい)そうしていた叔母ちゃんだったが、ふと我に返り、今度は秋田姉妹のほうを見て、“で? こちらん方々は?” と訊いてくる。“あっ、私たちは真柴くんの会社のほうで…” とお局様が説明をする。“そうね。まあ賢ちゃんがいろいろお世話になっとーと。…それにしたっちゃおっぱい大きゅうて美人しゃんな娘ばっかりで賢ちゃんも隅に置けんねぇ〜?” と今度は俺の隣りに来て肘でぐりぐりわき腹を押してくる叔母さんに、“やっぱり姉妹だなぁ〜” と感じてしまう俺。そんな俺を面白くない顔で見つめてくるマセガキに、“こんあいらしか子は? …ひょっとして賢ちゃんと恵しゃんの隠し子か何か?” ととんでもないことを言う叔母さん。“違うよ!!(違います!!)” という声がユニゾンして聞こえてくるのは滑稽だ。“お兄ちゃんはあたしと将来を誓った婚約者なの! もう、おばちゃんは〜っ” とぎゅ〜っと俺に抱き着いてこう言うマセガキ。“こ、こいつとはただの会社の腐れ縁ですっ!! どこをどう見たらそう見えるんです? 真柴くんのお母さま然り叔母さま然り…” と俺の頭をぺしっと軽く叩いてふんっとそっぽを向くお局様。その光景を嬉しそうに見遣る薫ちゃんと裕香姉とアンナの顔がなんとも不気味だったわけだが…。叔母さんはと見ると、マセガキのほうを微笑ましそうに見つめているので多分冗談として取ってくれたんだろうなぁ〜っと心の中でほっと安堵のため息が出る俺がいた。
一応昨年の轍は踏むまいと思って今年最後の日の前日に来たので、来た日はゆっくりさせてもらったんだが次の日(大晦日)は大忙しの1日だったわけで…。男性陣はと言うと俺と叔父さん2人だけなので力仕事はほとんどやらされた。普段は絶対に掃除出来ない箪笥の裏側とかも叔母さん主導のもと女性陣が掃除する。おかげで夕方頃には叔父さんと2人して部屋の真ん中に突っ伏してぜえぜえ荒い息が出るほどだったことは言うまでもない。うちの母ちゃんと言い叔母さんと言い九州の女はなんでこうも強いのかと思わされる。それに感化されて京都の女衆も強くなったし、当然秋田の女も相当に強いわけだ…。いや俺の周りの女たちが特別なのか? 京都は京都で逆らうと全面介護という恐ろしい罰が待っているから逆らえんし…。秋田は逆らうと姉のほうは秋田弁で文句を延々と言われて、妹のほうは捨てられた子犬のように涙目の上目遣いで見遣ってくるわけだ。姉のほうは何とか耐えられるが、妹のほうは耐えられない。と言うか俺の中で一番精神的にダメージが来るわけで…。唯一逆らっても何も起こらんのはチビ娘くらいなものか…。まあこのチビにも秘密があるのだが、今回は秘密の部分は出てこんだろうな、と思う。知らない場所とかに来るとどうしてもチビのほうのチカラが強くなる傾向があってでかいほうはなかなか出てこれない。まあお局様とか裕香姉とかがチャチャを入れてこなければ…だが。その辺のTPOは弁えている姉2人組だから今回はでかいほうは美羽の中で黙っているしかないだろう。まあ少し可哀想ではあるんだが…。
とふと台所のほうを見ると美羽がピーラーでニンジンの皮を剥いている姿が見える。裕香姉が、“そろそろ美羽ちゃんも台所に立ってもええ頃かなぁ〜” って言っていたし、叔母さんも突然増えた客の分の食事を用意しないといけないわけだ。まあ花嫁修業は早いうちからやったほうが身に付くしな。そう思っていろいろやっている女性陣を薄目で見ている俺。裕香姉も楓佳とアンナと一緒になって雑煮の下準備に勤しんでるし、秋田美人姉妹は詰め物と格闘中だ。しばらく見ていたんだがまた瞼が重くなってくる。まあ最前の疲れからか2度目の夢の国へと旅立つのにはそう時間はかからなかった。
ゆさゆさ体を揺すられる。それが何とも心地いい。…と思ってるといきなり体に鈍い衝撃が走る。いってぇ〜! と思ってぬっと起き上がると、マセガキがいつもの怒った顔で俺の間抜け顔を上目遣いに見つめていた。“お兄ちゃんったら全然起きないんだから〜っ! もうみんな待ってるよ! 早くいこっ” そう言ってどうどう食卓に連れて行く。食卓には叔父さんも起きていて、“おお、賢坊。よう寝とったけん起こしゃんやったんやが、悪かったか?” そう言ってぽりぽり頭を掻いていた。まあ普段の運動不足も相まってかちょっと体を動かすと肩や腰に来るか猛烈な眠気に襲われる体質な俺なので文句は言えない。むしろよく寝かせてもらえたと感謝したい。食卓には美味そうな年越しそばがほこほこ湯気を立てながら置いてあった。叔母さんが人数分を数えて足りていないかチェックする。数えて足りていることにほっとして自分の場所に座ると、夕食の開始だ。まあ年越しそばは夜の遅い時間に食べるものなんだが春日部家では夕食に食うと言うことを思い出した。もちろん夜食にも食うが夕食に蕎麦と言うのがメインらしい。
まあこれは俺の家でも体験済みなので、どうと言うことはないんだが(そもそも裕香姉が引っ越してきた時の年の暮れに出してくれていたので…)九州でも同じなのは(忘れていたが…)なぜか新鮮だった。そこからのんびりと菓子やなんかを食べて紅白なんかを見つつ過ごす。今年は去年の轍は踏むまいと夜10時くらいに出かける準備をしだす俺。当然マセガキの服も裕香姉にお願いして出してもらった。って言うか着物か? と問うと、“神様の前に行くんやし、ちょっとはええ服着なあかんやろ?” と言って着付けをしだす。当のマセガキはもうにっこにこ顔で裕香姉に着付けてもらっていた。美羽の着付けが終わると次は楓佳、アンナ、薫ちゃんと言う風に着付けていく。と言うか着物も持ってきたのか? と着付けてる裕香姉に訊いてみると、“ううん、これレンタリースやねん。そやからあまり汚さんようせえへんとね?” と屈託のない笑みを浮かべる。そういやここにくる2、3日前に大事そうに持っていたもんがあったがこれだったのか。そう思う。まあ裕香姉にそんな特技があったなんて気づきもしなかったが、本人はちょっとバイトでやっていて楽しくなって資格も取ったと後で話してくれた。お局様は裕香姉の見様見真似で自分で着物を着付ける(出来ないところは叔母さんにも手伝ってもらっていたが)。もちろん裕香姉も自分で着付けていた。それを約2時間くらいで完了させるんだからすごいもんだと素直に感心した。と言うか美羽以外ずんぐりむっくりな感じだが、これはまあしょうがないことなんだろう。和服はでかいのは似合わんしな? どこがとは言わんが…。
からころと履物の音も軽く、竈門神社の大鳥居をくぐる。そこから長い階段があるんだがコ〇ナ禍の最中だと考えられないような人の波が押し寄せている。まあそれはどこも変わらんだろうが…。とりあえず離れたらいけないと思いアンナと美羽の手をしっかり掴むと人の波に乗って階段を上る。お局様たちはちょうど真後ろで俺と同じように楓佳と薫ちゃんの手を握っているんだろう。一番後ろを裕香姉が歩くという感じだ。しばらく階段を上っていくと急に人が捌けてきた。と社殿がある。わりかし小さい社殿だが、歴史は相当に古く奈良時代の天智天皇の代に大宰府が現在地に遷された際、鬼門(東北)に位置する宝満山に大宰府鎮護のため八百万の神々を祀ったのがこの神社の始まりということらしい。それと縁結びの神様と言うこともあってか若いやつらをよく見かけた。まあ俺もその中の1人なのだが、その辺は軽く流そう。パンパンと柏手を打ち、今年の健康と安全を祈る。それとウクライナの平和と世界各地の紛争の早い終結を…。アンナの真剣な顔を横目に見つつ俺たちも真剣に祈った。まあ太宰府天満宮には昼か明日にでも行くことにして今日は帰ることにした。もうマセガキはうつらうつらと俺の背中で寝息を立ててるしな? 途中で美味そうな出店も並んでいたんだが、どうせならマセガキが起きているときがいいよな? と言うことで背中にちょうどいい重さのマセガキを背負い帰路に着こうと元来た階段を降りようとしていると、“ふぁ〜あ、むにゅむにゅ…。くんくん…、あっ、何かいい匂いがするぅ〜” と後ろで声がする。起きたか…と思って後ろを振り返ると目を擦り擦りやや寝ぼけ眼できょろきょろと辺りを見回すマセガキがいた。屈んで下ろしてやると俺とアンナの手を取って屋台のほうに歩きだす。それを見ていたお局様姉妹と従姉妹たちもやれやれと言う表情でついてきた。まあ博多の屋台街を知っている身としては質素そのものだが、マセガキやアンナは嬉しそうにしているのでそれはそれでよかったと思った。ただ俺の財布が少々軽くなってしまったが…。
そこから帰ってきて泥のように眠る俺たち。多分帰ってきたのが夜中の2時半くらいだったから4時間も経っていないのだが叔母さんに叩き起こされる。“しゃあ賢ちゃん、元旦ん朝やけん、初日ん出ば拝もうや。裕香ちゃんたちばもう起きて外に出とーよ?” と言ってくる。まあ起こし方はお袋と同じなわけなので、姉妹の血は争えんなと思った。外へ出ると、もう元気いっぱいのアンナが、くりくり可愛い碧い目を俺の前に持って来て、“明けましておめでとう。ケンイチロウ” と言ってくる。まあ金髪碧眼の胸がものすごくでかい美人が俺の前で、新年のあいさつをしているんだ。びっくりするなと言うのがおかしい。慌てて、“あ? ああ…、お、おめでとう” としどろもどろになりながら挨拶をしていると、むにゅっと両脇から柔らかい感触、と同時にゲシゲシ足を蹴られるいつもの光景があるわけで…。正月早々にも関わらずでかいため息を1つ。そうこうしてるうちに山の稜線から日が差し込む。今年も何事もなく平穏無事に過ごせますように…。あとウクライナに一刻も早い平和を…。と願掛けをして家に入る俺。最後まで残って祈っていたアンナが戻り、おせち料理を頂く。と叔母さんがアンナの箸の使い方を見て、“アンナちゃん、外国人なんに箸ん使い方上手かねぇ〜。昨日も見よったけど…。うちん子にも教えてほしかばい。楓佳! あんたはもう少しアンナちゃんば見習いんしゃい!! まったく…、母ちゃんな情けなかばい…” そう言って楓佳の顔をギロリと睨む。“そ、そげんことなかばい? ウチなんてまだまだやし、それにフウカはうちんしぇんしぇーみたかねやもんやし…” と楓佳にフォローを入れるアンナ。楓佳は楓佳で、“お箸ん持ち方だけでそげんゆわんでもよかやなかとしゃ〜。ウチだっていろいろ教えちゃってるっちゃけんねっ!!” と叔母さんに食ってかかる楓佳。まあどっちが大人な対応を取っているかは非を見るより明らかなわけだが…。
そんなこんなで昼を過ぎて3時を回ったときだった。何やらぐらぐらと揺れたかと思ったら今までやっていた正月番組が急に報道番組に切り替わり、能登半島で大きな地震が発生したということらしかった。確か社長が年末の休み前に能登の友人のところへ行くとか何とか言ってたな? と言うことを思い出し、叔母さんに言うと、“そりゃ大変やわ!! しゃあ早う戻りんしゃい” と言ってそそくさと帰り支度を始める。美羽はもう泣きべそをかいてるって言うか泣いてるし。裕香姉に、“大丈夫やから…” と抱きしめられても、“おじいちゃんが、おじいちゃんが死んじゃった〜っ!! うえ〜〜〜〜〜〜〜ん” と大粒の涙をぽろぽろ零し泣く始末。慌ただしく楓佳宅を出て博多駅へ向かう道すがらお局様が何回も電話をかけるも応答はなし。本格的にヤバい状況になってきた。
ここで俺が慌てたらダメだ。美羽に余計な心配をさせてしまう。が早く東京に戻らないと状況がつかめん。と考え込んでると薫ちゃんが、“先輩、飛行機で帰りましょう” と言ってくる。飛行機には乗ったことのない俺だから普段なら怖いからとか適当なことを言って話をはぐらかすのだが、事が事だけに一刻も早く帰京しなければという思いのほうが強く出て飛行機の時間を調べてもらい予約も取ってもらった。その間にも泣きじゃくる美羽の頭を優しくなでて目線を美羽のほうにまで下げて、“おじいちゃんは大丈夫だからそんなに泣くな。俺が嘘ついたこと…はあるか、でもそんな重要なことで俺は嘘はつかない!” と真剣な目で言っていつものにっこり笑顔で頭を撫でてやる。涙を流しながらでもこくんと首を縦に振る美羽。美羽を連れて空港内のチケット売り場に行く俺。急に帰ることになったので子供料金のことも何も知らない。急いで事務所に行き状況を説明するのだが、事務の女は、“ファーストクラスですとお値段がかかりますがお子様は安心してお乗り頂けます” と要領を得ない。最初こそ紳士的に接してきた俺だったんだがあまりに場違いな問答をするもんで、“こちとら命がかかってるんだ!! 何でもええから早う用意せえ!!” と江戸っ子言葉と関西弁が混じった言葉で言ってしまった。俺の剣幕に慄いたのか、“は、はひぃ〜” と情けない声を出して搭乗手続きの事務作業をする事務の女。少々イラつきながら20分くらい待ってようやく飛行機の搭乗手続きを済ませて羽田行きの飛行機に乗り込む。福岡から羽田まで1時間半くらいで着くらしい。乗り込んで座席のベルトを締めると涙目の美羽が不安そうに俺の顔を覗き込んでくる。“大丈夫だから” と頭を優しくなでてやると、少しほっとした表情になっていた。フライトに出る。まあ初の飛行機体験がこんな形で行なわれるなんて思いもしなかったのだが、格安の航空会社のエコノミークラスだったものでまあ大変だったと言うことだけは記憶に留めておこう。で定刻通り1時間半くらいで飛行機は羽田に付き、そこから電車に飛び乗って家の近くの駅まで帰ってくる。
そこから真っ先に社長の家に向かう俺たち。美羽は怖いのか俺の背中でぶるぶる震えてるし、お局様も薫ちゃんも不安げに俺の顔を見遣っている。正直言って俺ももしものときどうやっていいのか全く見当がつかない。とにもかくにもいったんは社長宅へと言う思いが足を進めた。やがて社長宅が見えてくる。電気はと見るが奥のほうはちょうど死角になっているので見えない。ピンポーンとチャイムを鳴らしてみるものの出る気配は一向にない。これはひょっとしたら本当に?! と思ってると、ガチャっと玄関の扉が開く音が聞こえて、“あれぇ〜、美羽に真島君に天ノ原さん姉妹にバイトの子たちまで…。みんなで旅行に行ってたんじゃなかったの〜?” と呑気そうな声が聞こえてくる。今までの緊張の糸が切れたようにへなへなと座り込む俺たち。そんな俺たちを不思議そうに見つめる社長。しばらくそうしていたが自然に怒りが沸いてくる。自分の孫娘にこれだけ心配させておいて言うことはそれだけかっ!! と一言文句を言ってやろうと思ってると、
「おじいちゃん!! あたしがどれだけ心配したか分かってるの?! それだけじゃなくて電話に出ないってどういうことなの? しっかりきっかり説明してっ!! おじいちゃんが死んじゃってたらどうしようって、本当に、本当に心配したんだから〜っ!! う、ううう、うえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん…」
と泣きながら抗議の声を上げる孫娘。その真剣さにびっくりしたのか、“み…、美羽〜〜、ごめんよぉぉぉ〜〜〜〜” と謝りながら手をガバッと広げる。駆け寄る孫娘を抱っこする祖父。狸顔のいつもの顔が優しいおじいちゃんの顔になっていた。まあありきたりではあるがよかった…、と心から安堵する俺たち。しかしなんで北陸に行っていなかったのか、そこだけが気にかかるので失礼ながら家に上がらせてもらって聞いてみると、正月の挨拶除けのウソだったということだ。こんな人を食ってそうな身なりをしているのになぜか人望だけはあるうちの社長。町内会の会長兼世話役としてあれやこれや人脈を作っているらしい。そういやここ2、3年は朝出かけたまま帰らない日もあったと言うことが多かったが要はこれが原因だったんだな? と思った。“とにかく今日のことは悪かったね。後で埋め合わせはするから許してくれない?” とやや上目遣いに俺たちを見つめながら謝ってくる社長。そんな社長に怒った顔になってるのは孫娘である美羽。“じゃあお兄ちゃんたちに後1週間休みを取らせること! お給料を3か月間あげさせること! あと心配させた分の慰謝料? としてお兄ちゃんたちに5万円あげること!” などの条件を挙げてくる。元々孫娘にはとにかくあまい社長だ。むむむむむ…、と考えて、“お休みの件とお給料の件は何とかならない?” と美羽に訊いてみるが頑として首を縦に振らない孫娘。まあ隔世遺伝なのかどうかは知らんがこう言う突拍子もないことを言ってくるところは社長によく似てるんだよなぁ〜。それで困らされるのは99%俺なんだが…。としばらく睨み合いが続いていたのだが、根負けしたのは社長のほうだったことは言うまでもなく。俺たちに金庫に入っていたお金を5万円ずつ一封にして手渡して、“すまなかったね? あと美羽のことよろしく頼むよ?” とやや疲れた表情を浮かべながら自分の部屋へ戻っていく社長の姿を後ろに見ている俺たち。そんな社長をやや得意げに見遣ると、“さあお兄ちゃん! もう一度九州に行くよ〜っ!!” と言う美羽。せっかく東京に帰ってまた九州か? と訊くと、さも当然と言う表情で、“だってあたし、まだ本物の博多ラーメン食べてないもん。それに学問の神様にもちゃんとお参りしてないし…” と上目遣いにそう言う。明日じゃだめか? と訊いてもぶんぶん首を横に振る。“そう言うところはまだまだお子ちゃまだよなぁ〜、お前…” と態とに大きなため息をついてマセガキの出方を覗う。案の定、“お子ちゃまじゃないもん! ちゃんとしたレディーだもん!!” と頬をぷぅ〜っと膨らませてそんなことを言う美羽。“じゃあちゃんとしたレディーは言うことを聞くんだよな?” と言う俺にしぶしぶ首を縦に振る。と横でそのやり取りを見ていた薫ちゃんに、“さすがですね、先輩。改めて今日のことでリスペクトしちゃいました…” と言われお局様には、“不覚にも今日はかっこいいって思ってしまったわ…。でも今日だけなんだかんね?” と頭を軽くぺしっと叩かれて、楓佳とアンナには、“あげんあんちゃん(ケンイチロウ)見たことなかよ? かっこよか〜。ますます好きになったっちゃん〜っ!!” と両腕から柔らかいモノを押し付けられてびくっとなってしまいマセガキがいつもの大人化しないか不安に駆られるものの、裕香姉との話が夢中になっているのかこっちには気が付かないみたいだった。と裕香姉がこっちを振り返りウインクを1つする。多分、“今日はすごいかっこよかったで? 賢くん…” とでも言いたかったんだろうな? とにこにこ顔で俺の顔を見遣る裕香姉を見ながら、そう邪推する。とりあえず家に帰ってくる。明日はまた九州へ行かなければならない。今日は早く寝ちまおうと思いふっと前を見ると、生まれたままの姿の女どもが手をワキワキさせて迫ってくる。と? ここで気が付いたんだがいつの間にかマセガキが大人化してボリューミーな2つのお餅をゆさゆさ揺らしていたことだ。いっ? いや、いつの間にでかくなりやがった? とか考えてると、“お兄ちゃん。今日は勇気づけてくれてありがとう。おじいちゃんも無事だったし。お礼にあたしが今日は隅々まできれいに洗ったげるからね?” と更に手をワキワキさせながら俺の服に手をかけていた。まあ今回は何事もなくてよかったと思いたいが、これから起こるであろうぷにぷに地獄に恐怖を覚える1月1日、今年も何かあるなぁ〜っと思わされるそんな1日だったように思う。
ちなみに、叔母さんに社長は大丈夫だったと言うこととまた明日行く旨(今度は1週間ばかりお世話になると言うこと)を伝えると、“社長しゃんが無事でよかったねぇ〜。ばってん1週間もお休みして会社んほうは大丈夫? クビになったりしぇん? ああ、あとこっちは大丈夫やけん1週間でも2週間でもおって構わんけんねぇ〜” と大いに喜んで電話越しながら歓待してくれた。裕香姉のほうも保育園のほうは1週間ばかり休むらしく、園長先生宅に休む旨を電話をしていたっけか? まああの裕香姉のことだ。俺が行くとなったら絶対について来るに決まってるんだから、園長先生も今からシフト体勢で大変だろうと思う。まあその分普段の裕香姉の頑張りを見てきているのでおそらくは大丈夫だろうと思ってたら電話を終えて指で丸を作ってにっこり微笑んでるから、ああ、大丈夫だったんだな? と思った。
で1月2日、改めて九州に出向く俺たち。新幹線は上りが乗車率120%くらいでほぼ満席で東京駅に入ってくる車両を見ながら九州へとまた旅に出る俺たち。まあ2度目はゆっくりできるからまた博多やちょっと遠出して隣県の大分の湯布院なんかにも行ってみたいな? と考える。まあこれは一応、社長きっての頼まれ事なので断れないわけだが…。一悶着あって夜遅く、美羽が寝静まった時を見計らったかのように一軒のメールが入って来て見ると社長からだった。内容は謝りの内容から、まあ美羽のことをこれからも頼むといった内容で辟易しながら読んでいたわけだが、最後にお願いと称して、“大分の観光名所を回って来てくれる?” と言うのがあってこれは転んでもただでは起きないなぁ〜。うちの社長は…。と苦笑しながら、“了解です” と返信しておいたわけだが…。まあそんなわけで今年は正月に大きなことが起こって大変な年になるなぁ〜っと思考を巡らしつつ九州行きの新幹線に飛び乗るそんな正月2日目だったことは言うまでもない。
END
おまけ
また春がやってきた。桜は今年は3月に冷え込んだのが影響してやっと先週の金曜日に開花宣言が出た。まあアンナと出会って丸2年が経とうかなと言う感じなのだが、まだまだロシアとウクライナの戦争は終わりを見せていない。この間のロシアの大統領選挙はプーの野郎の圧勝で終わった感じだ。まああそこはいくらでもごまかしは効くし選挙自体やったって無駄だとは思うんだが…。異国の地で遠い故国を思うアンナの心の悲しみは計り知れない。だからこそ俺たちが支えてやらないとと改めて決意する。まあ最近は楓佳と2人して俺の部屋に上がり込んではしゅるしゅる服を脱いで生まれたままの姿になりやがるもんで目の遣り場に困ってしまう。このままじゃ俺の身が持たんと思い、服は着ててくれ! と言うと、“ケンイチロウば変態しゃんやなぁ? ウチに下だけ脱がしゃしぇようとするなんて。マニアックなこつしてくるなぁ〜。まあ普段お世話になっとーケンイチロウやけん言うことば聞いちゃるけど…” と言って下だけ脱いだいわゆる昔の美羽のトイレ姿のような格好になるわけで。“ああ〜っ、お兄ちゃんがまたアンナさんにうつつを抜かしてる〜っ!!” と言ってスカートとパンツをしゅるしゅると脱いでアンナと同じように下だけを露出させたでかい美羽が俺の膝の上にちょこんと座りすりすり尻を膝の上で擦っている。擦られてると当然女の子の一番大切な部分も感触が残るわけで。それを聞きつけたお局様たちに同じように下だけ脱いだ姿になって、膝の上ですりすりとされてお局様辺りなんかはそれが癖になってきたのか強要されるんじゃなかろうかと言うくらいになって来てしまった。そういうことをされ続けて、“フウカと隠れて見よったえっちなDVDん中でこげんシーンがあったばってん、そんシーンば再現しゃしぇようとするなんて…” なことをアンナに言われて大変なことをしてしまったんだと思い、“もう裸で結構ですからこのすりすりだけは止めてくださいお願いします!” と土下座で頼み込みいつもの生まれた姿のままに戻ったことは言うまでもない。まあ俺が要らんことをしたりしたら、“お仕置き” と称してやってくることは間違いないだろう。お局様の恍惚とした表情から察するにあれは一種の自慰行為的なものなのでは? と思ってしまう。と言うか絶対自慰行為だろう、あれはっ!! とは思うがそのことを言ってしまうと自慰行為だけでは済まなくなる可能性だってある。一応20歳を越えているやつがほとんどだが、1人だけは体は可変な感じだけども心はまだ小学生なやつもいるんだ。だからそれに合わせないと、とんでもない淫扉な感じになってしまい俺がお縄になってしまう可能性だってある感じだ。そんなことが分かっているので俺はこの女性陣には絶対服従しないとだめなわけで…。何でマセガキなんかと出会ってしまったのか、はたまた何でこの会社を就職先に選んだのか、そもそも何で東京なんかに出てきてしまったのか…という後悔? が頭を駆け巡るそんな今日この頃、ここ東京では普段の年よりやや遅咲きの桜が今日もきれいに咲き始めてきている。
TRUE END?